第83話 「東への道」
夜明け前、俺たちはランドルの北門から、東へ向けて出発した。
ゼロ、エリナ、カルロ、アルク、セルマの五人だ。今回は、カルロも同行している。
「体調は、本当に大丈夫ですか」
俺は馬を並べながら、カルロに聞いた。
「心配しすぎだ」
カルロは答えた。
「もう、若い頃と変わらないくらい、元気だ」
「それは、言い過ぎだと思います」
俺は、少し笑いながら言った。
カルロも、小さく笑った。
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三日ほど、街道を東に進んだ。
景色は、少しずつ変わっていった。平原が減り、丘陵地帯が増えてくる。遠くに、山々の連なりが、見え始めていた。
「あれが、リンネに続く山岳地帯だ」
アルクが言った。
「ここから先は、道が険しくなる」
俺たちは、山道に入った。
馬での移動が、次第に難しくなっていく。急な斜面や、狭い道が続いた。
「ここからは馬を一部、置いていく必要があるかもしれない」
セルマが言った。
「近くの村で、預けられる場所があるか確認しよう」
アルクが答えた。
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四日目、小さな村に到着した。
村人たちは俺たちを見て、少し警戒した様子を見せた。
「最近この辺りは、物騒でね」
村の長老が言った。
「山の方から変わった連中が、頻繁に行き来しているんだ」
「変わった連中、というのは」
俺は聞いた。
「黒っぽい服を着た、旅人たちだ」
長老は続けた。
「時折、見慣れない魔物を連れているのも見かける」
俺は、カルロと目を合わせた。
無冠の残党か、あるいは別の勢力の可能性がある。
「その者たちの目的地は、わかりますか」
「山の奥の古い遺跡の方角に、向かっているようだ」
俺は頷いた。
「馬を、預かってもらえますか」
俺は言った。
「ここから先は、徒歩で進みます」
「もちろんだ」
長老は答えた。
「気をつけて、行きなさい」
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馬を村に預け、俺たちは徒歩で、山道を進み始めた。
険しい道のりだった。岩場を登り、細い獣道を進む。
エリナが、息を切らせながら言った。
「思ったより、大変な道だね」
「気をつけて」
俺は言った。
「足元、しっかり見て」
「わかってる」
エリナは答えた。
カルロは杖を使いながら慎重に、しかし着実に進んでいた。
「カルロさん、大丈夫ですか」
俺は聞いた。
「これくらい、なんでもない」
カルロは答えた。
「若い頃は、もっと過酷な旅も経験している」
俺は、少し安心した。
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五日目の夜、野営をしながら、俺は索敵を行った。
「気配は」
アルクが聞いた。
「今のところ、近くに、危険な気配はありません」
俺は答えた。
「ただ遠くに、複数の反応があります」
「山の奥だろうな」
セルマが言った。
「発掘現場の方角だ」
俺は頷いた。
焚き火を囲みながら、俺たちは、これからの方針について話し合った。
「リンネの遺跡群まで、あと、どれくらいですか」
俺は聞いた。
「この調子なら、あと、三日ほどだ」
アルクが答えた。
「発掘現場の状況を、事前に確認できればいいんですが」
俺は言った。
「私が、少し先行して、様子を見てこよう」
セルマが言った。
「Bランクの索敵能力なら、危険を避けながら動ける」
「頼めますか」
俺は聞いた。
「任せてくれ」
セルマは頷いた。
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その夜、俺はエリナと少し話した。
「もうすぐ、目的地だね」
エリナは言った。
「そうだな」
俺は答えた。
「何が待っているか、まだ、わからない」
「怖い?」
エリナが聞いた。
「怖い」
俺は正直に答えた。
「でもいつも通り、慎重に進めばいい」
「うん」
エリナは頷いた。
「私も、頑張る」
俺は、エリナを見た。
「無理は、するな」
「わかってる」
エリナは、少し笑った。
「ゼロも、無理しないで」
「お互い様だな」
俺は答えた。
俺は、ステータス画面を確認した。
ゼロ Lv.13
HP:58/58
MP:31/31
筋力:18 敏捷:21 魔力:11 耐久:15 知力:22
スキル:なし
備考欄:◇◇◇◇◇◇
変化はなかった。
リンネの遺跡群が、少しずつ近づいてきている。
まだ見ぬ力を求める者。その正体が、まもなく明らかになる。
夜空を見上げた。二つの月が山々の稜線の向こうで、静かに輝いていた。
俺たちは焚き火の温もりの中で、束の間の休息を取った。
**次回・第84話「先行偵察」**
> セルマが単独で、発掘現場の偵察に向かう。その報告は、予想を超える規模の異変を伝えるものだった。
険しい山道を進む旅路、少しずつ、リンネの遺跡群に近づいています。村での情報、黒服の旅人たちの目撃情報も気になるところです。次回、セルマの偵察でさらに詳しい状況が明らかになります。
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