第80話 「新たな協力体制」
湖畔での対話から、数日が経った。
カルロと天秤の協力関係が、正式に始まった。定期的な情報交換の仕組みが、モリスを通じて、整えられていった。
その日、鍛冶屋の跡に、アルクとセルマも呼ばれた。
「天秤から、最初の情報が届いた」
カルロは言った。
俺たちは、テーブルを囲んだ。カルロが、モリスから受け取った報告書を、広げた。
「まだ見ぬ、力を求める者について、何かわかったんですか」
俺は聞いた。
「直接的な情報ではない」
カルロは答えた。
「だが、気になる動きがある」
「どんな動きですか」
アルクが聞いた。
「大陸の東部で、古い遺跡の発掘が、活発化しているらしい」
カルロは続けた。
「複数の勢力が、同時期に動き始めている」
「無冠の残党ですか」
俺は聞いた。
「それだけではない」
カルロは答えた。
「天秤の調査によると、これまで、表に出てこなかった、独立した勢力も、動いているようだ」
俺は、少し緊張した。
「新しい勢力、ということですか」
カルロは、少し考えた。
「新しく生まれた、というより」
カルロは続けた。
「これまで静かに力を蓄えていた者たちが、動き始めたという表現が、正確かもしれない」
セルマが口を開いた。
「その勢力の目的は」
「わからない」
カルロは正直に答えた。
「ただ始祖の力に、強い関心を持っているのは、確かなようだ」
俺は頭の中で、情報を整理した。
始祖の意思が言っていた、「まだ見ぬ、力を求める者」。
それが今少しずつ、姿を現し始めているのかもしれない。
「今、俺たちにできることは、何ですか」
俺は聞いた。
「まずは、情報を集めることだ」
カルロは答えた。
「焦って動く必要はない。天秤と協力しながら、慎重に状況を見極める」
俺は頷いた。
その日の午後、俺はエリナと修行を続けた。
「新しい脅威が、見え始めてるんだね」
エリナは言った。
「そうみたいだ」
俺は答えた。
「でも今はまだ、詳しいことがわからない」
「怖くない?」
エリナが聞いた。
俺は、少し考えた。
「怖い」
俺は正直に答えた。
「でも、一人じゃない」
エリナは頷いた。
「うん」
俺たちは、防御壁とマナの制御の練習を、それぞれ続けた。
エリナの手のひらに、以前より大きな光の粒が、集まるようになっていた。
「成長してるな」
俺は言った。
「うん」
エリナは、少し嬉しそうに答えた。
「もっと、強くなりたい」
俺たちは日が暮れるまで、修行を続けた。
夜、俺はステータス画面を確認した。
ゼロ Lv.13
HP:58/58
MP:31/31
筋力:18 敏捷:21 魔力:11 耐久:15 知力:22
スキル:なし
備考欄:◇◇◇◇◇◇
エリナも、自分のステータス画面を確認した。
エリナ Lv.7
HP:27/27
MP:18/18
筋力:9 敏捷:18 魔力:15 耐久:10 知力:13
スキル:精密投擲
「レベル上がってる」
エリナは、驚いた顔をした。
「修行の成果だな」
俺は言った。
「うれしい」
エリナは、笑顔を見せた。
新しい脅威が、見え始めている。だが今は、まだ詳しいことがわからない。
だからこそ今のうちに、しっかりと力をつけておく必要がある。
カルロと天秤の協力関係。仲間たちとの絆。
これまで積み重ねてきたものがこれからの戦いに、必ず力になるはずだった。
窓の外を見た。二つの月が、静かに輝いている。
新しい章が、また静かに始まろうとしていた。
次回・第81話「東の噂」
大陸東部の遺跡発掘について、ロックスがさらに詳しい情報を集めてきた。その情報の中に、聞き覚えのある名前が、含まれていた。
天秤との協力体制が始まりました。「まだ見ぬ、力を求める者」の輪郭が、少しずつ、見え始めています。エリナのレベルも上がり、着実に成長しています。次回、東部の情報がさらに詳しく明らかになります。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
「続きが気になる」と思っていただけたら、ぜひ★評価・ブックマークをお願いします。ブックマークしておくと更新通知が届きます。
感想・コメントも全部読んでいます。毎日21時更新中です!




