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神に何も貰えなかった転生者、実は成長上限がありませんでした  作者: Nagiousen


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第65話 「ラグドへ」

 フェリクスから連絡があったのは、出発の前日だった。

 鍛冶屋の跡で、フェリクスと向き合った。カルロも同席している。


「ラグドの件について、調べた」


 フェリクスは言った。


「詳しいことがわかった」


「教えてください」


 俺は言った。


「ラグドの内乱は、無冠の残党が絡んでいる」


 フェリクスは続けた。


「セインの解散方針に反発した一派が、ラグドの政治的な混乱に乗じて、力を得ようとしている」


 俺はカルロと目を合わせた。


「無冠の残党が、他国の政治にまで、手を出しているんですか」


 俺は聞いた。


「規模は、まだ小さい」


 フェリクスは答えた。


「ただ、放置すれば、大きくなる可能性がある」


「天秤は、対応しないんですか」


 俺は聞いた。


「監視はしている」


 フェリクスは続けた。


「ただ、他国の内政に、直接介入することは、我々の理念に反する」


 俺は少し考えた。


「では、俺たちが行くことに、問題はありませんか」


「むしろ、歓迎する」


 フェリクスは言った。


「ゼロさんが行けば、状況を落ち着かせられるかもしれない」


 カルロが静かに言った。


「今回の件は、無冠の残党の問題だ」


 老魔法師は続けた。


「ガイウスの件と、根は同じだろう」


「セインは、把握しているんですか」


 俺は聞いた。


「レイを通じて、確認してもらっている」


 フェリクスは答えた。


「セイン殿も、この件を憂慮しているようだ」


 俺は頷いた。


 全ての情報が、少しずつ繋がってきている。


「わかりました」


 俺は言った。


「予定通り、明日、出発します」


---


 翌朝、俺、エリナ、アルク、セルマの四人で、ランドルを出発した。


 カルロは、ランドルに残った。まだ本調子ではないと、本人が判断したからだ。


「気をつけて行け」


 カルロは、門のところで言った。


「無理はするな」


「わかっています」


 俺は答えた。


 エリナが、カルロに向かって言った。


「早く元気に、なってください」


「心配するな」


 カルロは、少し笑った。


「私も老いたとはいえ、そう簡単には倒れない」


 俺たちは、南に向けて出発した。


---


 道中、俺はエリナと並んで馬を進めた。


「新しい修行、どんな感じだ」


 俺は聞いた。


「まだ、慣れない部分もある」


 エリナは答えた。


「でも、少しずつ、力が大きくなってる気がする」


「無理はするなよ」


「わかってる」


 エリナは続けた。


「ゼロも、無理しないで」


 俺は、少し笑った。


「お互い様だな」


 エリナも、小さく笑った。


 アルクが、前方から声をかけてきた。


「ラグドまでは、馬で七日ほどだ」


 アルクは言った。


「途中、何箇所か、街に立ち寄る」


「情報収集も、兼ねるということですね」


 俺は言った。


「そうだ」


 アルクは続けた。


「南部の情勢について、もっと詳しく知りたい」


 セルマが、地図を確認しながら言った。


「南部は私も、あまり詳しくない地域だ」


 セルマは言った。


「慎重に進もう」


 俺は頷いた。


 道中の街道は、ランドル周辺とは、また違う景色が広がっていた。植生が変わり、気候も、少しずつ暖かくなっていく。


 三日目、大きな街に到着した。


 街の名前は、フォルネという。ランドルよりも大きな街だ。


 俺たちは、ギルドに立ち寄り、情報を集めた。


「ラグドの状況を知っていますか」


 俺は受付の人間に聞いた。


「噂は聞いています」


 受付の男は言った。


「王家の派閥争いが、激化しているとか」


「王家の派閥争い、というのは」


 俺は聞いた。


「詳しくはわかりません」


 男は続けた。


「ただ、王位継承を巡って、二つの派閥が対立しているという話です」


 俺は、頭の中で情報を整理した。


 無冠の残党が、この派閥争いに、どう関わっているのか。まだ、はっきりとはわからない。


「もう少し、詳しい情報がある場所はありますか」


 俺は聞いた。


「ラグドに近い街なら、もっと詳しい話が聞けるかもしれません」


 男は答えた。


「ここから、あと四日ほどです」


 俺は礼を言って、ギルドを出た。


---


 その夜宿で、みんなで今後の方針を話し合った。


「王位継承の争いに、無冠の残党が絡んでいるとしたら」


 俺は言った。


「どちらかの派閥を、支援している可能性がある」


「力を貸すことで、影響力を得ようとしているのかもしれない」


 アルクが続けた。


「もし、そうだとしたら」


 セルマが言った。


「俺たちが介入することで、余計に混乱を招く可能性もある」


 俺は少し考えた。


「まずは、状況を正確に把握することが、先決だと思います」


 俺は言った。


「決めつけずに、現地で、しっかり確認しましょう」


 エリナが頷いた。


「ゼロらしい、慎重な判断だね」


 俺は、ステータス画面を確認した。


 ゼロ Lv.13

 HP:58/58

 MP:31/31

 筋力:18 敏捷:21 魔力:11 耐久:15 知力:22

 スキル:なし

 備考欄:◇◇◇◇◇◇


 ラグドまでの道のりは、まだ長い。

 だが、この旅の先に、また新しい理解と、新しい繋がりが待っているはずだった。


 窓の外を見た。南部の夜空は、ランドルよりも、少し星が多く見える気がした。

 二つの月が、静かに輝いていた。



**次回・第66話「フォルネの噂」**


> フォルネの街でさらに情報を集めるゼロたちに、意外な人物が声をかけてきた。「あなたたちも、ラグドに向かっているのですか」



ラグドへの旅が始まりました。無冠・天秤・王国、三つの勢力の関係が整理され、ゼロたちの立場も少しずつ明確になってきています。新しい国、新しい問題。第2章もいよいよ後半戦です。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

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