表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神に何も貰えなかった転生者、実は成長上限がありませんでした  作者: Nagiousen


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
62/80

第62話 「新たな影」

 翌日、アルクが鍛冶屋の跡に来た。


「ガイウスの尋問が、少し進んだ」


 アルクは言った。


「ディーンが、王国の尋問技術を使って聞き出した」


「何がわかったんですか」


 俺は聞いた。


「ガイウスが従っていたのは、無冠本体ではなかった」


 アルクは続けた。


「セインの解散方針に反発した、下部組織の残党たちだ」


 カルロが静かに言った。


「予想していた通りだ」


「規模は、どれくらいですか」


 俺は聞いた。


「正確な数はわからない」


 アルクは答えた。


「ただ、ガイウスの証言では、複数の下部組織が、統制を離れて動き始めているらしい」


「セインは、把握しているんですか」


 俺は聞いた。


「レイを通じて、確認してもらっている」


 アルクは続けた。


 「ただ、セイン自身も、全ての下部組織を完全に管理していたわけではない。統制が緩んでいる部分から、こうした残党が生まれている」


 俺は少し考えた。


「エリナを狙っていた理由は、わかりましたか」


「始祖の鍵に関する情報を、独自に集めていたようだ」


 アルクは答えた。


「無冠の研究資料の断片が、下部組織にも流れていたらしい」


 カルロが口を開いた。


「これは、想定していたことだ」


 老魔法師は言った。


「大きな組織が解体に向かうとき、統制を失った部分が、独自に暴走することがある」


「今後も、こうした残党が現れる可能性がありますか」


 俺は聞いた。


「可能性は高い」


 カルロは頷いた。


「セインの意思とは無関係に、こうした動きは続くだろう」


 俺は考えた。

 無冠という一つの脅威が減っても、その残滓が、別の形で問題を生み続けている。


「対処の方法は」


 俺は聞いた。


「一つずつ、潰していくしかない」


 アルクは答えた。


「幸い、セインとレイが、無冠内部の情報を提供してくれている。残党の動きを、早めに掴めるはずだ」


 俺は頷いた。


「セインに、感謝しないといけませんね」


「そうだな」


 アルクは少し笑った。


---


 その日の夕方、レイがランドルを訪れた。


「情報を持ってきました」


 レイは言った。


「師匠が、まとめてくれたものです」


 俺たちは、レイの持ってきた資料を確認した。


 無冠の下部組織のリストと、それぞれの活動状況が記されていた。ラーダ団の名前もあった。すでに壊滅させたことを、俺は伝えた。


「他にもいくつか、統制を離れた組織があります」


 レイは続けた。


「ただ、多くは小規模です。ラーダ団ほどの脅威にはならないと、思われます」


「安心していいんですか」


 俺は聞いた。


「油断はできません」


 レイは正直に言った。


「ただ、師匠が言うには、これらの残党は、いずれ自然に消えていく可能性が高いとのことです」


「なぜですか」


「無冠という後ろ盾がなくなれば、資金も魔物の供給も、途絶えます」


 レイは続けた。


「独自に活動を続けられる組織は、限られています」


 俺は少し安堵した。


「ただし」


 レイは続けた。


「一つだけ、注意すべき情報があります」


「何ですか」


「始祖の鍵に関する情報を、最も多く持っていたのは、ガイウスの組織でした」


 レイは言った。


「彼が持っていた情報が、他の残党に広がっていないか、確認する必要があります」


 俺は頷いた。


「ガイウスから、もっと詳しく聞き出せますか」


「ディーンが、引き続き尋問している」


 アルクが答えた。


「時間をかければ、もっとわかるはずだ」


 俺はステータス画面を確認した。


 ゼロ Lv.13

 HP:58/58

 MP:31/31

 筋力:18 敏捷:21 魔力:11 耐久:15 知力:22

 スキル:なし

 備考欄:◇◇◇◇◇◇


 一つの脅威が終わり、別の課題が見えてきた。

 だが、以前より確実に、状況は良くなっている。


 セインとレイが協力者になった。天秤との対話も続いている。王国とも、良好な関係を築けている。


 一人で全てを背負う必要はない。

 その事実が、少しだけ、俺の心を軽くした。


---


 その夜、俺はエリナの見舞いに行った。


 エリナは、だいぶ顔色が良くなっていた。ベッドの上で、起き上がって座っている。


「アルクさんが、さっき教えてくれた」


 エリナは言った。


「今日、色々話し合ってたんでしょ」


「アルクが来たのか」


「見舞いに来てくれた」


 エリナは続けた。


「私、まだ危険なの?」


「わからない」


 俺は正直に答えた。


「ただ、以前より、味方が増えている」


 エリナは頷いた。


「早く元気になって、また修行したい」


「無理はするな」


 俺は言った。


「わかってる」


 エリナは続けた。


「でもゼロも、私を守るためだけに、強くならないで」


 俺は少し驚いてエリナを見た。


「どういう意味だ」


「私も、ゼロを守りたい」


 エリナは言った。


「守られるだけじゃなくて」


 俺は、しばらくエリナを見ていた。


「わかった」


 俺は言った。


「一緒に強くなろう」


 エリナは、小さく笑った。


 窓の外で、二つの月が、静かに輝いていた。



**次回・第63話「エリナの決意」**


> 身体が完全に回復したエリナが、カルロに新しい修行を願い出た。それは、これまでとは違う、覚悟を伴うものだった。


新しい組織名は出さず、「無冠の統制を離れた残党」という既存の枠組みで整理しました。セインとレイが協力者として機能し始め、状況は一つずつ前に進んでいます。「私も、ゼロを守りたい」というエリナの言葉、彼女の成長を感じてもらえたら嬉しいです。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

「続きが気になる」と思っていただけたら、ぜひ★評価・ブックマークをお願いします。ブックマークしておくと更新通知が届きます。

感想・コメントも全部読んでいます。毎日21時更新中です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ