表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神に何も貰えなかった転生者、実は成長上限がありませんでした  作者: Nagiousen


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
61/81

第61話 「目覚め」

 三日が経った。


 俺は毎日、治療室に通っていた。エリナの容態は安定していたが、意識はまだ戻らなかった。


 治療師によると、体は回復に向かっているが、意識が戻るタイミングは本人次第だという。


 その三日目の朝、俺はいつものように治療室に向かった。


 扉を開けると、治療師が驚いた顔をしていた。


「ちょうど、呼びに行こうと思っていたところです」


 治療師は言った。


 俺は息を止めた。


「エリナは」


「意識が戻りました」


 治療師は続けた。


「今、少し話せる状態です」


 俺は急いで、ベッドに近づいた。


 エリナの目が、うっすらと開いていた。


「ゼロ」


 小さな声が、静寂の中に響いた。


 俺は膝をついて、エリナの顔を覗き込んだ。


「エリナ」


 俺は呼びかけた。


「聞こえるか」


「聞こえる」


 エリナは弱々しく答えた。


「ここ、どこ」


「ランドルのギルドだ」


 俺は続けた。


「三日間、意識がなかった」


 エリナは、少し目を見開いた。


「三日も」


「ああ」


 俺は頷いた。


「もう、大丈夫だ」


 エリナは、しばらく俺を見ていた。


「団長は」


 エリナは聞いた。


「倒した」


 俺は答えた。


「捕らえて、ギルドの地下にいる」


 エリナは、少し安堵したような表情を見せた。


「よかった」


「カルロさんも、回復している」


 俺は続けた。


「今日中に、会いに来ると思う」


 エリナは、小さく頷いた。


「ゼロ」


 エリナは言った。


「何?」


「ありがとう」


 エリナは続けた。


「守ってくれて」


 俺は、少し言葉に詰まった。


「守り切れなかった」


 俺は正直に言った。


「エリナが、あんなに傷つくのを、止められなかった」


「でも、ここにいる」


 エリナは続けた。


「生きてる」


 俺はエリナを見た。


 その目に、恨みや後悔は見えなかった。ただ、静かな安堵があった。


「もっと、強くなる」


 俺は言った。


「二度と、こんな思いをさせない」


 エリナは、小さく笑った。


「無理しすぎないで」


 エリナは言った。


「私も、もっと強くなる」


 俺は頷いた。


---


 その日の午後、カルロがエリナの見舞いに訪れた。


 頭の包帯は取れていたが、まだ完全には回復していない様子だった。


「調子はどうだ」


 カルロは聞いた。


「まだ、体が重いです」


 エリナは答えた。


「でも、大丈夫」


 カルロは、静かに頷いた。


「無理をするな」


 カルロは続けた。


「回復には、時間がかかる」


 エリナは、少し不安そうな顔をした。


「私、これからも、修行を続けられますか」


 カルロは、少し考えた。


「もちろんだ」


 カルロは答えた。


「ただし、体が完全に回復してからだ」


 エリナは頷いた。


 俺は、二人のやり取りを見ながら、考えていた。


 覚醒反応。始祖の器の、もう一つの側面。


 もし、エリナが本当に始祖の鍵なら、彼女にも、同じような特別な力があるのかもしれない。


 だが、それを今、話すべきかどうか、まだ判断がつかなかった。


 カルロと目が合った。


 老魔法師も、同じことを考えているようだった。


「後で、話がある」


 カルロは俺に小声で言った。


「わかりました」


---


 夕方、鍛冶屋の跡で、カルロと二人きりになった。


「エリナに、鍵の可能性を話すべきか、迷っている」


 俺は言った。


「私もだ」


 カルロは続けた。


「ただ、今回の件で、一つ確信したことがある」


「何ですか」


「エリナの力は、今後さらに重要になる」


 カルロは言った。


「ガイウスが、エリナを狙っていた理由。無冠が、鍵を探していた理由。全てが、エリナに繋がっている可能性が高い」


「だから、話すべきだと思いますか」


「話すべきだと思う」


 カルロは頷いた。


「ただし、彼女が完全に回復してからだ」


 俺は頷いた。


「もう一つ、確認したいことがあります」


 俺は続けた。


「ガイウスから、何か情報は取れましたか」


「アルクとディーンが、尋問を進めている」


 カルロは答えた。


「まだ、詳しいことはわかっていない。ただ一つ、気になる話が出てきた」


「何ですか」


「ガイウスが従っていたのは、無冠本体ではなく、無冠の中でも、さらに独立した集団だったらしい」


 カルロは続けた。


「セインの解散方針に反発した者たちが、独自の組織を作り始めているようだ」


 俺は少し考えた。


「新しい脅威が、生まれつつあるということですか」


「その可能性がある」


 カルロは静かに言った。


「セインの解散が進むほど、統制を離れる下部組織が増えるかもしれない」


 俺は頷いた。


 問題は一つ片付いても、また新しい問題が生まれる。


 だがそれでも、前に進むしかなかった。


「エリナが回復したら、また皆で話し合いましょう」


 俺は言った。


「そうだな」


 カルロは頷いた。


 俺はステータス画面を確認した。


 ゼロ Lv.13

 HP:58/58

 MP:31/31

 筋力:18 敏捷:21 魔力:11 耐久:15 知力:22

 スキル:なし

 備考欄:◇◇◇◇◇◇


 エリナが目を覚ました。

 それだけで、今日は十分だった。

 残りの問題は、また明日から、一つずつ向き合っていく。


 俺は鍛冶屋の跡を出て、夕暮れの空を見上げた。

 二つの太陽が、西の空に沈んでいく。

 明日から、また新しい一日が始まる。



**次回・第62話「新たな影」**


> ガイウスの尋問から、無冠の残党が新しい組織を作りつつあるという情報が固まってきた。より過激で、より統制の取れた、新しい脅威の始まりだった。


エリナが目を覚ましました。「守り切れなかった」というゼロの言葉に、「でも、ここにいる」と返すエリナ。二人の関係が、また少し深まった回だと思います。ただ、問題は一つでは終わりません。無冠の解散が、新しい脅威を生み始めています。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

「続きが気になる」と思っていただけたら、ぜひ★評価・ブックマークをお願いします。ブックマークしておくと更新通知が届きます。

感想・コメントも全部読んでいます。毎日21時更新中です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ