表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神に何も貰えなかった転生者、実は成長上限がありませんでした  作者: Nagiousen


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
56/83

第56話 「ラーダ団の影」

 ロックスから連絡があったのは、天秤との対面から数日後だった。

 ギルドの隅のテーブルで、ロックスが紙束を広げた。前回よりも分厚い。


「時間がかかったが、ラーダ団のことを調べ上げた」


 ロックスは言った。


「厄介な話だ」


「聞かせてください」


 俺は言った。


 エリナが少し緊張した顔で座った。カルロ、アルク、セルマも集まっている。


 ロックスが話し始めた。


「ラーダ団は、元々は普通の盗賊団だった」


 ロックスは続けた。


「だが五年ほど前から、活動が変わり始めた。魔物を使役するようになり、組織的な動きが増えた」


「無冠との接触は」


 俺は聞いた。


「あった」


 ロックスは頷いた。


「複数の情報源から、同じ話が出てきた。ラーダ団の団長が、無冠の人間と定期的に会っていたという証言だ」


 エリナが小さく息を吐いた。


「私が子供の頃に見た、黒い服の人。あれは間違いなく、無冠の人間だったんですね」


「そう考えるのが自然だ」


 ロックスは続けた。


「ラーダ団は無冠の下部組織として、資金と魔物の供給を受けていたらしい」


 カルロが静かに言った。


「無冠の末端組織の一つだった、ということか」


「そうです」


 ロックスは頷いた。


「だが、ここからが重要だ」


「何ですか」


「セインが無冠の方針を変えようとしているという話が、下部組織にも伝わり始めている」


 ロックスは続けた。


「解散に向かう動き、育てる方向への転換。それに、ラーダ団の団長が反発しているという情報がある」


「反発、というのは」


 俺は聞いた。


「団長は、力による支配を信じている人間だ」


 ロックスは言った。


「セインの新しい方針に従うつもりはない。むしろ統制を離れて、独自に動き始めているという話だ」


 俺は頭の中で情報を繋げた。


 クレスタ村を焼いた集団の戦術が、ラーダ団と似ていた。統率された動き。金属の箱を狙った行動。「始祖の鍵」という言葉を使っていたこと。


「クレスタ村を襲ったのは、ラーダ団だったということですか」


 俺は聞いた。


「その可能性が高い」


 ロックスは続けた。


「無冠の中で、鍵に関する研究が一部行われていた。ラーダ団はその情報の断片を、持っていたのかもしれない。統制を離れた今、独自に鍵を探し始めている」


 俺は、フェリクスとの会話を思い出した。

 天秤は無関係だと言っていた。名を騙られた可能性を疑っていた。


 だが、そうではなかったのかもしれない。ラーダ団は天秤の名を騙ったわけではなく、単に「始祖の鍵」という無冠内部の情報を持っていただけだった。


「もう一つ、重要な情報がある」


 ロックスは声を落とした。


「何ですか」


「ラーダ団が、最近になって活動範囲を広げている」


 ロックスは続けた。


「その中心が、ランドルから北西に半日ほどの場所だ」


 ロックスが地図の一点を指した。


「この場所に、何かあるんですか」


 俺は聞いた。


「新しいアジトが作られているという情報がある」


 ロックスは言った。


「そして」


 ロックスは、少し言いにくそうな顔をした。


「何ですか」


 俺は続けた。


「団長が、特定の人物を探しているという話が出ている」


 ロックスは、エリナを見た。


「石を投げるのが得意な、黒髪の女性を」


 エリナの顔が、青ざめた。


「私、ですか」


「断定はできない」


 ロックスは続けた。


「ただ、状況から考えると、可能性は高い」


 俺はエリナを見た。


 エリナの手が、少し震えていた。


「大丈夫」


 俺は言った。


「一人にはさせない」


 エリナは俺を見た。それから、小さく頷いた。


「うん」


 カルロが静かに言った。


「団長は、なぜエリナを探している」


「わからない」


 ロックスは正直に言った。


「ただ、団長が言っていたという証言がある。『あの子には、まだ使い道がある』と」


 俺は少し息を止めた。


 使い道。


 もしエリナが始祖の鍵なら、その言葉の意味は、ただの復讐ではないかもしれない。


「団長は始祖の鍵について、何か知っているんでしょうか」


 俺は言った。


 カルロが答えた。


「無冠の研究に関わっていたなら、可能性はある」


 老魔法師は続けた。


「エリナのマナを引き寄せる能力を、団長は見ていたはずだ」


 エリナが少し目を伏せた。


「団長は、私が普通じゃないことに、気づいていたと思う」


 エリナは静かに言った。


「ずっと、特別扱いされていた気がする」


 俺はエリナを見た。


「話す必要がないと思ってた」


 エリナは続けた。


「ただの、嫌な記憶だったから」


 俺は頷いた。


 エリナが話せる範囲で話してくれている。それで十分だった。


---


 その日の午後、全員で今後の方針を話し合った。


「アジトを確認する必要があります」


 俺は言った。


「危険だ」


 セルマが言った。


「団長が本気でエリナを狙っているなら、罠の可能性もある」


「それでも、放置はできません」


 俺は続けた。


「エリナが狙われている以上、こちらから動くべきです」


 アルクが頷いた。


「準備を整えてから行こう」


 アルクは言った。


「今回は、俺とセルマも本気で戦う」


 カルロが静かに言った。


「私も行く」


 老魔法師は続けた。


「今回は、傍観者ではいられない」


 俺はエリナを見た。


「エリナは、来る?」


 エリナは少し考えた。


「行く」


 エリナは言った。


「逃げてばかりは、もう嫌だから」


 俺は頷いた。


「三日後に出発しましょう」


 俺は言った。


「その間に、準備を整えます」


 全員が同意した。


---


 その夜、俺は一人で修行を続けた。


 防御壁の練習だけでなく、実戦を想定した動きも確認した。短剣の扱い、体術、索敵。全てを、もう一度確認し直した。


 ステータス画面を開いた。


 ゼロ Lv.9

 HP:37/37

 MP:20/20

 筋力:12 敏捷:15 魔力:7 耐久:10 知力:17

 スキル:なし

 備考欄:◇◇◇◇◇◇


 三日後、ラーダ団のアジトに向かう。

 団長がどれほどの強さを持っているのか、まだわからない。無冠の支援を受けていたなら、通常の盗賊団とは違う強さがあるはずだ。


 だが、迷いはなかった。

 エリナを守る。それだけが、今の目的だった。


 窓の外を見た。二つの月が、静かに輝いている。


 三日後、決着をつける。



**次回・第57話「三日間の準備」**


> アジト急襲までの三日間、それぞれが自分にできることを積み重ねていた。エリナが、カルロに一つの願いを伝えた。「私にも、戦う力をください」


ラーダ団の正体、そしてエリナが狙われている理由が見えてきました。「あの子には、まだ使い道がある」という団長の言葉、不穏な伏線です。次回からアジト急襲に向けた準備が始まります。ここから物語が大きく動きます。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

「続きが気になる」と思っていただけたら、ぜひ★評価・ブックマークをお願いします。ブックマークしておくと更新通知が届きます。

感想・コメントも全部読んでいます。毎日21時更新中です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ