表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神に何も貰えなかった転生者、実は成長上限がありませんでした  作者: Nagiousen


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
33/81

第33話 「新しいステータス」

 翌朝、ギルドに向かった。

 依頼ボードを確認する前に、新しいステータスをもう一度確認した。


 ゼロ Lv.8

 HP:34/34

 MP:18/18

 筋力:11 敏捷:14 魔力:6 耐久:9 知力:16


 筋力・敏捷・知力は人族平均の10を超えている。魔力と耐久はまだ平均に届いていないが、それでも以前とは比較にならない数値だ。

 だが、体感はそれほど劇的ではなかった。

 昨日と同じように歩けるし、同じように呼吸している。ただ、体の奥に、今まで感じなかった余裕のようなものがある。


 ギルドに入ると、受付嬢が俺を見て、少し首をかしげた。


「ゼロさん、何か雰囲気が違いますね」


「何かありましたか」


「いえ、なんとなく」


 受付嬢は曖昧に答えた。

 言葉では説明できない変化を、彼女は感じ取ったらしい。

 依頼ボードを確認した。D級の依頼が並んでいる。だが、今日は少し違うものを試したかった。


「C級の依頼を見せてもらえますか」


 俺は受付嬢に聞いた。


「ゼロさんはDランクですが」


「Dランクでも申請できるC級依頼が、あると聞きました」


「あります。ただし、試験官の許可が必要です」


 受付嬢は奥に確認に行った。しばらくして戻ってきた。


「ミラ試験官が、今日いらしています。確認してもらえますか」


「お願いします」


 ミラが現れた。前回の試験のときと同じ、落ち着いた雰囲気の女性だ。


「ゼロさん、C級依頼を希望ですか」


「はい」


「理由を聞かせてください」


「自分のステータスを、確認したいからです」


 俺は正直に言った。


「今の自分が、どの程度の依頼までこなせるのか知りたい」


 ミラは少し考えた。


「Dランクの飛び級昇格は、私が推薦しました。あなたの実力には期待しています」


 ミラは続けた。


「C級依頼の中で、比較的安全なものを一つ紹介します。それで様子を見ましょう」


 ミラが選んだ依頼書を見せてくれた。


**【C級】街道北方・小規模な盗賊団のアジト制圧**

**対象:盗賊団、推定六名**

**報酬:銀貨八枚**

**備考:戦闘力は中程度。武装あり**


「これはいかがですか」


「受けます」


「単独ですか」


「エリナと一緒に行きます」


「Eランクの方ですね」


 ミラは少し考えた。


「Cランク相当の依頼に、DランクとEランクのペアは異例です。ただ、あなたたちの実績を考えると、許可します」


 エリナに事情を話すと、すぐに同意した。


「レベル8、試してみたいでしょ」


「興味がある」


「正直になったね」


 エリナが少し笑った。


 アジトの場所は、街道を北に少し外れた森の中だった。盗賊団といっても、組織化された無冠とは別物だ。単純な略奪目的の集団だと、ミラから聞いていた。


 森に入ると、すぐに気配を感じた。

 索敵をした。

 今までより、感じる範囲が広い気がした。


 六体の気配あり

 六人。情報通りだ。

 アジトはすぐに見つかった。粗末な小屋がいくつか並んでいる。見張りが一人、入り口に立っていた。


「どうする?」


 エリナが小声で聞いた。


「正面から行く」


「正面から?」


 エリナが少し驚いた。


「今までは罠を仕掛けてたじゃない」


「試したいことがある」


 俺は小屋に向かって歩いた。

 見張りが気づいて、声を上げた。


「敵だ!」


 小屋から男たちが出てきた。武装している。剣、斧、棍棒。六人、全員が戦闘態勢に入った。


 俺は短剣を抜いた。


 今までなら、ここで罠を考えていた。地形を観察し、相手の動きを読み、有利な状況を作ってから動く。

 だが今日は、違うやり方を試したかった。


 先頭の男が斧を振りかぶって突進してきた。


 俺は動いた。

 体が、思った以上に速く反応した。


 男の斧が振り下ろされる前に、俺はすでに間合いの内側に入っていた。短剣を相手の腕に向けて振った。浅く切る。男が斧を落とした。


 二人目が剣で斬りかかってきた。俺は剣を見てから避けるのではなく、剣が振られる前に、相手の重心の動きを見て先に動いた。

 体が、自分の意思より少し先に動いている感覚があった。

 二人目の懐に入り、短剣の柄で鳩尾を突いた。男が崩れ落ちた。


 三人目、四人目。

 今までなら、一人ずつ慎重に対処していた。今日は、複数を同時に視野に入れて動けた。


 数値だけの問題ではない。知力16になったことで、状況判断の速度そのものが上がっている気がした。


 エリナが石を投げて、残りの二人を牽制した。俺がそれぞれ仕留めた。


 六人全員を制圧するのに、五分もかからなかった。

 今までなら、二十分以上はかかっていただろう。


 エリナが息を整えながら言った。


「すごい。今までと全然違う」


「自分でも驚いている」


 ステータス画面を開いた。


 戦闘勝利

 獲得経験値:120

 レベルアップ:なし

 レベルは上がらなかった。だが、それでいい。今は、Lv.8の自分がどう動けるのかを確認できた。


 盗賊団を縄で縛り、ギルドに報告した。ミラが結果を聞いて、少し驚いた顔をした。


「五分で六人を、制圧したんですか」


「はい」


「実技試験のときより、明らかに動きが違いますね」


 ミラは続けた。


「何があったんですか」


「色々あって、成長しました」


 ミラは少し疑問の表情を浮かべたが、それ以上は追及しなかった。


「報酬は銀貨八枚です。それと」


 ミラは少し考えた。


「次の昇格試験を、考えてみてはどうですか」


「もう一度ですか」


「DからCへの昇格です。今の動きを見る限り、十分通用すると思います」


 俺はエリナを見た。エリナが頷いた。


「考えます」


 その日の夜、宿に戻ってステータス画面を確認した。


 ゼロ Lv.8

 HP:34/34

 MP:18/18

 筋力:11 敏捷:14 魔力:6 耐久:9 知力:16

 スキル:なし

 備考欄:◇◇◇◇◇◇


 数値は変わっていない。だが、今日の戦いで、数値以上の何かを実感した。

 戦闘中の判断速度。体の反応速度。今まで積み重ねてきた経験が、今日初めて、数値の後押しを得て、発揮された感覚があった。


 今までは、知識と観察だけで戦ってきた。罠を仕掛け、相手の動きを読み、地形を利用して、不利な戦力差を埋めてきた。

 今は違う。

 知識と観察に、純粋な力が加わった。


 それでも、俺は変わっていない。

 戦い方の基本は同じだ。相手を観察し、状況を読み、最善の手を選ぶ。それは数値が変わっても変わらない。

 ただ、選べる手段の幅が広がった。


 胸の温もりを確認した。

 いつもの場所にある。今は、もっとはっきりと感じる。


 明日も修行を続ける。明日も依頼をこなす。

 始祖の器であろうとなかろうと、やることは変わらない。

 それが、今の俺の答えだった。



**次回・第34話「Cランクへ」**


> 昇格試験を再び受けることになったゼロ。今度は単独での実技試験。試験官が指定した内容は、予想を超えるものだった。



【あとがき】

ついにレベルアップ! Lv.1からLv.8への大幅な成長でしたが、ゼロ自身は「変わっていない」と感じています。数値が変わっても、戦い方の本質は変わらない。それがこのキャラクターの軸だと思っています。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

「続きが気になる」と思っていただけたら、ぜひ★評価・ブックマークをお願いします。ブックマークしておくと更新通知が届きます。

感想・コメントも全部読んでいます。毎日21時更新中です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ