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神に何も貰えなかった転生者、実は成長上限がありませんでした  作者: Nagiousen


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101/122

第101話 「西への視線」

 鍛冶屋の跡で俺たちは、西部の異変について改めて話し合った。


「モリスさんの報告から、数日経ちました」


 俺は言った。


「現地の状況はその後、どうなっているんでしょうか」


「新たな報告が届いている」

 

 カルロが答えた。


「昏睡状態の人数が、さらに増えているらしい」


 俺は眉をひそめた。


「拡大しているということですか」


「そのようだ」


 カルロは続けた。


「フェリクスが、詳しい調査を進めている」


 俺は少し考えた。


「俺たちも、現地に向かうべきだと思います」


「準備を進めよう」


 アルクが言った。


 その時、鍛冶屋の跡の扉が、静かに開いた。

 入ってきたのは、見慣れない人物だった。


 長い白髪を持つ、初老の女性だった。旅装をしているがその物腰には、どこか品格が感じられた。


「失礼します」


 女性は言った。


「ゼロ様は、こちらにいらっしゃいますか」


 俺は立ち上がった。


「俺がゼロです」


 女性は俺を見て、静かに頭を下げた。


「私は、リーゼと申します」


 女性は続けた。


「西部の街、モルンから参りました」


 俺は少し驚いた。今まさに、話題にしていた地域だ。


「モルンというのは」


 俺は聞いた。


「昏睡事件が、最初に発生した街です」


 リーゼは答えた。


「私はその街の、長老を務めておりました」


「務めておりました、というのは」


 俺は聞いた。


 リーゼの表情が、少し曇った。


「今は、その立場ではありません」


 リーゼは続けた。


「街の人々の多くが昏睡状態に陥り、統治する体制自体が崩れてしまいました」


 俺はその言葉の重さを、静かに受け止めた。


「詳しい状況を、聞かせてもらえますか」


 俺は言った。


「はい」


 リーゼは頷いた。


 俺たちはリーゼを、テーブルへと案内した。


---


「事件が始まったのは」


 リーゼは、静かに語り始めた。


「一月ほど、前のことです」


「一月前ですか」


 俺は聞いた。


「モリスさんの報告よりも、前ですね」


「はい」


 リーゼは続けた。


「最初は一人・二人が、意識を失うだけでした。ですが日を追うごとにその数が、増えていきました」


「何か共通点は、ありますか」


 俺は聞いた。


「昏睡した者たちは、皆」


 リーゼは答えた。


「街の外れにある古い遺跡の近くを、訪れていました」


 俺とカルロは、目を合わせた。


「その遺跡について、教えてください」


 俺は言った。


「モルンの遺跡は」


 リーゼは続けた。


「長い間、封鎖されていました。危険な場所だという、言い伝えがあったからです」


「なぜ封鎖が、解かれたんですか」


 俺は聞いた。


「わかりません」


 リーゼは、首を振った。


「ただ一月ほど前から、遺跡の入り口が開いているのが、確認されるようになりました」


 俺は頭の中で、情報を整理した。

 封鎖されていた遺跡。突然開いた入り口。近づいた者が昏睡する。


「これは」


 俺は言った。


「オルディナの遺跡や、リンネの遺跡群と、似た構図かもしれません」


「私もその可能性を、考えていました」


 リーゼは言った。


「ですがこれまでのどの勢力とも、関係が見えませんでした」


「だから直接、俺たちのもとに来たんですね」


 俺は聞いた。


「はい」


 リーゼは頷いた。


「街の人々をこれ以上、失いたくありません。どうか力を、貸してください」


 俺は、リーゼの目を見た。

 その目には、深い焦りと切実な願いが、宿っていた。


「わかりました」


 俺は言った。


「共に、モルンへ向かいます」


 リーゼは、深く頭を下げた。


「ありがとうございます」


---


 その夜、俺はエリナと、今後のことについて話した。


「また遠くまで、行くことになるね」


 エリナは言った。


「そうだな」


 俺は答えた。


「今回はこれまでとは、少し違う相手かもしれない」


「怖い?」


 エリナが聞いた。


「わからないことが、多い」


 俺は正直に答えた。


「でも、放っておけない」


「一緒に行く」


 エリナは言った。


「無理はするなよ」


 俺は言った。


「わかってる」


 エリナは、少し微笑んだ。


 俺は、ステータス画面を確認した。


 ゼロ Lv.16

 HP:70/70

 MP:37/37

 筋力:21 敏捷:25 魔力:14 耐久:18 知力:25

 スキル:なし

 備考欄:◇◇◇◇◇◇


 新しい脅威が、モルンで静かに進行している。

 オルディナ、リンネと似た構図。だがどの勢力とも、繋がりが見えない。

 まだ見ぬ力を求める者。その正体が、また一つ深い謎として、目の前に現れていた。


 窓の外を見た。二つの月が、静かに輝いている。

 西への旅が、また始まろうとしていた。



**次回・第102話「モルンへの道」**


> リーゼの案内で、ゼロたちはモルンへと向かう。道中、リーゼが語る。この街に伝わる古い伝承の中に、思いがけない手がかりが含まれていた。


西部の街モルンから、元長老のリーゼが訪ねてきました。オルディナ、リンネに続く、新たな遺跡の謎。今度は、どの勢力とも繋がりが見えない、正体不明の脅威です。次回、モルンへの旅が始まります。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

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