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第三話 ロードクロサイト


 朝の水やりは気持ちがいい。


「うん。みんな、生き生きしてる」


 育てている花とともに、一日の始まりの太陽を浴びる。

 それが私の大事な日課だ。


「華やかだけど落ち着いた赤なのが、やっぱり心身ともに温かくなるっていうかね」


 そんな私は今、ロードクロサイトという素敵な宝石のイヤリングをしている。

 室内に戻る際、鏡に映った耳元に思わず笑みがこぼれた。




 ――お花みたいな宝石だな、って思ったの。


 そう誰かに話しかける己の声が頭に響き、私はハッとして周囲に意識を向ける。目の前には真っ白な空間が広がっていて、就寝の為にベッドに入ったはずの自分は何故か突っ立っていた。


『こんばんは。貴方に育てられている皆さんは、毎日とても幸せそうですよ』


 そこへ不意に声がかけられ、私は驚いて振り返る。するとそこには、華やかではあるものの落ち着いた赤色の瞳と、ピンク色のふんわりした短い髪の天使が微笑んでいた。

 正確には天使のような微笑みを携えた、少年にも見える男性であったが。


『良かったら是非、こちらも育ててみませんか?』


 そう言って彼に差し出された花を、私は何の躊躇いもなく受け取る。何だか彼のことを、寄り添うパートナーのように感じられたからだ。


「ありがとう。貴方みたいに温かくて、素敵な色ね」


 私が優しい瞳を見つめ返して応えると、彼は嬉しそうに笑みを深めた。




「へえ……ロードクロサイトのロードは、薔薇を意味する言葉なんだ」


 日課の水やりを終えた私は、コーヒーを飲みながらスマホを眺めている。耳には勿論、ロードクロサイトのイヤリングが一緒だ。昨日みた夢で渡された薔薇を調べているうちに、宝石の情報が入ってきたところである。

 宝石を大切にしていると、持ち主の夢にその宝石が人の姿で現れるという、『アキラビト』なる都市伝説も知った。


「さて。それじゃあ、鉢植えの準備をしましょうか」


 立ち上がる私の耳元がふわりと温かくなったのは、気のせいじゃないと良いな。



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