第十二話 ダンビュライト
「ダイヤモンドがそんなに凄いか!?」
『結構色んな意味で、凄いと思うよぉ』
「何かにつけて代用品って言いやがって!」
『それはただの事実だからねぇ』
「私の大事な宝石は、ダンビュライトなんだから!!」
『うんうん、ありがとぉ』
口汚く捲し立てる私の勢いにも動じず、目の前の青年はのんびりと微笑んだ。
薄いピンク色の瞳と、やや長めの金髪を持つ彼の名は、ダンビュライト。普段は私が大切にしているペンダントに嵌まっている、薄っすらピンク色をした美しい宝石である。
今は持ち主の夢に現れる都市伝説アキラビトとして、人の姿をしているけれど。
『宝石って、よく似た見た目が沢山あるからねぇ。僕の場合はそれが偶然、ダイヤモンドだっただけだよぉ』
そう話すダンビュライトは、まるで気にしていないようだ。自分がダイヤモンドの代用品として扱われていたことも、私が他人にペンダントを『ダイヤじゃないんだ』とか言われたことも。
「でも水晶やトパーズだってダイヤの代用だったことあるのに、皆そっちはちゃんと認識してるじゃん。それなのにさあ!」
『まあまあ。無色透明の個体があって輝きが強かったら、大体ダイヤの代用になってるものだよぉ』
私はダンビュライトという宝石を知って欲しい気持ちを表したつもりだが、当の本人はやっぱり関心がなさそうである。のほほんとした様子を見ていると、こちらも次第に毒気が抜かれていく気がした。
「凄いざっくり言うね……」
『宝石には、よくあることだからねぇ』
「そっか……」
『だからねぇ、主。僕を選んでくれたことに、もっと自信を持ってくれると嬉しいなぁ』
そんなダンビュライトの言葉にハッとして顔を上げれば、彼はとても優しい瞳をしている。大事にされているのは私のほうだと、思わず目頭が熱くなった。
――外出の支度をする朝、鏡の前でダンビュライトのペンダントを身に着ける。
「大勢の賛同がなきゃ好きでいられないなんて、おかしいもんね」
ダイヤモンドに憧れを持ちつつ似たものに心奪われたことに、勝手な劣等感を抱いていたのは自分自身だ。でも、もう気にならない。私がダンビュライトという宝石を好きなのだから、つまりダンビュライトは最高なのである。
価値を決められるのは、自分しかいないのだから。




