005話 ペットを飼いたいアリエル公女殿下とファルシのルシがコクーンでパージなプリムラ(義母)
泡姫が公爵の屋敷に帰ると、公爵夫妻に聖獣ノワールと一緒に住まう許可を取るために話そうと思い、談話室に集まって貰った。公爵アーネストはアリエルと同じ金髪碧眼で、王家の血筋が色濃く見えるクールなダンディだ。夫人アマリリスは隣国サウスインダス王国から嫁いで来た公爵家の娘で、亜麻色の髪色をしているおっとりした女性になる。
ノワールは室外に待機して貰って、泡姫は公爵に頼み事をした。
「お父様、お母様。今日はお願いがあって集まって頂きました」
「アリエルから頼み事なんて珍しいね!」
「まあっ! 本当ですこと」
アリエルの普段は父親と同じクールな感じで過ごしているので、子供らしい頼み事などをした事もないので、逆に父母に嬉しがられた。
「ペットを飼って良いかしら?」
「「ペット?」」
「……アリエル様。差し出がましい事ですが、ペットと呼ぶのはどうかと……」
後ろで聞いていたセバスチャンが苦言を呈した。リリーとカルミアは目を合わせて微笑んでいる。常識人のセバスチャンが苦言を述べているので、公爵は不安になった。
「取りあえず、そのペットを見て見ない事には始まらんぞ」
「セバス、連れて来てくれるかしら」
「はい、少々お待ち下さい」
泡姫に促されてセバスチャンが談話室から出て行き、ノワールと共に入って来た。ノワールは2足歩行をしていて大人から子供まで絵姿が広まっているので、ノワールを見た公爵夫妻は声を上げて驚いた。
「「せ、聖獣様!!」」
「よろしくなのニャ。お世話になりたいのニャ~」
ノワールはモジモジしながら公爵夫妻に挨拶をする。公爵は聖獣を間近で見た衝撃から立ち直ると、泡姫が普段はアクセサリ等を身に着けないのを知っていて指摘して来た。
「も、もしかしてアリエルの胸にあるペンダントと、耳のイヤリングは聖女の装備か?!」
「聖女になってしまいましたの。お父様、お母様」
公爵は現実に対処しようとして、夫人はオロオロとし出した。
「これは陛下に報告せねばならんな」
「あらあら、まあまあ……」
「ええっ! そんな事をされたらノワールと離されちゃう!」
「そ、それは困るのニャ!!」
既に液体おやつ中毒になったノワールは、泡姫から引き離されないように必死に弁明する。
「聖女と聖獣は一心同体ニャ! 引き離されたら白髪になって、萎れた白猫になってしまうニャニャ!!」
「それは見て見たいけれど、引き離されないように出来ないかしら? お父様」
「……分かった。陛下には聖獣様と聖女が引き離されないように頼んでいると申し出て見よう。おそらく問題ないはずだ。しかしアリエルが聖女か……国の脅威に対抗できるようにせねばならぬが、レベル上げは我が領軍で主動すべきか?」
「それなら問題ないニャ。魔の森に向かうニャ!」
「「「「「魔の森!!」」」」」
魔の森は泡姫の所属しているノースグラナリー王国の南に位置していて、多くの強力な魔物が徘徊する場所になる。ノワールは聖女が魔の森の魔物に対して特攻を持っている事を話して、そこで歴代の聖女のレベル上げが行われて来た事を説明した。
貴族は貴族院に入学する前にレベル上げするのが慣例なのだが、公爵は移動に不安を示した。
「しかし魔の森に行くには馬車で2日程かかるのだぞ。まだ成人していない娘を長旅に晒すのはちょっとな……」
「お父様、それならば問題ありません。聖女のイヤリングを入手したので古代遺跡の転移門が使えます」
「「「「「て、転移門!!」」」」」
大昔に滅亡した魔法帝国が残した古代遺跡に転移門という魔術具があって、世界各地の古代遺跡に一瞬で移動が出来るようになっている。その転移門を使うには聖女シリーズのイヤリングが必要だったので、泡姫は強引にオークションで入手したのだ。
公爵は夫人を見て溜息を吐いた。
「アリエルがアマリリスから暗黒魔法を引き継いでいて強いのは知っておるが、魔の森で戦えるのか不安だ」
「旦那様、儂が着いて行きます」
「ええっ!?」
泡姫はセバスチャンが着いて来ることに難色を示す。将来的に自分をターゲットにする暗殺者となる者と一緒に居たくないからだ。
「おおっ! セバスが同行してくれるならば問題なさそうだ!」
「そうですわね。アリエル、セバスの言う事を聞いてね」
「は、はい……」
セバスチャンは夫人と共に隣国サウスインダス王国から輿入れに同行して来た使用人だ。公爵夫妻はセバスチャンに絶大の信頼を寄せているので覆せないだろうと思い、泡姫は嫌々ながらも了承した。結局の所、魔の森への同行者はノワールとセバスチャン、リリーとカルミアに決まる。
ついでにオークションで富豪を紹介する件についても、公爵にお願いして置くのを泡姫は忘れなかった。
その後は元の巨大な黒猫姿になったノワールを女性陣が撫で撫でして可愛がるイベントをして、約束だった猫まっしぐらな猫缶にドライ・キャットフードを混ぜた食事をノワールに与えて中毒症状を加速させたりした。
一方その頃、泡姫の義母だったプリムラは、貴族院の入学試験の勉強に励んでいた。泡姫は貴族なので入学試験は免除されていて、しかも講師がお付きで勉強を教えているので最終学年の講義内容の半ばまで履修が進んでいるのだが、プリムラは平民であるためにそんな余裕がなかったのだ。自宅である冒険者食堂の2階の自室で唸っていた。
「う~ん、魔法に属性があって反発したりとか、呪文も長いし覚えられない……」
魔法の基礎を勉強しているが、地球では泡姫が頑張ってゲーム設定していた内容になる。頭を掻きむしりながらプリムラは昭和のダジャレを叫んだ。
「訳ワカメだわ!!」
ゲーム会社に勤めていた泡姫なら、こう突っ込みが入るだろう。
「それはファルシのルシがコクーンでパージ(異世界の物理や科学や魔法の法則を説明するのが非常に大変)と言うのよ!!」
後でセバスからノワールの事を、泡姫がペット呼ばわりしていた事を聞いた。
ノワール「我はペットではないニャニャ!」
泡姫 「実はチュ○ルは猫のおやつなのよ」
ノワール「ガガーンニャ……」
次回の話は翌日の19時になります。
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