022話 聖戦の後始末とプリムラ(義母)に神様からのお願い(脅迫)
サウスインダス王国の王都に行き来し、聖戦の地の3つの領都の騒乱の後始末を手伝う泡姫達。領地を治める貴族家が排除されたので、王家直轄地として代官を置くようで移動を手伝った。ドレイク伯爵、カイロス子爵、ヘイロー男爵の一家に対する裁判も即座に行われて、連座での処刑が決まった。トレニアを筆頭にセバスチャンとジスランは、その処刑を見守ったようだが泡姫は参加しなかった。
泡姫は第1騎士団と第2騎士団を転移門でノースグラナリー王国に戻したが、トランとストレイとレオンの3人は寄る所があると言うので馬で去って行く。サウスインダス王国に来られる機会など中々にないので色々と見て回るようだ。
泡姫達はトレニアの王女としての仕事に付き合ってサウスインダス王国の王城に客として滞在していた。本来ならば間もなく貴族院が始まるのでノースグラナリー王国に戻らないとならないが、転移門が使えるので急ぐ理由がなかった為、アリエル公女殿下の母親の実家に挨拶したりして過ごす。
談話室にサウスインダス王国に居残った皆が集まっていた。泡姫、ノワール、セバスチャン、ジスラン、リリー、カルミア、ヴィンス、ブレイド、トレニアで、泡姫とヴィンスが転生者と知るいつものメンバーである。
トレニアが筋を通そうとする。
「アリエル。貴女は聖女で私の国を救ってくれたのよ。パレードでもして国民に周知したいのだけれど」
「ええっ! 嫌よそんなの。成人までは聖女だと公表する気はないから」
「……分かったわ。お父様には私から断って置くわ。でも代わりに何かお礼を受け取って欲しいのだけれど」
トレニアは父である国王陛下から言われたようで困っているようだった。泡姫は少し考えるが、お金も地位も名誉も必要ないので困ってしまう。セバスチャンが助け舟を出してくれた。
「アリエル様。それでしたら残りの聖女シリーズを探索する許可を頂いたらどうでしょう? 物語で語られている部位が欠けていて、他国の者がダンジョンを探るのは許可が中々に下りないので、欲しいとなったら苦労すると思うのじゃが」
「あっ! それ良いわね!」
ゲームでも聖女がサウスインダス王国で聖女シリーズを探索するのに活動するのだが、地味で厄介なクエストを大量に引き回されて苦労していたはずだ。トレニアが話を通してくれるようだ。
「そんな物で良いのかしら? 直ぐに許可が下りると思いますよ」
図々しくもブレイドが行きたい所があるようで挙手をした。
「はいはい、はいっ! 俺は聖剣を引き抜きに行きたい! 観光しようぜ! こんな機会は滅多にないからな」
セバスチャンの肩に張り付いているノワールが床に降りてブレイドに近寄った。
「クンクンクン……この茶髪は童貞じゃニャいので……むぐぐぐ!」
「男の夢を壊さないで下さい。聖獣様」
セバスチャンが目にも止まらないスピードでノワールの口を塞いだ。ブレイドは聖剣を引き抜ける条件を話している時に居なかったので知らない話である。
聖剣は元ドレイク伯爵領の外れにある『聖剣村』の岩山の頂上に刺さっていて、観光地化されていた。物語に触発されて勇者を目指す者が訪れて、聖剣を抜こうと訪れる場所になっているらしい。
泡姫は黙っているヴィンスが気になった。
「ヴィンス。聖女シリーズを取りに行くのと、聖剣村に行くので良いかしら?」
「ああ。聖女シリーズは付き合うよ。聖剣村は行ってもなぁ……」
「駄目なのかしら?」
「駄目とかじゃないんだ。子供の頃は聖剣に憧れもしたが、アリエルが聖女になって大変な思いをしているのを見ていると、聖剣が疫病神に見えて仕方がない」
「ふふっ! それならば聖剣は一先ず置いて、日本でのヴィンスが好きだったかは分からないけれど、聖剣村には温泉があるのよ」
「温泉!」
ヴィンスも乗り気になったようで目を輝かせた。
一方その頃、泡姫の義母だったプリムラは、富豪の女傑ディステルに商会の仕事を仕込まれていた。将来に夫になるかも知れない息子ウォードは、プリムラが性的欲求を満足させられないので、いつもの日課である娼館に行っていた。
バチッ!
「い、痛いっ!!」
プリムラは四則演算を日本での知識があるので出来るので、商会の帳簿の整理をやらされていた所、ディステルに小型の鞭で手の甲を叩かれた。
「ほら、そこの項目が間違っているよ! 冒険者食堂の娘だったのだろう? 帳簿の1つも書けないで親の教育がなっていないよ!」
「わ、私は食堂を継ぐつもりはなかったし……」
ウォードの嫁になるつもりもないので、今だけ耐えれば良いかと甘い考えで作業をしているプリムラであった。ディステルに見透かされているのか、他についても指摘される。
バチッ!
「キャッ!!」
「ここの字が汚いね。これじゃあ読めやしないよ!」
不意打ちの様にディステルに小型の鞭で手の甲を叩かれたので、プリムラは悲鳴を上げた。地球での事を思い出し、この頃は泡姫に少しだけ……ほんの少しだけ意地悪をして悪かったと心の中で思った。
突然に頭の中に声が聞こえる。声の主はテオ神のようでお願いをされた。
『僕はテオね。声は出さないで頭の中で会話するようにすると、念話として僕と会話ができるよ! それでお願いがあるんだけれど良いかな?』
『お前か!! 私の転生先はヒロインの聖女と聞いたけれど、本当にプリンセスになるのかしら?!』
『う~ん、それは君の頑張り次第かな。僕からは干渉ができないしね。それでお願いを聞いてくれるの? まあ聞いてくれないと、もっと酷い事になるだけだけれど、僕には関係ないから良いかっ!』
『……それはお願いじゃなくて、脅迫と言うやつじゃないかしら?』
『ふふっ! 僕、子供だから難しい事は分かんなぁい!』
プリムラは根負けして話だけ聞く事にした。
『それでお願いって何よ?』
『それはね…………』
テオ神のお願いは出来ない話でもなかった。
『分かったわ。タイミングを伝えてくれればやるわよ』
『やったーっ!! それじゃよろしくね!』
テオ神は声をかけて来た時と同様に突然に気配が消えた。
バチッン!
「キャッ!!」
「なにボーッとしてるんだい! 弛んでるんじゃないよ!!」
テオ神との念話に集中していて作業が疎かになり、プリムラはディステルに小型の鞭で手の甲を強く叩かれた。
ヴィンス「温泉かぁ……饅頭が食べたい」
泡姫はアイテム生成で饅頭を出して、ヴィンスに渡した。
泡姫 「あるわよ、はいこれ」
ヴィンス「君のゲーム会社のアイテム担当者は、ファンタジー世界をぶち壊しじゃないか?」
テオ神 『そのまま実装した僕を敬い給え!』
泡姫 「……今、食べられるのは、その子のお陰ね」
テオ神 『アリエルちゃんに無視された!』
ヴィンス「まあそうだけれど……」
プリムラ「それで私が脅迫を断るとどうなるの?」
テオ神 『ぐっちゃんドロドロな感じ?』
プリムラ「き、聞かなければ良かった……」
次回の話は翌日の19時になります。
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