016話 恋話の行方と神様の贈り物、そして不意打ちのキス!
男子会が終わると、公爵の屋敷に皆が集まった。
帰って来るなりルパートはトレニアに宣言する。
「私は王となって貴女を娶りたい。まだ若輩者故に王の器があるか分からぬが、貴女に認められた王になると誓おう!」
「楽しみにしていますことよ」
トレニアは嬉しそうにルパートを見つめた。
カルミアはブレイドを呼び出して茶色のハズバンド・リストバンドを渡した。
「こ、これ……」
「ん? 俺にくれるの?」
「はい」
「何で?」
「騎士仲間として!」
「カルミアちゃんの着けているのは色違いのお揃い?」
「!!」
ペアルックがバレて、カルミアは顔を赤くして絶句してしまう。ブレイドはホッとしたように顔をほころばせた。
「俺、避けられていると思っていたから嬉しい! もしかしてウザかった?」
「さ、避けてなんかいない! もっと構って! ……あっ!」
「やったっー!!」
調子に乗ったブレイドはカルミアに飛びつこうとするが、ブレイドの顔を手の平で押しやって抵抗された。
ヴィンスは泡姫のお部屋にお邪魔していた。皆が公爵の屋敷に集まるので2人きりになれる場所が、ここしかなかったのもある。女性の部屋に招かれるのは前世も含めて数える程なので緊張していた。
リリーが机にお茶の用意をすると退出して行く。
「お茶のご用意ができました。それではごゆっくりお寛ぎください」
「ありがとう、リリー」
2人して椅子に腰かけるが、椅子は隣り合っていて触れ合えそうな位置に配置されていた。泡姫が先に婚約のお祝いを差し出した。
「それでこちらの風習では婚約のお祝いをお互いに渡す風習があるじゃない?」
「あ、ああ。そうらしいな」
「私からはこちらです。アイテム生成で出したのだけれど騎士にピッタリだと思って」
ヴィンスは驚きながら受け取ると、腕に青色のハズバンド・リストバンドを装着した。
「良かった! 髪色とお揃いなのでピッタリね! 魔法が付与されていて防御力を増すのよ」
「それは凄いな! ありがとう、アリエル。俺からは、これだ」
ヴィンスは抱えていた袋から灰色のマントとリングを出して泡姫に渡した。
「まあっ! これ、もしかして聖女シリーズ?」
「そうだ。世に出回っていなかったので、俺とブレイドの騎士団の精鋭達が協力して、義父さんが主催してダンジョンから取って来たんだ。身に着けてくれ」
ヴィンスが手伝ってくれて泡姫が装着すると、灰色をしていたマントとリングが光って元の色を取り戻した。マントは純白の布地に星の煌めきを模した配置で刺繍が施されていた。リングはイヤリングと同じように、金色の台座に星の煌めきを模した配置で宝石が埋め込まれている見事な品である。鑑定するとマントがHP自動回復で、リングがMP自動回復だ。ホーリー・サンクチュアリのように徐々に回復するので、長期戦の時には重宝した品でゲーム中でも活躍した品だった。
泡姫とヴィンスはお互いに手を取り合って良い雰囲気になる。ヴィンスが顔を寄せて来たので泡姫は目を瞑ると、ノワールとセバスチャンの声が突然に聞こえた。ノワールはセバスチャンの肩に張り付いていた。
「盛っておるのニャ!」
「お取込み中、申し訳ございません。アリエル様。ダンジョンの宝箱からテオ神より預かりました品をお渡し致したく参上しました」
「う、うわぁっ!!」
「どうせセバスの事だから覗いていたのでしょ? 受け取って置くわね」
「こちらでございます」
セバスチャンから麻袋を受け取ると、袋に書かれていた文字を泡姫は読んで溜息を吐いた。
「テオ神からお祝いなんて不吉ね」
「か、神様だろう?」
「話すと長くなるのだけれど、私の出来の悪い息子みたいな者だから……」
「そ、そうなのか!?」
ヴィンスは信心深いのか恐れ多そうに肩を竦めた。泡姫が世界設定したゲームの世界観をパクッて、この異世界の理として設定したので、オリジナルの著作権は泡姫にあると思っている。気を取り直して麻袋の中からピンク色の小瓶を出して見ると、ラベルも何もないので鑑定して見る。
「鑑定……び、媚薬?! インキュバスとサキュバスもイ・チ・コ・ロな神作成の媚薬。男女両方に効果あり。もう! 何て変な物をくれるのかしら! ちょっとテオ神にお説教するわ!」
「お、お手柔らかに……」
泡姫は念話でテオ神を呼び出すと、ドヤ顔をしていそうに声を弾ませていた。
『テオ神!?』
『フフフ。アリエルちゃん、気に入ってもらえた?』
『こんなジョーク・グッズなんて使えないでしょ!』
『ヴィンス君は奥手そうだから、僕が気を回したんじゃないか』
『そう言うのを余計なお節介って言うのよ!!』
『まあ使う使わないはアリエルちゃんに任せるよ。時には獣のように交わるのも良い物だと思うけれどねぇ』
『……私達、まだ若いから必要ないけれど、歳を取ったら良いのかしら?』
『勇者君のようにならないように注意は必要かな』
『テオ神は実は邪神だったりしない?』
『僕は真っ当な神だよ! それじゃあ楽しんで!』
「何て酷い神様かしら……」
テオ神の気配が消えたので、泡姫は呟いた。セバスチャンは興味があるのか欲しがった。
「アリエル様。その媚薬を頂けないでしょうか?」
「確かセバスは薬全般に興味があるのよね。上げるけれど悪用は駄目よ」
「もちろんでございます。効果を見て見ないと分からないので、儂が治験を致しましょう」
泡姫はゲームのセバスチャンがやり過ぎて、アリエル公女殿下が悪役令嬢としての評判が広まった経緯があるので注意した。今回は暗殺者としてのセバスチャンとは息子を救出する予定になっているので、セバスチャンの信頼を得られているから無茶はせずに大丈夫だと判断する。
泡姫がピンク色の小瓶が入った麻袋をセバスチャンに渡すと、ノワールを引っぺがして置いてから消えるように居なくなった。泡姫にはいつもの光景なので想定していたが、それを見たヴィンスが驚きの表情で固まっている所、泡姫は不意打ちの様にヴィンスの頬にキスをした。
セバスは媚薬の3分の1を公爵家の下働きの男に飲ませた。
下働きの男「ゴクッ! ………フゥッ! フゥッ! や、ヤバいです!!」
セバスは下働きの男の様子を観察すると、銀貨を5枚渡す。
セバス 「これで娼館にでも行くのじゃ」
下働きの男「あ、ありがとうございます!!」
下働きの男は凄く歩きにくそうにしながら走って行った。
セバス 「1口でも良さそうですね……」
次回の話は翌日の19時になります。
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