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壁パンマンですがありあまる童貞力で魔法使いとなったのでリア充を殴ります  作者: ニート鳥
3話 壁パンマンですがようやくリア充を殴ります
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 映画が終わった後、紀夫たちはショッピングモールを出て駅の方に戻る。そのまま帰るというわけではなく、場所を変えたかったのだ。紀夫と槇島は輝沢さんを駅の近くにある小洒落たカフェに案内した。


 ここで小休憩、というわけである。ショッピングモール内は平日とはいえ騒がしいので、雰囲気を重視したのである。できる男はこういうところが違う。入店しつつ、紀夫は自画自賛で悦に浸った。


 座席に案内されると、さっそく紀夫は店員を呼びつけ、注文する。


「あ~、エスプレッソ」


 紀夫は椅子に深く腰掛け、ドヤ顔でゆっくりと言った。余裕をもって大人の味をオーダーするという、紀夫流のかっこいいやり方だ。さて、輝沢さんは見てくれているだろうか。


 チラリと紀夫が確認すると、輝沢さんはメニューに目を落とし、急いで何を注文するか決めている最中だった。紀夫が店員を呼ぶのが早すぎたらしい。「……バ~カ」。小声で槇島は紀夫を煽る。


 紀夫はイラッとするが、ここは大人の余裕を維持しなければ。運ばれてきたエスプレッソを紀夫は静かにすする。……苦い。元々紀夫はコーヒーがそこまで得意でないのに、ここまでブラックだと飲み切るのは無理だ。


 仕方なく紀夫は輝沢さんが見ていないタイミングを見計らって、角砂糖をドバドバ投入する。ミルクを入れると色が変わってばれる可能性があるので、角砂糖オンリーで凌ぐしかない。目ざとい槇島は紀夫が陥っている状況を理解し、笑いを堪えていた。だが槇島はどうでもいい。輝沢さんに悟られなければ紀夫の勝ちだ!


「長谷がこんなかっこいいお店を知ってるなんて意外。どこで知ったの?」


 輝沢さんの質問に対し、紀夫は得意げに答える。


「前から知ってただけだよ。駅の近くだからな」


 本当は速見に訊いただけである。速見は山科さんとこの辺りでデートするとき、この店を使うのだ。やはり事前の予習は重要である。


「コウくんはこんなお店に連れていってくれたことないから、すごく新鮮……!」


 輝沢さんの言葉に、紀夫はニヤける。


「今は森橋のことなんか忘れちまえよ。映画はどうだった?」


 期待半分、不安半分で紀夫は訊いた。


「よかったよ。主演のおじさんがかっこよかった! ああいうアクション、どうやって撮影してるんだろうね? コウくんでもあんな体の使い方はできないと思う」


 輝沢さんの反応は上々で、紀夫はホッとする。輝沢さんは運動部らしくアクションに注目しているようだった。そこらへんは紀夫の専門外である。


「そ、そうだな。原作と全然違うからビックリしたよ」


 原作では銃をおっかなびっくり使う臆病な高校生だったはずの主人公は、なぜか映画ではダイナミックに銃を振り回すキリングマシーンなオッサンになっていた。まるで洋ゲーの主人公である。アメリカでは、銃を使うのはオッサンでなければならないという決まりでもあるのだろうか。


「そうなんだ。それより脇役の刀で戦ってた黒人の人、あれは誰なの? 全然見たことない人だった! やっぱ一年遠ざかると全然変わっちゃうんだね!」


 輝沢さんは紀夫が全く興味のない俳優の話を始める。紀夫は全くついていけなかったが、槇島は三次元にも詳しいので会話は盛り上がっていた。全く恐ろしい女である。紀夫は三人組でハブられる一人と化していたが、輝沢さんが喜んでいるなら何よりだ。




 最後に紀夫は輝沢さんをゲームセンターに連れて行くことにした。ここなら紀夫がリードをとれるという計算である。映画談義でぼっち化した遅れを一気に挽回だ。そして森橋から輝沢さんをNTR……!


「ウチ、ゲームとかあんまり得意じゃないんだけど……」


 輝沢さんは不安げだが、紀夫は意気揚々と入店する。


「大丈夫、ゲームはハートなんだよ!」


 紀夫は適当なことを言いつつ、まず音ゲーの筐体に向かう。リズムに合わせて太鼓を叩くという、比較的敷居の低いゲームだ。難易度は調整できるので、初心者でも楽しめる。二人同時にプレーできるので、紀夫は輝沢さんと並んで筐体の前に立った。


「長谷はセンスないからね~! 案外輝沢さんの方が上手いかもしれないわよ?」


「うっせ~。俺のバチさばきを見たら腰を抜かすぞ!」


 槇島は後ろから冗談めかして言い、紀夫は自信満々に腕を捲って見せる。実のところ、紀夫は音ゲーはあまり得意でない。槇島の言う通り、あまりセンスがないのだ。しかしコッソリ難易度を初心者向けにすれば、リズムに乗せてゆっくり太鼓を叩くだけという接待プレー状態になるので紀夫でも高得点を狙える。


 紀夫は一回目のプレーでほとんどパーフェクトに近い点数を出す。どうだ! とニンマリ笑みを浮かべながら紀夫が隣を見ると、輝沢さんも近いくらいの点数を獲得していた。


「上級者向けでその点数なの!? 長谷すご~い!」


 輝沢さんは素直に驚いてくれる。紀夫は顔を引きつらせながら尋ねた。


「輝沢さんこそすごい点数じゃん。このゲームやったことあるのか?」


「ううん、初めて。でも、コツは掴めてきたかも。次は難易度上げてみようかな」


 そりゃあ、低難易度なら紀夫でもパーフェクトを狙えるゲームなのだ。運動神経があって音楽が苦手なわけでない輝沢さんなら、いきなり高得点を獲得してもおかしくはない。


「……」


 作戦は成功しているが、非常に罪悪感を感じる。輝沢さんの人間性につけこんでいるような……。いや、実際騙しているんだから悪いんだけれども。作戦がうまく行き過ぎて、逆に気持ち悪い。輝沢さんが素直すぎるのだ。


 いまいち乗り切れなくなった紀夫は難易度を上げるが、そうすると点がとれない。紀夫はまあまあの点数をとった輝沢さんをぎこちない笑みで褒めつつ、オーバーな動きで画面を隠して自分の点数を見せないようにした。ああ、全く楽しくない。




 数度プレイした後、紀夫たちは別のゲームをやることにした。今度はダンスゲームである。紀夫はからっきしだが、ここら辺で目先を変えておかないと大人しいゲームが続いて飽きることになる。幸い槇島はまあまあこなせるので、輝沢さんと一緒にプレーしてもらおう。


「輝沢さん、なかなかやるじゃない!」


「ウチ、このゲームなら、小学校のときにやったことあるから!」


 輝沢さんと槇島は楽しそうにやりとりしながら、音楽に合わせてステップを踏む。二人とも素人としては上々の点数を記録していた。しばらく紀夫は女子二人のダンスを外野から眺めることにする。


(ま、たまには休憩もいいだろ……)


 紀夫は筐体の後ろにある手摺りに寄り掛かり、肩の力を抜く。少しの間ボォッとしていてもいいだろう。


 そう思ってぼんやりしていると、紀夫は重要な事実に気がついた。……輝沢さんも槇島も、パンチラしまくっているのだ。二人とも膝くらいまでのスカートを履いて、跳んだり跳ねたりしている。それでも普通にしていれば見えないが、紀夫は手摺りに寄り掛かって頭を低くしていた。図らずもスカートの中を覗きたい放題のポジションをゲットしていたのである。


(こ、これは凄い……! 天国だ……!)


 槇島が履いていたのは何の変哲もない白い下着だった。奇をてらってTバックだったりしたらぶっ殺したくなるところだったが、これは逆に良い。普段のふざけた言動がかわいいものに思えて、急に許せる気になった。汚い中身と綺麗なパンツのギャップを存分に楽しもう。


 一方、輝沢さんの下着はイメージ通りだった。快活な彼女にピッタリな明るい黄緑色の逸品が、肉付きのよい尻を包んでいる。俺はこういうのを期待していたんだ!


 輝沢さんは槇島と違ってムチムチしているので、非常に見応えがある。輝沢さんの動きに合わせて、大きなお尻が揺れるのだ。しかも激しい運動をしたせいで輝沢さんはほんのりと汗ばんでいた。輝沢さんの玉のような肌にきらりと汗が光る様子は、例えようもないくらいにエロティックだ。あともう一押し、そんなことが起きるわけはないのだが、パンツがずれて中身が顔を覗かせるのではないかと期待せずにいられない。


 おまけに輝沢さんは胸も大きい。お尻が揺れるほどに動けば、当然胸もバインバインに揺れる。なのでお尻と胸で戦闘力は二倍なのに加え、輝沢さんのお尻や胸の谷間を濡らす汗でさらに二倍、揺れることによりさらにさらに三倍、エロさは12倍だ! 紀夫は天にも昇る気持ちで輝沢さんをガン見し続けた。




 やがてゲームが終わり、輝沢さんと槇島は紀夫のところに戻ってくる。槇島は肩をいからせて紀夫のところにツカツカと歩み寄り、耳を引っ張った。


「痛ててて! 何するんだよ!」


「このお馬鹿! 覗いてたでしょ!」


 小声で叱られ、紀夫は慌てた。


「ば、ばれてたのか!」


「女の子はそういう視線にすぐ気付いちゃうの!」


 そう言って槇島はいっそう強く紀夫の耳を引っ張る。まさか槇島が女の子だったとは驚きだ。クソ野郎に限って自意識過剰で敏感なんだよなぁ……。


 視界の端で、輝沢さんは全くわけがわからないという表情で首を傾げていた。輝沢さんは天然というか素直というか、とにかく紀夫が悪いことをするとは夢にも思っていないので、槇島がなぜ怒っているかわからないようだ。こういう娘だから紀夫は必死にならざるをえないのである。

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