第9話 遺物開封会(?)ヒロインショーの悪役はハゲだった
ハゲハゲ言ってはいますが、ジョーンズはハゲてません。
性根がハゲ散らかして探究心だけズル剥けになってるだけです。
古代遺跡から脱出して、三日目の早朝。
地球の近畿エリア大学駐機場。
朝靄を割り、蒟蒻号がゆっくりと降りてきた。
腹部増設プラグには、学術調査艇「宙風」がまだ貼り付いている。
救助先で拾ってきた船を腹へ抱えた姿は、腹へ風船をくっつけられて途方に暮れるぬこそのものである。
誘導灯に従って着陸脚が接地する。
プシューッ♡
ハッチが開くと、既に待機していたユリエル・レイダースと研究チーム、考古学科の学生たちが一斉に振り向いた。
総勢、十五名ほど。
朝一番の集合にしては皆、目が輝いている。
何しろ、これから運び出すのは既知の文明圏へ一度も登録されたことのない古代遺物である。
「おはようございます、あにさま!」
『おはよう、ユリエル。早くから済まないね』
「とんでもありません。こちらは準備万端です!」
白衣の袖を捲ったユリエルが、搬入経路を表示する。
大きさ、材質、推定用途、危険性。
搬出した遺物を仮分類し、封印容器へ収め、研究棟の各保管庫へ送る。
メンバーと学生たちは台車と緩衝材を用意し、未知との遭遇を今か今かと待っていた。
「検疫区画、隔離庫、重量物搬入口、全て確保済みです」
「記録用の子機も回してあるぞ」
「にゅ~ん。変な汁が出てきたら呼んでねぇ~(*'ω'*)」
「変な汁が出る前に呼んでください!」
『では、始めようか』
哲人は腰のコスモ・ポーチへ手を入れた。
見た目は市販のアウトドア用品。
中身は、ジョーンズが三日三晩にわたる勇者行為で根こそぎ回収した古代文明の遺産である。
最初に出てきたのは、両手へ載るほどの黒い箱だった。
「おお……!」
学生たちから歓声が上がる。
大小さまざまな遺物が次々と朝日に晒され、整理台へ並べられていく。
初めの一時間は、実に順調だった。
だが、二時間目になると、学生たちの歓声が消えた。
「……あの、星永さん」
『何かね?』
「これ、あと幾つあるんですか?」
『これはセンセイのだから、私も正確なところは知らん。回収リストを確認してみよう』
空中へ一覧が展開された。
ページが高速で流れる。
ユリエルの目からハイライトさんが行方不明となる。
「……数万点、あります」
「ファッ!? 数万……」
「にゅ~ん、今日中になんておわらないよぅ~(´;ω;`)」
「おのれ宇宙坊主め……ゆ゛る゛さ゛ん゛!」
十五名が、果ての見えぬ遺物の山を見つめた。
ハゲ一匹による勇者行為の戦果は、全員の希望を容易く圧し折る物量だった。
* * *
『フム、埒が明かんな』
哲人は即断した。
『(ヒナシ)』
『「了解よ。早速ユニバーサルハロワへリクエストを送信するわ。内容はこうよ」』
***大人気の短期軽作業***
勤務地、大学駐機場。
業務内容、発掘物の仕分け及び格納等の軽作業。
対象、近畿エリアの大学生および周辺住人。
報酬、日当二万宇宙円。
作業が早く終わった場合も全額保証。
募集人数、五百名。
『ヨシ! あとは待つばかりだな』
条件が良い。
しかも早く終われば、早く帰れて日当は同じ。
募集枠は見る間に埋まった。
「短期バイトはこちらですかー?」
「考古学科じゃないですけど大丈夫ですか?」
「軍手は持ってきました!」
静かだった駐機場が、朝市のような賑わいへ変わる。
集まった人数はなんと500人!
幾つかの班へ分け、研究者が各班の先頭で危険物を判定する事となった。
受け取り、仮登録、撮影、分類、梱包、運搬。
人の列が巨大な搬送機械のように動き出した。
十五名では微動だにしなかった遺物の山が、目に見える速度で縮んでいく。
「す、すごい……」
ユリエルは感嘆し、それから少しだけ頬を引きつらせた。
「たった一人でこの量をどうやって集めてきたのよ……」
『三日間、寝ずに集めていたそうだ』
「キモい集中力なのヨw」
「ホントにもう……」
高名な宇宙考古学者の情熱は、規模を数値化すると大体キモかった。
* * *
遺物を捌く目処が立ったところで、哲人は次なる問題へ取りかかった。
『ヨシ! 仕出しを注文しよう』
哲人は周辺の仕出し屋を検索した。
条件に合った店は四軒。
『フム、これなら手分けして貰って……いや、そうだ(ピコン♪)折角だから趣向を凝らしてみるか……』
四店舗へ、小型幕の内弁当を五百食ずつ。
一店舗へ無理な注文を集中させず、同じ条件で四店へ分散する。
参加者一人につき、各店のちっこい弁当を一個ずつ。
即ち、四つの食べ比べ上幕の内弁当である。
しかも哲人は、食後に参加者アンケートを行い、総合一位の店へ別途ボーナスを支給すると通知した。
ただの大量注文が、その瞬間。
仕出し屋対抗・幕の内グランプリへ変貌した。
四店、俄然張り切る。
献立の微調整が始まり、煮物の照りが増し、焼き魚の仕上がり時刻が再計算され、揚げ物の油が新品へ交換された。
『おっと。理仁亜の分として特盛四つを忘れてはならぬなw』
「にょほほ……w ほな、ハゲの分はどうするのヨ?」
『センセイはお休みだから要らん(キッパリ♡)』
「フヨウラ! にょほほ……♡」
* * *
人海戦術は圧倒的だった。
太陽が天頂へ差し掛かる頃には、数万点の遺物が仮登録を終え、それぞれの保管区画へ収まっていた。
入れ替わりに駐機場へ簡易テントと長机が並べられる。
四店舗の配送車が到着し、色違いの包み紙に包まれた弁当が山を築いた。
「お疲れ様でした。アンケートは食後に端末からお願いします!」
「俺、こっちの店かな。出汁がいい」
「いや、この焼き魚うまいぞ」
「煮物なら千代竹だな」
五百人が四つの幕の内を開き、あちらこちらで品評会が始まる。
理仁亜の前には、特盛四個。
「ン……どれも美味しい、です……」
幸せそうである。
ユリエルも学生たちに混じり、小さな卵焼きを口へ運んだ。
遺物は片付いた。
飯は美味い。
実に平和だった。
――この瞬間までは。
蒟蒻号のハッチが、勢いよく開いた。
「遺物の気配がするぞい!」
三日間眠り続けたジョーンズ・レイダースが、目覚めた。
寝起きとは思えぬ速度でタラップを駆け下りる。
視線の先には、綺麗に仕分けられ、今まさに研究棟へ収まろうとしている数万点の古代遺物。
「おっほ♡ 待っとれ未知よ! 今すぐワシが調べてやるぞぉぉぉ!」
荷下ろしを手伝っていないくせに、遺物へ触る気満々。
圧倒的便乗マンであった。
地響きと共に、巨体が遺物の山へ突進する。
五百人が弁当を持ったまま「ぎょっ」と振り向いた。
「なんか来たぞ」
「うわ! ハゲだ」
「ハゲ海嘯だ!」
「もう! おじいちゃん!」
ユリエルが立ち上がり、進路へ躍り出た。
「そこを退くんじゃユリエル! ワシは遺物を調査せねばならん!」
「そんな決まりありません! 検疫と登録が終わるまで触っては駄目!」
「先っちょ! 先っちょだけ!」
「それで古代ステーションを爆破したじゃない!」
ぐう正論。
だが未知を前にしたジョーンズに、正論など意味を持たぬ。
「ファファファ……ならば押し通るまでじゃあ!」
相手が実の孫娘だろうと、ハゲ海嘯は止まらぬ。
この浅ましきハゲの態度に、とうとう堪忍袋がズタズタに引き裂かれたユリエル。
小さく溜息を吐くと、腰へバックルを装着した。
中央へ嵌め込まれた宝石が、朝の名残を吹き飛ばすほど眩く輝く。
「”オープン、ストラクト!”」
眼前へ、畳状の光の障壁が開いた。
「ぬおっ!? プギャッ(ズゴム♡)」
ジョーンズが真正面から激突する。
光の構造体が回転し、ユリエルの全身へ次々と重なった。
白銀を基調とする装甲。
星空の青を湛えた装飾。
翼と花弁を思わせる光が背へ広がり、優美な戦乙女の輪郭を作る。
そして――
「”HEN-SHIN……チェンジ、セプテクス!”」
「はぎょ!? ユリエル、オヌシ、まさかそのベルトは……!(((((;゜Д゜))))ガクガクブルブル」
「左様です……お母様が使っていたガジェットよ……」
ジョーンズの顔から、血の気が引いた。
「じゃ、じゃがちょっと待って欲しい! それは古びた鉈みたいなのとセットで、しょっぱい技をかますだけの一発屋じゃったはずじゃ!」
「貴将兄者と、蔵智姉者によって、本来の力を取り戻したのよ!」
「いやー、中々興味深い解析でした」
「電池かえたら~、動くようになったよぉ~?(*'ω'*)」
この力の源流となったガジェットを以前使っていたのは、自身のムスッコの嫁である律っちゃんこと、律・涼月・レイダース。
律っちゃんは考古学科のまとめ役でハゲの天敵である。
つまりハゲは昔から、この系統の力によって制裁されてきた。
母から娘へ。
世代を超え、よりパワーうpして受け継がれる、対ハゲ制裁システムである。
「ま、待つんじゃユリエル。話せば分かる。前でも大概痛かったんじゃ、そんなもの喰らったらワシは氏んでしまう! 許して! ねっ!? ねっ!? ねっ!?」
「駄目よ!」
「そうだよ~(便乗)駄目だよ~(*'ω'*)」
「駄目ですね(便乗)」
「うそそ~ん(´;ω;`)」
セプテクスはサクレッドワンドを抜いた。
光のカードが三枚、扇状に展開される。
「”セイントレイ!”」
pipipipi……デン! シュイィィーン!
「”ユニバース!”」
pipipipi……デン! シュイィィーン!
「”コスモジェット!”」
pipipipi……デン! シュイィィーン!
三つの役が揃い、サクレッドワンドの刀身へ閃光が満ちた。
五百人の観客が、幕の内弁当を持ったまま息を呑む。
「”ライトニング・ボルテクス!”(バーバババーバババリバリ♡)」
「待つんじゃ! やめて止めてやめて止めて!」
だが時既に時間切れ。
セプテクスが光となった。
右、左、上、下。
サクレッドワンドによる高速連続斬撃が、ハゲの巨体を宙へ浮かせる。
「とめった!? ぽぉっ! ぱぁっ! はぎょおおおんっ♡」
「トドメよ!」
最後に大きく跳躍。
光を纏った踵が、ジョーンズの胸板へ吸い込まれた。
ズドォン!
地面を滑り、回転し、ジョーンズは大の字に倒れた。
ズシーム♡
巨悪は滅びた。
と同時に、変身が解除された。
「”コンプレスド”」
一拍の静寂。
それから、駐機場が拍手喝采に包まれた。
「すげえ!」
「お姉さん、格好いい!」
「もう一回やってー!」
昼飯付きヒロインショーだった。
* * *
「セプテクスのおねえちゃーん!」
「へんしん、もういっかい!」
参加者や近隣住人に連れられてきた子供たちが、変身を解いたユリエルを取り囲んだ。
元より心優しく、どうぶつにも好かれる美人のお姉さんである。
そこへ光る変身、格好いい剣、必殺技、悪いハゲの成敗が加わった。
特にロリっ子層へ直撃した。
「ふふ。変身だけなら、また今度ね」
「キックはー?」
「危ないから駄目よ」
「はーい!」
研究者らしく危険性をきちんと説明しながら、ユリエルは子供たち一人一人と握手した。
少し離れた場所では、敗北した悪役が煙を上げている。
「ああ、あなた……」
と、イルマがジョーンズに駆け寄ろうとする前に、騒ぎを聞きつけた律が現れた。
子供に囲まれる娘。
拍手する五百人。
地面へ転がるハゲ雑巾。
一目で全てを理解した。
「教授」
「ヒェッ……律っちゃん!?(ヒュンッ♡)」
「論文の時間ですよ?」
「いや、この通り成敗されたばかりでの? 遺物見せてくれたら治るかも~って――」
「論文、書きたいですよね?(般若)」
「ヒェッ……アッハイ、サーセンッシタ……(シオシオ)」
「ああ、あなた……(ハラハラ)」
律はジョーンズの襟首を掴み、そのまま研究棟へ引き摺っていった。
論文執筆五平餅の刑である。
「五平餅ヤダ! 見るだけ! 見るだけでいいんじゃあああ!」
「論文(般若)」
ハゲの慟哭が遠ざかっていく……。
* * *
午後。
研究棟の一室では、数万点の遺物を前に解析機器が一斉稼働していた。
ユリエルら研究班が最優先に探すのは、虚空隙空間と名付けられた虚数的座標の存在。
二十五年前、星永久松が消えた原因と考えられる現象である。
古代ステーションの虚空隙結界は、内部と外部の時間さえ違えていた。
ならば父は、哲人と同じ二十五年を過ごしていないかもしれない。
長年、願いでしかなかった生存の可能性が、初めて研究対象として机の上へ載った。
『頼めるか、ユリエル』
「もちろんです、あにさま。必ず手掛かりを見つけます」
ユリエルの返事に迷いはない。
「ですが、最小限の情報を抽出するだけでも一週間、そこから必要な部分を絞り込むには更に一週間ほどは見てください」
『数万点ではな。……では、全体の解析には?』
「現時点では判断不能です……」
正直な答えだった。
研究に関して哲人たちは門外漢である。
『では、その間どうするか……』
考え込む哲人に億代が声をかける。
「賢台よ、この億代と蔵智も手すきとなった。そこで……そちらの理仁亜嬢だが、そんな装備で大丈夫か?」
『むっ、そういえば共用の装備しかなかったな……億代君、蔵智君、一番いいヤツを頼む』
「にゅふふ~、お任せあれ~♡」
* * *
「にゅ~ん。重たいねぇ~(*'ω'*)」
「賢台、重いどころではないぞ。床の耐荷重を先に確かめよ」
『すまんね。私も持て余し気味のマテリアルだったから助かったよ』
蔵智と億代が、工房の中央に置かれた巨大な結晶を見下ろしていた。
重力波共振晶――Gアンプリファークォーツ。
哲人が過去、報酬として得た幾つかの鉱物、その内の一つである。
それを先端へ組み込んだ錫杖こそ、理仁亜専用武装・ヴェネヴォレンスロッド。
優美な宝珠と流麗な装飾。
乙女力へ反応し、打撃時には重力振動とプラズマを放つ。
見た目は聖女の杖。
だが実態はクソ重い鈍器。
「ン……綺麗、です」
理仁亜は両手で持ち上げ、軽く振った。
ブオンッ!
どしっ♡
バリバリバリ♡
インパクトと共に吹き荒れるプラズマ放電。
『おお……衝撃と共に追加攻撃出来る仕組みなのか』
「かっちょいいのヨ!」
「にゅふふ。相手は原子に分解だよぉ~?(*'ω'*)」
「フッ、名前通り、実に慈悲深い武器だな……(ウンウン)」
「にょほほw 慈悲深いのヨw」
柄は伸縮し、杖、メイス、ハンマー、ハルバードへ形態を変える。
理仁亜の体格、演舞体操術による身体操作、常人の六十五倍に及ぶ出力に合わせ、蔵智が機構を詰め、億代が制御系を仕上げていく。
後を二人に任せた哲人。
榛名重工へライダー用MDF――変形戦闘機を一機発注した。
蒟蒻号に続く大型注文に沸き立つ榛名重工営業部。
その動きは実に素早かった。
そして翌日。
「この度も弊社製品をお選びいただき、誠にありがとうございますぅ!(モミィン♡←この揉み音はあまりのスピードの為、重なって一回に聞こえる)」
『ほう……質量を持った残像か……中々のワザマエだ』
「モミッテの熱気がユラユラしよるのヨw」
そして納品されたMDFの横へ並べられた電子名刺の束は
逃がさん……。
お前だけは……。
という確固たる意志を感じるものであった。
早速蔵智&億代の手が入り、数日後。
白銀の機体が、理仁亜の前へ姿を現したのであった。
* * *
二週間の解析期間。
哲人、ミラリィ、理仁亜らは、地球圏近傍の巡回へ出る。
理仁亜へ実地経験を積ませるのが目的。
宙風は大学へ返却され、蒟蒻号は久しぶりにスリムな本来の姿へ戻っていた。
『何か分かったら、すぐ連絡をくれ』
「はい、あにさま。そちらもお気をつけて」
『センセイの方も……捕獲をたのむよ』
「……お母様が見ている限りは遠くに逝かないかと……」
ユリエルの視線の先。
研究室のデスクには、ジョーンズが五平餅のように括りつけられていた。
ほんの数メートル先では、研究者たちが古代遺物を触っている。
「律っちゃん、見るだけ! 先っちょ! 先っちょだけ!」
「論文(般若)」
「五分! いや三分! ちょっと匂いを嗅ぐだけでも!」
「論文(般若)」
「あああああ! 未知が! 未知がワシを四㌦のにぃぃぃ!」
「呼んでるのは論文(般若)」
そこへイルマが、小さな包みを持って現れた。
「あなた、お腹が空いたでしょう?」
「イルマぁ……! ワシの身体はボドボドじゃあ……」
朝から弁当を一つも貰えなかったハゲのため、自分の幕の内を少し残しておいたのだ。
箸で卵焼きを摘み、拘束されたジョーンズの口元へ運ぶ。
「はい、あーん♡」
「あーん♡ ……うまーい!(ムシャア……)」
「さあ、食べたら続きをお書きになって」
「ウゾダドンドコドーン!(´;ω;`)」
残念ながら解放はされなかった。
慈悲はあっても、約定は約定である。
「論文(般若)」
「ゲゲゲー!(´;Д;`)」
遺物に触れぬハゲの慟哭が、研究棟へ響き渡った。
その声を背後に残し、理仁亜のMDFを搭載した蒟蒻号が滑走路へ進む。
『蒟蒻号、発進する』
「ラジョッ! TAKE OFFなのヨ!」
「ン……行ってきます」
エンヂンが唸り、巨体が青空へ舞い上がった。
遺物に触れぬハゲの慟哭を背に、哲人らは束の間の修練へと赴くのであったw
* * *
なお。
後日発表された、四店舗による幕の内グランプリの集計結果。
第一位は、参加店舗の中で最も遠方にあった仕出し屋「千代竹」であった。
丁寧な仕事には定評があったものの、立地の悪さから知名度はいまひとつ。
しかし今回、五百人が同じ条件で四店を食べ比べた結果、その味が一気に知れ渡った。
約束通り哲人からボーナスも支給。
口コミは地域ネットへ広がり、仕出し注文と店頭売上が爆増した。
遺物を回収したハゲでもなく。
初変身を披露したユリエルでもなく。
専用装備を得た理仁亜でもなく。
この騒動で最も人生が好転したのは、仕出し屋「千代竹」であった。
何が商機になるか、分からないものである。




