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私、このままでは死ねない ~お幸せ令嬢プティの監獄ダイエット~  作者: いのりん


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2.太ったままじゃ、いられない



 監房の中を通って奥へと進んでいく。

 連なった房に入っている囚人さん達から視線が向けられて、ちょっと怖い。


 そこを抜けて、扉を2つ程開けるとちょっと雰囲気が変わった。さっきまでの古くて汚かった内壁が小ぎれいになり、割と設備の整った広い部屋になったのだ。広く柔らかそうなベッドに3本立ての燭台が備えつけられた机、1人がけのソファまである。棚には洒落た小物に聖書。バルコニーもあって、そこにはレンガ製の花壇まであった。

 流石に実家の屋敷ほどではないが、割と高ランクの宿と言えるレベルだと思う。


「ほら、暫くはここがお前の房だ」

「えっ?こんな良いところにずっと棲めるのですか」

「そんなわけないだろ」


 話を聞くと、大きな事件に関係した貴族なんかは、はじめの数日だけこの房で過ごすそうだ。それで、メイドもつかず、時間通りに生活する監房の生活リズムに少しだけ慣らせてから集団房に移送するらしい。


「俺はここまでだ。後で女性用監房担当の看守が来るから、おとなしくしていろよ。」


 そういって、1人ぽつんと部屋に残された。


「はあ……」


 思ったよりも快適な生活が送れるかも、なんて期待して損した。


「って、快適じゃダメなんだって!」


 いけない、いけない。

 私の目標は『処刑までに痩せる』ことなのに、すぐに怠惰に走ろうとする自分の性根に震える。


 厳しい監獄生活?大いに結構。

 タイムテーブルに縛られた生活に粗末な食事?良いじゃないの。

 それが10年も20年も続くとかなら流石にうっとなるけど、泣いても笑っても一年間だもんね。


「よし、看守さんが来るまで運動でもしていよう」


 思い立ったが吉。さっそく行動あるのみ。

 と思ったけど、部屋の中で運動は流石に狭いよね。次の看守さんが来た時に「えっ、何してんの?」ってなるのも恥ずかしいし。


 と言うわけで、広いバルコニーに移動。

 あ、花壇の端に『セイレイノザ』も咲いてる。これ、基本的に雑草扱いなんだけどいい匂いがするだけじゃなくて、筒状の花の根元に蜜があってそこを吸うとほんのり甘いんだよね。そういえばもう半日も甘いものを口にしていないし、ここはひとつ……


「ってダメダメ!何考えてるの私」


 もっと小さい子供の頃ならともかく、今それやっちゃダメでしょ。

 ダイエットを決意したばかりだし、そもそもこれは、たぶん観賞用のやつだし。


 ……よし、自制できた。

 偉いぞ私、このまま運動も頑張る!


 ふふふ、これでも私、昔は結構活発で7歳になる前には倒立もマスターしていたんだよね。結構運動量も多いし、狭いスペースでも出来るし、久しぶりにやってみようかな。

 周囲から見られていないのを確認してから、花壇の横でほいっと逆立ち。


「うっ……思ったよりしんどっ」


 自分の体重、思ってた以上に増えていたみたい。

 腕がぷるぷると震えて、バランスが危うくなってくる。


「まっまず……きゃあ!」


 肘が曲がって右頬から地面に落ち、そのまま背中を花壇にぶつけた。


「ぐはぁ!!」


 乙女にあるまじき声が出てしまった。

 痛みに涙目になって、土の上をごろごろと転がる。

 だ、誰にも見られていないよね?

 恥にならないように痩せようとしているのに、こんな姿を晒しては本末転倒だ。


「いたた……今日はここまでにしましょう。日も落ちて暗くなってきたし。」


 あと、動いて疲れたし。

 休息がてら、おとなしく座って看守さんを待っていよう。

 来たとき少しでも知的に見えるように聖書でもリーディングしながら……



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