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【連載版】転生したら断罪の場でヤジを飛ばして石を投げるモブ平民だった  作者: Vou
第三章 「猟奇的な辺境編」

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第五十五話 南方辺境伯の不可解な断罪1

「『断罪(ヴァーティクト)結社(・オーダー)』出動だ!」


 宰相ジークフリートがいつになく真剣な目でふざけたセリフをのたまった。しかし何か疲れているのか、やけくそ気味な様子も垣間見えた。


「あの……俺、もうそろそろ『断罪結社』辞めていいですかね? 普通の断罪見物人に戻りたいんです」


 猟奇事件ももううんざりだ。何も知らずに断罪見物するのが一番楽しい。


「さて、本題だが、今回は南方の辺境に行ってほしい」


 人の話聞かねえな!


 ……え? 辺境?


「辺境に行くなんて嫌ですよ。こんなに辺境で猟奇殺人事件が起きているのに、危ないじゃないですか」


 猟奇事件だけではない。辺境は特に衛生面が劣悪と聞いている。そんな汚いところに生粋の王都民の俺が行ったら、一発で病気になってしまう。


「クローデリア様もユウマに同行していただけますか?」


 話聞けよ!


「『断罪(ヴァーティクト)の刃(・ブレイド)』パーティーとしてならよいですわ」


 クローデリアが答えた。冒険者パーティーも一刻も早く辞めたいです。


 が、今の問題はそこじゃない。俺は行きたくないんだ!


「『断罪結社』も『断罪の刃』も一緒じゃないですか。どうせクローデリア様とユウマと二人しかいないですから」


「いえ、『断罪結社』はジークフリート様のものですが、『断罪の刃』はユウマと私のものです。ぜんぜん違います」


「もうどっちでもいいです」


 ジークフリートが面倒くさそうに言った。


 何か論点がすり替わってますけど、俺は「嫌だ」と言っていますよ?


「辺境に行くと、免疫のない王都民は病原菌で100%病気になるんですよ。死んじゃうんですよ」


「ユウマ、事実を知りもしないのに、そんな偏見を持つのはやめろ。学がないのが丸わかりだぞ」


 ジークフリートが厳しい顔で俺を嗜めようとするが、そりゃ、あんたらに比べれば学なんてないですよ。ただのモブ平民なんだから。


「そうよ、ユウマ。せっかく二人で旅に出られるのだから楽しみましょう」


 クローデリアの謎の発言でどんどん話が迷宮入りしていますが、何の話でしたっけ?


「よし、決まりだ」


 決まっちゃったよ。


「まず南方辺境伯に会ってくれ。彼は私の従兄弟でな、私に似て聡明な男だ」


「その前に、なぜ南方の辺境に行かないといけないのですか? どうせ事件なんですよね?」


「それなんだが、実は辺境の村から子どもが連続して失踪する事件が起きていてな、手っ取り早く犯人を見つけて断罪してほしいのだ」


 「手っ取り早く」スキルで犯人を見つけろということか。


「子どもの失踪ですか? 今回は殺人ではないんですか?」


「生死はわからん」


 殺人でないとしたら、神隠し的なことだろうか? 王都民の都会っ子の俺にオカルトは相性が悪すぎる。


「やっぱり何か怖いので嫌です」


 俺ははっきりと拒絶の意思を表明し、ジークフリートがそれに反応する。


「よし、では早速出発してくれ」


 やはり俺の声は届いていないようだった。


 そうして、論点のすり替えと俺の意見の無視の連続により、辺境行きが決まってしまった。

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