第五十四話 呪言の遺恨
ジークフリートはまだいろいろと仕事があるとかで、クローデリアと俺はいったん王城から帰宅し、明日また宰相府に出向くことになった。
「それにしても、セラフィナの呪いは酷かったですね。俺は自分のスキルのおかげで少しだけ耐性があったからまだよかったのですが」
歩きながら、俺はクローデリアに話しかける。
「そうね。自分が非難される言葉ばかりが頭に流れ込んできて……まるで断罪を受けている気分だったわ。そのまま死んでしまいたいくらいの気分だった……」
「俺は『断罪の罵声』が失敗して自分に返ってくるときの罵声が来ましたよ。あれ、きついんですよね。
クローデリア様はどんなでした?」
単純に興味がある。完璧公爵令嬢超人に、死にたいほどの、いったいどんな後ろ暗いことがあるのか。
「『平民の男に振り向いてもらえないなんて、哀れな公爵令嬢ね』とかそんなこと言われたわ」
なぜ軽く怒っている視線を俺に向けるのですか!?
「それは……大変でしたね……」
そして何だか気まずくなって、無言で帰り道を進む。
ちらっとクローデリアの方を見ると、めっちゃ睨んでる。
いったい何なんですか!?
「あの……」
気まずさを打破するため、俺が口を開く。
「何よ!」
怒鳴られた……。
「クローデリア様みたいな素敵な方でしたら、どんな平民も振り向くと思いますよ」
するとクローデリアの険しい顔が一転、急速に緩んで笑顔を見せる。
「そうかしら」
「そうですとも」
「一人の例外もなく?」
「ええ、例外なんてあり得ません」
「そう、じゃあいいわ」
何なんだ、この人……。まあ、機嫌良くなったならいいけど。
こんなよくわからないやり取りをして帰宅した翌日、一連の辺境事件の中でも最も不可解な、南方辺境での事件が報告された。




