表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】転生したら断罪の場でヤジを飛ばして石を投げるモブ平民だった  作者: Vou
第三章 猟奇的な辺境編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/61

第五十六話 南方辺境伯の不可解な断罪2

 クローデリアの公爵家が用意した馬車に揺られ、俺たちは辺境に向かった。


 道中、たびたび魔物が現れ、肝を冷やすこともあったが、「剣姫」クローデリアが毎回瞬殺するので、だんだんサファリパーク的に魔物を楽しんで鑑賞できるようになってきた。

 思ったより楽しい。

 生まれてこのかた王都から出たことがなかったので、新鮮な体験でもあった。

 偏見を持たずに人の意見を聞くのもたまにはいいかもしれない。



 やがてたどり着いた辺境伯の城は、王城と比べるとかなり小ぶりで、城壁は薄汚れ、広範囲に苔が生えて木の蔦がからんでいた。あまり手入れが行き届いていないようだが、このワイルドさが辺境スタイルなのだろうか。


 南方辺境伯セドリック・アイゼンベルクは俺たちを歓迎した。

 痩せ型で貧相ではあるが、どこか気品と知性のある目をしているように思えた。確かに少しジークフリートに似ている。


「ジークから伺っています。クローデリア様ですね。ご活躍のお噂はこんな辺境でも届いております。わざわざお越しいただいてありがとうございます。

 お付きの方もご苦労さまです」


 セドリックが笑顔で迎えてくれた。見るからにモブ平民の俺にも敬意を払ってくれているのがわかる。俺から王都の気品が漏れ出てしまっているせいだろうか。


「いえ、私がこのユウマのお付きの者ですわ」


 どこの異世界にモブ平民の従者の公爵令嬢がいるんですか? ややこしくなるからやめてください。

 辺境伯の顔が「?」になってますよ。


「詳しいことはお食事しながらお話ししましょう。さあ、中へどうぞ」


   ※


 辺境伯の城内は何か黴臭く、酸えた匂いもした。


 食堂に通され、クローデリアと俺は席についたが、セドリックは「少々お待ちください」と言い残してどこかに消えた。


 何か居心地が悪いな、と思って待っていると、セドリックが戻ってきた。

 手には料理が載せられた皿を持っていた。


「すみません、ちょっと使用人が出払っておりまして……」


 って、辺境伯が自分で給仕するんか?


「申し訳ありません。俺が運びますよ。セドリック様にそんなことはさせられません」


 俺は慌てて席を立つ。


「お客様にそんなことはさせられません。どうかこの辺境伯に免じてお座りください」


 ますます居心地悪くなるわ……


 そして、目の前に出されたのは……体長五センチにも満たない、貧相で生臭い川魚の塩焼き(?)が二匹。


「申し訳ございません。この辺境は貧しいもので、こんなものしかお出しできず……」


 貧しい村のモブ平民が貴族を家に迎え入れたみたいになってる! 本物のモブ平民の俺の家でももうちょっとマシなものが出るわ。


 村が貧しいからって貴族までこんな貧しい食事をするわけがない。貴族は借金してでも見栄を張る生き物だということを俺は知っている。辺境伯といえば、王都の侯爵くらいの高い爵位のはずだ。

 つまり、俺はモブ平民だとバカにされているのだ。あるいは王都民への僻みによる嫌がらせか。


 愛想はいいが、心の中でバカにされていたのかと思うとじわじわと悔しさが滲み出てくる。よくよく考えたら、モブ平民に敬意を表す貴族なんているわけがない。


 横を見ると、クローデリアは平然とした顔で、魚を口に入れた。さすが一流貴族はナイフとフォークの使い方にも気品がある。まるで高級な料理の食事をしているかのようだ。


「おいしいです」


 クローデリアはそう言って、やはり気品の溢れ出る笑みを浮かべた。


 すごい嫌味な感じだな。


 クローデリアがそうなら、俺も従うしかあるまい。魚を一気に二匹とも口に入れ、咀嚼する。


「おいしいです!」


 どうだ。俺の嫌味、響いたか! いや、普通に塩味うまいけど。


 だが、セドリックは心底安堵した顔で、「それは良かった」と微笑んだ。響いてない。


「それではさっそく本題に入らせていただきます。お聞き及びのとおり、この辺境の小さな村で、次々と幼い子どもたちが消えているんです。聞けば、クローデリア様は犯人をたちまち発見できるスキルをお持ちだとか」


「いえ、私ではなく、このユウマのスキルです」


 クローデリアが即答する。


「はい、俺のスキルです。犯人が視認可能な範囲に入っている限り、すぐにわかります」


 俺は王都民の威厳を最大限に出して、偉そうに答えた。


 セドリックは「このモブ平民が?」みたいな顔をしたが、すぐに笑顔に戻って言う。


「それは心強いです。どうか、子どもの誘拐犯を見つけてください。子どもたちを取り戻したいのです。さもなければ、この辺境の村は消えて無くなってしまいます。どうかお願いいたします」


「任せてください」


 これ以上できないくらい胸を張って答えた。


「ではさっそくお願いできますか? 小さい村なので、すぐに全戸を回れると思いますので」


 休ませてもくれないのか……。俺もこんなところから早く帰りたいから、いいけれど。


「ですが、犯人が村人の中にいるという確証はあるのですか? 村の外から入ってきた人はいないのですか?」


 無駄なことはしたくないので、いくつか質問だけさせてもらおう。


「はい、こんな何もない辺境に外から来る者などおりません……。それに本当に小さい村で、村人は皆お互いのことを知っているので、外から入ってくる者があればすぐにわかります」


「では、子どもがいなくなったところを目撃した人はいないのですか?」


「不思議なことに、幼い子どもや赤ん坊から親が少しでも目を離すと、子どもが消えてしまうのです」


 そんなことがあるか?


 まさか……本当に神隠し……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ