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【連載版】転生したら断罪の場でヤジを飛ばして石を投げるモブ平民だった  作者: Vou
第二章 反断罪戦線編

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第三十八話 ダンジョンの断罪6

「何よ、デカいのって?」


 クローデリアが言う。


「何か魔物みたいのがいるんですよ」


「魔物なんて今までもずっといたじゃない」


「いや、でもデカくて強そうなんですよ」


「いくら大きくても、この地上の生き物に負ける気はしないわ」


「ここは地下っぽいですけど」


「地下の生物にも負けないわ」


 それは心強い。のですが……。


「俺、先頭だったの失敗ですね。いきなり先制攻撃されたらどうしましょう?」


「だから言ったじゃないの」


 クローデリアの声に怒気がこもっている。


「出たらすぐにしゃがんで。私が前に出るから」


「はい……」


 言われたとおりにするしかない。



 意を決し、俺は通路から広間へと出て、素早く伏せる。モブ平民の這いつくばりを舐めるなよ? これで恐ろしいほど存在感を消したはずだ。


 よし、先制攻撃は喰らわないぞ。

 少し顔を上げて見てみると、魔物は俺のほうをじっと見ている風だが目はないようだ。あれ? 気づいてはいるのか?


 巨大な馬のような姿に、顔の部分に長く鋭い角が生えた魔獣だった。


 続けて、クローデリアとノクティアも広間に出てきて、魔物と対峙する。


「断罪聖獣コンデム・ビースト……」


 ノクティアが呟く。知っているの?


「おそらくダンジョンボスね。こいつを倒せばダンジョン攻略よ」


 おお、それはよかった。クローデリアなら瞬殺だろう。


「攻撃してこないわね」


 クローデリアが落ち着いて様子を見る。


「カウンタータイプの魔物だろう。このダンジョンは攻略されたことがないはずだから、詳細はわからない」


 ノクティアが言う。


「だったら一発で倒せばいいだけね」


 さすがクローデリアだ。とっとと倒して帰ろう。あ、一応聖女様も探して。


 クローデリアが走り出し、飛び上がり、コンデム・ビーストの首もとに剣を一閃——馬の首が胴体から切り離される。


「やったー! さすがクローデリア様」


 歓喜の声を上げたが、ズレかけたコンデム・ビーストの首は落ちず、胴体に再び戻る。

 同時に、その角の先端から、空中に何やら文字が浮かび上がる。


【被告人:クローデリア・レーヴェンハイト】【罪状:殺人罪】【量刑:死刑】


「何これ……?」


「倒してないですね」


 コンデム・ビーストが鋭い角でクローデリアに襲いかかるが、クローデリアは華麗に攻撃をかわす。


千刃の宣告(ミリアド・センテンス)


 クローデリアがスキルを発動すると、無数の剣戟がコンデム・ビーストを切り刻む。


 今度こそやったか?


 と思ったが、無数の切断面はすうっと消え、再び宣告文が現れる。


【被告人:クローデリア・レーヴェンハイト】【罪状:連続殺人罪】【量刑:死刑】


「斬撃は効かないのかもしれない。私が魔法で攻撃する」


 そう言うと、ノクティアが詠唱をする。


業炎(ヘル・フレイム)


 激しい炎がコンデム・ビーストを包み、丸焼きにする。


 が、やはりその火傷もすうっと消えてしまった。

 同時に角の先端から断罪文が飛び出してくる。


【被告人:ノクティア・ノワール】【罪状:放火殺人罪】【量刑:死刑】


「受けた攻撃のダメージを罪状に変換されている……?」


「は?」


 クローデリアの言葉に驚いて、思わず変な声が出てしまった。


「ダメージが通らないどころか、カウンターを受けてしまうみたい……」


「そんな無茶苦茶な……」


 コンデム・ビーストは、今度はノクティアに向かって突進した。


「ターゲットが変わってしまったわ。ノクティア、逃げて!」


 クローデリアは叫ぶが、魔導士のノクティアにそこまでの回避能力はなく、コンデム・ビーストの角が触れると、ノクティアの体が蒸発したかのように一瞬で消滅した。


 ——クローデリアと俺を除いた四人がすべてやられてしまった……


 ノクティアを仕留めたコンデム・ビーストは再びクローデリアをターゲットに戻し、角を構えて突進する。罪状は一度確定したら白紙にはならないのか。


「ユウマ、逃げて!」


 クローデリアが攻撃を回避しながら叫ぶ。


「そんな……クローデリア様を置いてはいけません。俺が一人で逃げたところで他の魔物にやられるだけです。クローデリア様こそ逃げてください。俺が攻撃してターゲットを変えます」


「絶対にだめ!!」


 聞いたことがないほどの声量でクローデリアが絶叫した。俺はその圧に石を投げようとする手を止めた。


「私はあなたを失うわけにいかないの」


「石を当てるくらいで死刑にはされないんじゃないですかね」


「死刑でなくてもあなたに攻撃が受け切れるとは思えない」


 ……何も言い返せない。


 こちらから攻撃をしなければ、罪状をつけられることもなく、逃げられたかもしれないが、クローデリアに罪状がついてしまった以上、刑が執行されるまでこのモンスターは追ってくるだろう。

 俺がその罪状を引き受けることもできないだろう。


「それでも、俺が足止めしますから、逃げてください」


「もうバカなことを言うのはやめて! そいつを倒さないとどのみちダンジョンの脱出はできないわ。私が弱点を探るから……」


 どんな攻撃も罪状に変換されてしまう以上、弱点なんてないだろう……。


 くそっ! 俺に力がないのがこんなに悔しいなんて……大切な人を守れもしないのか……


 と、そのとき、俺の目の前に文字が浮かび上がった。


【スキル獲得:断罪の自省コンデム・リフレクション

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