27 魔法禁止!!
その後、アダリアは大きく深呼吸をすることで笑いを必死に押さえる。
そして気分を落ち着かせたアダリアは、魔法に関する説明を始めた。
「ヒッ・・、ヒッ・・・、えっとね、ケン坊・・・クッ・・・プッ・・・。
は~~~~~、ふ~~~~~。
は~~~~~、ふ~~~~~~」
笑いそうになるたび、アダリアは必死に深呼吸を繰り返す。
「ふ~~~~~・・・よし。
えっとね、何をイメージするかなんだけど、魔法を使うには頭の中で魔法陣をイメージしないといけないの」
ようやく落ち着いたアダリアは、落ちていた枝を使って地面に何やら図を描き始める。
「ケン坊、これがライター魔法に使う魔法陣なんだよ。
で、まずこれを正確に記憶して頭の中でイメージすることが大事なの。
け、決して、燃え上がる、ほ、炎をイメージする、プッ、必要は、無いんだよ・・・クックックッ・・・」
俺は未だに涙ぐむアダリアから視線を外し、地面に描かれた魔法陣を眺める。
「・・・・・・・うん、イメージ出来た」
「ふ~~~~~~、ふ~~~~~・・・。
それじゃあ、この魔法陣のここを見て?」
アダリアは魔法陣の端を枝で指さす。
「頭の中にイメージした魔法陣のここに、魔力を上手に制御して流し込むの。
できそう?」
「んん~~~~・・・ちょっと待ってね」
俺はアダリアに言われた通り、頭の中の魔法陣の端に魔力を流し込む。
「そしたら、魔法陣の文様通りに魔力を流し続けてみて?」
「・・・・・・・・・・・」
俺は集中しながら、ゆっくりと魔法陣に魔力を流し続ける。
するとアダリアは先ほどとは違う部分を枝で指し示す。
「そうしたら最後に、この魔法陣の一番先端、つまりはココに魔力を集中してみて?」
「・・・・・・・・・・・・・・・なんか、魔力が熱を帯びた感じがするんだけど・・・」
「そうそう、魔力っていうのは魔法陣に流すことで性質が変化するの。
そしたら、その熱い魔力を指先に集めて?」
「指はどこの指でもいいの?」
「うん、どこでもいいよ。
でもまあ、最初は利き手の人差し指が楽でいいかな?」
「・・・分かった・・・」
俺はアダリアに言われた通り、熱を帯びた魔力を右手の人差し指先端に流し込む。
「・・・うん、指先に魔力が集まってきたね。上手上手。
そしたら、その魔力を体の外に捨てる感じに流してごらん?」
「・・・・・・・集めた魔力を・・・・・体の外に・・・・・捨てる感じ・・・・」
俺は汗を流しながら、アダリアに言われたとおりに熱い魔力を体の外に捨てた。
すると体内の魔力が勢いよく指の先から流れ出し、人差し指の先に小さな炎が、
「ポッ」
と音を立てて灯ったのだ。
その瞬間、俺たちは叫んだ。
「よっしゃあああああああああああああ!!
魔法が使えたあああああああああああ!!」
「いやあああああああああああああああああああああああ!!
ケン坊!!! 魔法を止めてええええええええええええええええええ!!」
まるで恐ろしい化け物でも見たかのように、アダリアは絶叫した。
驚いた俺は集中力が途切れ、指先に灯った小さな炎が消えてしまう。
「な、何だよアダリア!? せっかく成功したのに!!」
そんな俺の抗議の言葉に、アダリアは真面目な顔で答える。
「ケン坊、残念だけど、もう、魔法を使うのは諦めた方がいいと思うよ・・・。
・・・というか・・・二度と使わないで・・・」
「はあ!? なんでさ!!
ちゃんと魔法も使えたし、練習すれば色々な魔法が使えるようになるよ!!」
「・・・うん、確かに魔法は使えたんだけどね。
なんていうか、多分、種族的な問題だと思うんだけど。
あのね? ケン坊の魔法って、燃費が悪すぎるんだよ」
「はぁ?! 燃費ぃ!?」
「うん、燃費」
するとアダリアは少しだけ難しそうな顔をすると、説明を始めた。
「あのね? 私はケン坊から魔力を分けてもらって、魔法を使っているでしょう?」
「うん、そうだね」
「で、ケン坊からどのくらいの魔力を分けてもらっているかというと、今までの合計ってケン坊の魔力全体から見ると、精々1~2%くらいの魔力を分けてもらっているの。
でも、結界とか光球とか探知、攻撃魔法を色々と使えたよね?」
「うん。
・・・それで? 何が言いたいの?」
「・・・あのね、今、ケン坊が出した種火、どのくらいの魔力を消費したと思う?」
「え? ・・・全体の1%くらい?」
だが、アダリアは首を横に振る。
「あのね・・・、ぱっと見だけど、ケン坊の魔力全体の90%は使ってるの」
「はあ!? 90%!?
で、でも! 俺の種火って精々2、3秒しか出してないよ!?」
「・・・うん、私もびっくりしたよ・・・まさか、ここまで燃費が悪いなんて・・・」
信じられなかった。
つまり俺は数秒の種火を出しただけで、アダリアにとって数十日、いや、下手したら100日を超える分の魔力を消費したってのか!?
「え、じゃ、じゃあ、俺って結界を出したりは・・・」
「・・・諦めてほしいかな」
「せ、せめて、攻撃魔法を一発だけでも・・・」
「・・・」
だが無情にも、アダリアは静かに首を横に振る。
こうして俺は魔法が使える異世界において、一切の魔法の使用が禁止されてしまうのだった。
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