11話
また壊れた?それとも何か変なこと言ったかな。うーん…思い当たる節がない。
「恋人ならいるだろ」
「え、いたの?」
「あぁ…え?」
「ん?」
おかしい、どこか話が噛み合わない。
「恋人はお前だろ」
「え、私?」
……もしかして、昨日のが告白?やばい、昨日のことなんて余裕がなさすぎて記憶があやふやだ。
それとも、前世のどっかの国みたいに、この世界でも「付き合ってください」とか言わないで恋人になる方式なんだろうか。前世日本人にはよく分からないが。
この不思議な状況を読み取った彼が、私が理解できるように助け舟を出した。
「あの時、俺と付き合うことに対して何も否定しなかっただろ……」
何のことだと思い、自身の記憶を呼び起こしてみる。
『じゃあ、なる。コイビト』
『……え?』
『だから、続き。いいだろ?』
『っ……外だから、だめ』
…………確かに、申し出自体は否定してない。
いや、主な原因はその次に言われた言葉が衝撃的過ぎたせいだ。思い出すだけでも恥ずかしい。というか、あれって本気のやつだったのか。恋愛経験皆無の私には分かりずらすぎる。なんなら言葉だけは聞いた事あるセなんたらフレンドかと勘違いしていた。
「あれって冗談じゃ……」
状況を察した彼の機嫌が急降下していく。ああ、しまったなと思った時には彼は不貞腐れてうつ伏せていた。
どうにか機嫌を直してもらおうと、この状況を打破するために私はひとつ提案をする。
「で、デートしよう。下町で」
今日はちょうど休日だし、これは中々名案じゃないだろうか。
デートという言葉に反応したのか、下町という言葉に反応したのか、うつ伏せていた彼がむくりと起き上がる。これはもう一押しだな。
「かっこよくて頼れる恋人が一緒に行ってくれたら、とっても楽しいだろうなー」
何でもないように言いながら、ちらちらと彼を盗み見る。若干棒読みだったが、彼は気にもとめず許してくれたらしい。「そこまで一緒に行って欲しいのならしょうがないな」と先程までとは一転して上機嫌だ。チョロいな、と思ったのは口に出さないでおいた。
いつの間にか各自の部屋で着替えてから集合ということで、デートの話はまとまっていた。




