おっさんずラブ
男同士の愛って、2次元でみるには美しいけど、リアルは少しと思っていた。
リアルおっちゃん同士の愛って。
でもってね、テレビドラマ、うっかり見ちゃった。
それで、やられた。おっさんずラブに!
黒澤部長、乙女!
むちゃくちゃ、乙女。
やまとなでしこ。
黒澤部長55歳にして、乙女度120%全開のぶっちぎり!!
愛する部下である春タンのために、完璧な手作り弁当作って、そして、春タンがおいしいって思うかどうか、思春期の少女みたいにドキドキしてる。
そのお姿。おじさん、かわいい!! 純粋で無垢で、むっちゃかわいい!
同じように、39歳の優ちゃんも、かわいい。
おじさんくらい、かわいい。
あたりが真っ暗になるまで、叔母たちは帰ってこなくて、その時間まで、家の仕事をおっぽらかして、私、優ちゃんとしんみりしていた。
ところで、義理イトコと、こんなに話をしたのはじめてで。
まるで女子会のノリになって、叔母の過保護ぶり、すでにギャグの域まで到達して、女子会『小学校編』まで話題がすすんでいた。
「だってね、ママ。小学校のとき、先生に教室から出て行ってくださいって言われて、それで廊下に立ってて、最後は校庭の窓から、毎日、教室をのぞいてたの」
優ちゃんは微笑みを浮かべながら話してる。
「校庭?、校庭って、学校の校庭」
「はい」
「そっから、のぞいていた」
「はい」
「家政婦は見た! みたく」
「はい」
悪いと思ったが、私、その姿を想像して、ぷって吹き出しちゃって。
優ちゃんも笑った。もう笑うしかないでしょ。
「みんなが、ひそひそって、優ちゃんのママ、すご〜〜いって声、聞こえて。私、恥ずかしかったけど、でも、私がダメだから、ママは悪くないって思っていた」
「いや、ママ、悪い!」
「はい」
続けて、優ちゃん中学校編に突入。
「中学校のとき。ある子が私の筆箱を隠したこと知って、それで、ママ、学校に来て先生に監督不行届き? とかなんとか、職員室で怒鳴ってて」
「それは、友達と大丈夫だった?」
「私、あまり友達できないから。ママの友達チェックがすごくて」
聞けば聞くほどの超過保護ぷり!
私にとっては義理叔母だけど、いったい何が彼女をそうさせた。
それで、叔母の過保護が大学まで話が進んだところで、太郎くんが土の匂いをさせながら戻ってきた。
窓の外も暗くなっており、自宅でシャワーを浴びてきたんでしょう。土の匂いに混じって石鹸の香りが、病室の消毒液の匂いを消すくらいしてて。
一生懸命、身体の汗や汚れを落としてきたんだ、太郎くん。
「アメさん、ずっといてくれたんですか」
「いえ、私も楽しくて」
なんてなこと、話していたとき、叔母とオババも戻ってきた。
ふたりの表情、なんか明るくない、てか、まだ怒ってるとか。
どうも盛大な姉妹喧嘩したみたいで。一緒にいなくてよかった。
「こんばんは」
太郎くん、そんなふたりに嬉しそうに挨拶した。
「おかえりさない」って叔母、微妙な顔でムリして微笑んだ。
「いつもありがとうございます。優ちゃんのために」
「あら、そうですか」
おや、皮肉ぽい。
オババ、だいぶ攻め込んだな。
「これから、僕がいますから、皆さんお夕食は」
「太郎くんこそ、お夕食はどうしたの」って、オババ。
「大丈夫です。来る前に家で食べてきましたから。優ちゃんは」
私たちの会話中に病院食が届けられた。
「そうか、よかった。それで、今日、お昼休みにこちらの役所に行く必要があって。自分の戸籍、記念にもらってきたよ。ほら、優ちゃん、僕たち、ついに戸籍上でも結婚したんだ」
戸籍?
オババと私、思わず目があった。
戸籍をとったと、記念に?
私、病室のドアに近づいていた。なぜか、オババも後ずさりしてて……。
「お義母さん」って、太郎くん。
まったく屈託がないてか。
男ぽいってか。
忖度なしってか。
なんも考えずに、普通の声で叔母にむかって、次の一言、投げかけた。
「離婚されてたんですね」
ブハッ!
オババと私、ダッシュで病室から飛び出した。
香港で、おっさんずラブのおじさんたちが飛び出す勢いで、飛び出していた。
(つづく)
映画『劇場版おっさんずラブLOVE or DEAD』
出演:田中圭、吉田鋼太郎、林遣都ほか
テレビドラマ放映時には、ツィッター界でトレンド1位獲得!
モテないぽんこつサラリーマン春田、エリート後輩の牧、理想の上司黒澤。
なぜか、この3人が三角関係の恋愛ドラマ。
笑えます!
必死に恋愛するおっさんに胸がキュンキュンします。
ドラマファンのための『おっさんずラブ』フェス的な映画です。
笑えます。泣けます。感動します。




