ジョナサン ふたつの顔の男
『ジョナサン ふたつの顔の男』って映画。主人公ジョナサンに二つの人格が宿る内容で二重人格を扱っている。
仮に、ここに、ひとりの人いる。
そして、周囲の人が、ある一定のイメージを張りつける。それが正しいとか間違ってるなんて関係ない。
それは、あなたの抱くイメージで、その人の真の姿じゃない。
なんてなことが多い、実際のところ。
強弱の差ほどあれ、正義の人も悪人になり、悪人だって時に良い人になったりする。
義理叔母にたいする私の印象って。
もう、たまげたってくらい間違っていた。
ずっと重量級の姉に隠れた、おとなしい人だと思っていた。
叔母の一面しか知らなかった、てか、ほとんど知らなかった。
うちの子どもに誕生日やクリスマスやお正月には、プレゼントやプレゼントやお年玉をくれる人。
優しくて小柄で、いい人。
そう思っていた。
思わせといてくれたら、ほんと、幸せだったぁ〜。
でも違った。
『ジョナサン二つの人格』のリアルジョナサンが身近にいた。
人には多面性があって当たり前かもしれない。が、叔母、振れ幅が大きくって、ついてけない。
ヒステリー発動すると、もう人格、変わっちゃうから。
まるで病気みたいに血圧250まで自由に上げ下げできっから。
本人は無意識。ここが厄介なところ。
で、そういう叔母と、オババの自宅前でご対面した。
月曜日午後5時3分。事件は現場で起きている。てな非常事態になってる私である。
「あの子に会ったのね」
これは意訳すると、私の大事な娘が悪い男に騙されているにも関わらず、あなたたちは会ったのね! 許すまい。
であって、決して、見に行ってくれて感謝って、そんなお花畑な意味じゃない……。
一方、オババは優ちゃんの結婚に賛成だから、
それで? なんか文句ある?
そういう態度アリアリで。
道路でカラスが鳴き、近くの家からは夕食に料理している肉じゃがの匂いがして。
私はっていえば、心んなかで呪文のように唱えていた。
頼む、私を見逃してくれ、頼む。
「こんなところで話をしても、ともかく家に入りましょう」
「あ、じゃあ、私はこれで」と、私。
「アメ、あなたもよ」
「いえ、私は」
今こそ、主婦秘蔵の奥義、泣く子も黙る夫戦術を使う場面だって思った。ここ以外でどこで使うってそんなドヤ顔で、ここぞとばかり、ぶちかましてやったわ!
「夫が帰ってきますから、帰らないと」
何回、この奥義で逃げただろうか。
主婦の戦闘兵器、夫が、の一言!
ま、結婚前は親がとか、会社の上司がとか、この奥義、バリエーション、しこたまアリ。
「息子がどうしたの」
そうだったぁああ……!
オババの子だぁ。
唯一、奥義が効かん相手だったぁ!
私、後ずさりするしかなくて。そしたら、背後にまわったオババのお腹にぶつかって。ぶわ〜〜んと、押し込まれたと言うわけ。
オババ、ちょっと腹まわり、ダイエットしとくれ。
弾力ありすぎ、軽く吹っ飛んだ。
「あの子はなんて」
「結婚すると言ってますよ。もう許してあげなさい」
「そう」って、叔母。
意外と冷静。
何を策しているのか、いや、考えているのか。
まったく顔の表情がかわらなくて、かえって不気味だ。
「そう、そういうつもりなら、結婚でもどうぞ」
え?
仰天したね、私。
しかし、次の言葉を聞いて、さらに驚いたんであります。
「あの子が成人してから、今まで、働きもしない娘を養ってきたんです」
「それはそうね」
「なのに、あの子、メールも電話もでない」
「ええ、ええ。でも結婚に賛成するなら、それだって」
「結婚でも、何でもすればいいわ」
声がイっちゃってる。
病みながら、戦闘準備してる。
あきらかに、そういう顔してる。
「39歳まで面倒を見てきましたよ。成人した大人になってまで面倒を見てきたんです。20歳からしたら19年ですよ」
「そうね」
「あの子の食費、医療費、被服費、住居費。そういうもの全部を費用に換算したら、どのくらいかわかる?」
「……」
オババ、顔がだんだん歪んできた。
実の妹のこと、最も理解しているのはオババで、だから同時に顔が歪んでる。
「だから、それを返して欲しいわね。結婚するなら、そのお相手にね」
「か、返すって、あなた」
「計算しました。1日いくらってね。1ヶ月でだいたい15万でいいですよ。ほんとはもっとかかってますけどね。ですから、1年で180万、これを19年に換算しました。それで3420万円、税込みで3500万円、ほんとは税込だともっと高いですが、まけときます」
絶句って言葉、こういう時こそ使う言葉だって、私、ぽか〜〜んと口を開けながら思った。
「3500万円。ずっと出させてきたわけですからね。これ、旅行とか、光熱費とかは入れてませんから。きっちり支払ってもらいます」
(つづく)
映画『ジョナサン ふたつの顔の男』
2018年公開。SF映画
ビル・オリヴァー監督
一つの体に二つの心12時間で人格がかわる。
脳タイマーで24時間の半分を二人で受け持って生活するって。
新しい二重人格映画。趣向が面白いです。サスペンスです。




