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見習い魔法使いと魔王の眷属  作者: また太び
第1章 雨に沈む街
14/21

盗賊の女の子セリア

夜のマーレシュタインの方が遊び慣れているということもあって、彼は目的の酒場を目指して路地裏を進む。

マーレシュタインの路地裏は荒れた様子もなく、日夜騎士達が警備しているので犯罪が起きる可能性を考慮しなくて済むのは気が楽なもの。


カイルは、いつもカリンがコンサートを開いている間の待ち時間を潰す酒場に着くと扉を開けて冒険者だらけの酒場のカウンター席に座る。



「マスター。晩飯を食べたい」


「おや、これはカイル様。わかりました。少々お待ちを」



初老のマスターはグラス磨きを一旦切り上げ、裏に行く。カイルは料理が出来る上がるまで待っていると、隣に誰かが座った。


毛先が跳ねているセミロングの黒髪。左目は前髪で隠れているが、髪の隙間から見える目はルビーのように赤い。可愛らしい顔立ちをしているのだが、その頬には傷があり、何とも痛ましい。そして首にはボロボロの死神のような黒いマフラーをしていて、服装は茶色の革で出来た胸当てと腰まで伸びて身体にぴったりと張り付く黒いインナー。そして下半身はホットパンツと黒のスパッツだけという出で立ちだった。



「店員さん、私もご飯が食べたいです。このステーキセットを一つ」


「あ、かしこまりました!」



せっせと忙しそうに働く店員を呼び止めて少女はメニューを開いて料理を注文する。



「あと……食後にこのチョコレートパフェを」


「はーい!以上でよろしいですか?」


「オッケー」


「オーダー入りまーす!ユキちゃん!お願いね!」


「はい!」



注文を終えた黒髪の少女はメニューを閉じてカイル同様に料理が運ばれてくるのを待つが、突然少女はカイルの方を向いた。



「あの、なんで無視するんですか」


「………せっかくのオフなんだ。お前のような女に関わりたくないだけだ」


「なんでええ!!どうして師匠は私をいつも無視するのおおお!!」


「ええい!!引っ付くな!!それにお前を弟子にした覚えはない!!」



突然泣き出してカイルの右腕を掴んだこの少女の名は『セリア』という。以前一人で旅をしていた頃、ある依頼で山賊を討伐していた時にアジトで捕まっていたのを助けたらこうしてつき纏われるようになった。


このセリアは盗賊と情報収集を得意としているらしく、どこから情報を掴んだのかカイルがバーゼリオの一人弟子と知っている。それ以降ずっと自分を弟子にしてくれと何かと偶然を装って彼の前に現れる面倒な女である。



「お前、言ってないんだよな?」


「え?なんのことです?」


「俺の師匠のことだ」


「うふふ……」


「殺す」


「わー!!!わー!!!言ってませんから!!言ってませんよー!!!」


「無駄な労力を使わせるな」


「カイルさんはいつになったら私を弟子に……してくれるんですか…?」


「これからもないから安心してくれ」


「どうして!?恥ずかしいけど師匠の好みがぴっちり黒インナーとスパッツだと知ってからずっと愛着しているのに!!」


「………」


「あいだッ?!酷い……女の子に手を上げるなんて……」


「お前いい加減にしろ……」


「すみません……でも、好きですよね……胸とか腰のラインが出る服……あ、すみません…」


「…おい……」



実際カイルはセリアのことを嫌っているわけではない。むしろ盗賊としてはかなり優秀な子で、こういう変に言い寄ってくることがなければ積極的にお付き合いしたい部類の人間だとカイルは評価している。だが、常に何かしらあれば言い寄ってくるため鬱陶しいことこの上なく、能力以外の評価はかなり低い。


ヴェルミィーナの色欲によって性的興奮と言った感情は全て吸い取られている彼ではあるが、彼女も知らない潜在意識の中で実はセリアの体型、服装は今まで出会ってきた女性の中で一番好みであり、それのせいもあってかどうもカイルはセリアを邪険にすることはできなかった。



「カイルさん……?あのですね、なんだか今日魔法学校の図書館に行っていたようなので……何かお探しものですか…?」


「跡をつけていたのか?いつからだ?」


「えと……ここの駅に来てからですね、はい…」


「気付かなかったな」


「え!?ほんとですか!?いや~私の潜伏もまだまだ捨てたものじゃないですね。バーゼリオさんはこちらに気付いていらっしゃったようですが」



カイルの一言で一気に機嫌が戻ったセリアは上機嫌に頭を掻きながら語る。



「それでなぜ図書館に?」


「お前には関係ないだろ」


「なぜ魔王のことをお調べに?」


「おま!どこまで知っているんだ!!」


「いえ、ご熱心に読んでいらしたので背後からちらっと」


「こわ!!お前の気配消しの技術こわ!!」


「職員さんとの会話を聞かせて貰いましたが、ユグドラシルの里について気になっているようでしたね」


「なら今のくだりいらないだろう」


「会話というものは大事なんですよ?」


「その大事な会話を盗み聞きするような奴にだけは言われたくないな」


「まぁまぁ……えと、私の方でユグドラシルの里について調べておきましょうか?」



その申し出にカイルは思わず頼んでしまいそうになるが、セリアに後々何を要求されるかたまったもんじゃないと思ったカイルは、彼女を睨む。



「何が目的だ」


「い、いえ!そんなつもりは……ただ私はカイルさんのお役に立ちたくて……」


「おい、俺はあいつの弟子を何年もやってきたわけじゃない。師匠ほどではないが、それなりに人の考えとか気持ちを読める」


「……………カイルさんの弟子になりたいと…」


「………」


「ご、ごめんなさい!!冗談ですよ!今のはほんの遊び心ですって!!本当のこと言いますと!弟子は無理でもせめてこれを期にカイルさんのお傍に置いていただけたらなと!!」


「お前さ、弟子の俺が言うのもなんだけど、居合術なんてそんないいものじゃないぞ」


「そんなことないですよ。あの魔王ヴェルミィーナに止めを刺したのが居合術であり、その居合術を学べるというのは大変光栄なものなんです。それに聞けば他の3剣士の2人は弟子さんをたくさん持っているそうですが、バーゼリオさんはカイルさんお一人しか取っていないそうではないですか」


「あの居合術は1人にしか教えてはいけない秘剣だからな。俺もそう易々と教えるわけにはいかないんだよ。それに俺もまだ未熟だ」


「数々の国から勲章を貰っているカイルさんが未熟……?」


「師匠を越えなければ真の免許皆伝とは言わない。だから、もしお前に居合術を教えるとしたらまずバーゼリオを倒してからだな」


「え!?私に教えてくれるんですか!!!」


「もしもの話に決まっているだろ。調子に乗んな」


「しゅん……」



本当に心の底から残念そうにするセリアに対して少し悪いと思ったのか、カイルはそんな少女から目を離して前を向く。



「まぁ正直お前の能力だけは高く評価している。だから、弟子とかそういう話以外であれば俺も出来るだけお前の要望に応えたいと思うからさ」


「も、もしかして私に依頼してくれるのですか!!」


「………ユグドラシルの里の件をお前に頼みたい」


「わああ……任せてください!!このセリア!カイルさんを失望させないよう全力で事に当たりたいと思います!」


「あまり張り切りすぎるなよ」


「あのあの!依頼を達成したらお傍に置いていただけるのはもちろんのことなのですが!あ、頭を……ですね……な、撫でて貰えないでしょうか!」


「傍に置くのは流石に難しいな……護衛任務中だし……まぁ、頭を撫でるくらいなら別に構わないが」


「ほ、ほんとですか!!お傍に置いていただけないのは非常に残念ですが……でも!それだけでこのセリナ!命をかけてるのもやぶさかではございません!!」


「いやいやいや、命はかけなくていいからな」



立ち上がってドン!と自分の胸を叩いて『任せてください!』というセリアにカイルは表情を引きつらせる。



「カイル様、お待たせいたしました」


「お、来た来た!!やっぱりマーレシュタインに来たらこれを食べなくちゃな!」



そして丁度そこへマスターお手製の料理が運び込まれ、カイルは溢れ出てくる唾をのむ。



「あ!今日はマスターいらしたのですね……失敗しました……私もマスターの裏メニュー食べたかったです…」



鶏もも肉をマスター特製のスパイスをその手で擦り込んで下味をつけたものをカリカリに揚げたものと手羽先の味が出た野菜たっぷり栄養満点のコンソメスープ。そしてマスター秘伝のたれが欠けられた鶏むね肉が散りばめられた野菜サラダ。更にオマケで小さく切られた鶏もも肉をふわっとした卵で閉じたものを熱々のご飯に乗せたどんぶりがカイルの前に置かれ、セリアも空腹なのか、腹をさすりながら残念そうに語る。



「おやおや、セリア様もいらしたのですね。ご挨拶が遅れてしまい申し訳ございません」


「いえ、マスターは気にしなくていいんですよ。はぁ、とても美味しそうです…」



はふっ!とスプーンでとろける親子丼をすくってカイルは口へ運ぶ。



「うんめえええ!やっぱ城の堅苦しい高級品ばかり並べる料理より俺は断然こっちだな!」


「お待たせしましたー!ステーキセットですね!」


「あ、待ってましたー!!」


「ごゆっくりどうぞ~」


「カイル様、お城に呼ばれたのですか?」


「マスターも聞いているとは思うが、先日ケッキガルドに神霊クラスの魔物が現れて、俺とバーゼリオ達はそれの迎撃に当たってたんだ。んで、勲章の授与式をやるって話になった所にここのお姫様が是非バーゼリオと話してみたいと言ってさ。急遽ここでやることになったんだ」


「なんと!流石カイル様でございますね」


「おっと、その噂は私の耳に入っていませんでした。私も是非式に参加したいのですが、流石にあの王宮に忍び込んでバレて国家指名手配されても困りますし」



ステーキをナイフで切り分けながら『私もまだまだ未熟…』と声を漏らすセリア。



「めでたいことですなぁ……―――ところでカイル様、ユスティシア王女様のお姿を見たことは?」


「いやないな。俺は他の大陸であれこれして勲章貰うついでに王女様に会ったことはあったが、イシュトパルドだけは一度も勲章を貰ったことはない」


「え、どうしてです?」


「ここの大陸を守護しているのがバーゼリオだからな。バーゼリオが守っている大陸で早々勲章を貰えるような事件なんて起こらんだろ」


「そういえばそうでしたね。バーゼリオさんはホラルド校長先生の孫にあたるお方。そりゃイシュトパルドを守りもしますね」


「まぁそれ以前にバーゼリオ自身人間不信がここ最近悪化しているせいもあって大陸を出たがらないってのもあるんだけどな」


「バーゼリオさん、どうしちゃったんでしょうね」


「さっきもちらっと言ったが、俺やバーゼリオは人の考えが読める。バーゼリオは俺と比べてそのセンスがずば抜けていてさ、そのせいで目を合わせただけで見たくもない人の考えが見えてしまうんだよ。例えば外面はいいのに中では犯罪者まがいの策略を張り巡らせているような奴とかな」


「なるほど……それでバーゼリオ様は人が嫌いに……」


「なんも信じられなくなったんだとさ。あいつが敬語を使う理由もこれ以上仲良くならないという彼女なりの壁だ。バーゼリオはそんな奴らをいっぱい見てきたんだよ。小さい頃からずっとな」


「人の考えが読めるというのも考えものですね………」



マスターはカイルとセリアにジョッキに入った生ビールを出す。



「3剣士なんて称号はあいつにとって足枷にしかならん。行く先々で関わりたくもない人たちにちやほやされ、挙句の果てには困りごとと称してバーゼリオに頼み、また勝手に英雄ともてはやされる」


「3剣士の正統後継者とあってはそれも仕方がないことなんでしょうが、確かにそれは大変ですね」


「俺がこうやって自由に動けるのはバーゼリオのおかげなんだ。あいつが俺を弟子と公表しないでいてくれるおかげで俺は好きな場所に行って酒を飲んだり、飯を食ったり、人と話したりすることが出来る。なぁ、他の3剣士の弟子ってどうやって過ごしているんだ?」


「そうですね。北の大陸を守護している3剣士の一人破砕剣グレンゴスの弟子達は各地に散らばって各々修行しているそうですが、やっぱり破砕剣の弟子とあってか、行く先々で声をかけられるらしいですよ。あちらはちゃんと公表しているので」


「俺はそんな柄じゃないな」


「ふふ、でも何だかんだ言ってカイルさんも行く先々の街で困りごとがあれば解決しているじゃないですか。勲章が全てを物語っていますよ」


「やっぱり勲章は貰わない方がいいかな……」


「カイル様、もうその考えは遅いかと」


「だよなぁ………」



久しぶりに愚痴を呟ける相手がいて酒も愚痴も止まらないカイルは気持ちよさそうに酒を煽る。



「セリアは持ってないのか、その勲章は」


「あのカイルさん、私は盗賊ですよ?カイルさんみたくドラゴンを正面から倒すとかそんな芸当無理ですからね?」


「ん、俺がおかしいみてえじゃん」


「いえ、おかしいです。神霊クラスの魔物を何度も倒すとか、まず普通の人間には無理ですって」


「………なんか納得がいかないな」


「でも、カイル様のようなお方がいるおかげで、今もこの大陸は平和を保っているのですよ。勲章はそれを称えるものなのです」


「マスターの言葉が身に染みるようです。私なんて盗賊ですからね~。まぁ盗む相手は選びますが」


「人に得て不得手がありますからね」


「カイルさんの場合、それすら超越しそうですが」


「あまり俺を過大評価するなよ」



セリアの言葉にマスターも珍しく笑って『それもそうですね』と言い、カイルはその様子を面白くなさそうに見ているのであった。



「カイルさん……重いですって…!」



その後、ベロンベロンになったカイルの肩を担いで地味に酒に強いセリアは表通りを歩いていた。

時刻ももうすぐ0時とあって人の数も少なく、セリアの声が壁に反響してやけに大きく聞こえる。



「……あぁ気持ち悪い……」


「ちゃんと歩いてくださいよ~」


「…………足が…うまく…」



意識はあるようだが、それでも彼の瞳はどこか虚ろで、全身の力が抜けているかのようにうまく足の言うことが聞かない。



「えと、王城まで送ればいいんですか?」


「そうだ……すまないな…」


「いえいえ、これもカイルさんのためと思えば!」


「………お前の得物はなんだっけな……」


「はい?ダガー2本と刀ですが?」


「お前、カグヤの国の人間だろ…」


「ば、ばれていましたか……」


「刀なんて代物はカグヤの国の職人しか作れないからな……それにお前の刀は名匠クドウが作ったセリア専用の刀と見た………お前、どこの姫さんだ…」


「い、いやぁ……え~……ほんとに酔ってます…?」



カイルの言葉を受けた瞬間セリアの足が止まった。



「バレたくないと思ったのならその刀を使わないことだな……」


「もしかして普段カイルさんが刀を使わないのも?」


「俺が刀を使うことでバーゼリオに迷惑がかかるかもしれないからな……まぁ流石に神霊クラスの魔物相手では使わざるを得なかったけど………」



そしてカイルは勝手にセリアが腰に下げている水筒を取って水を飲む。セリアが一瞬何か言いたげな顔をしたが、酔っているカイルに何を言っても仕方がないと思って諦める。



「………お前は色々とおかしいんだ……どこから湧いてきた情報だが知らんが、その情報はやけに真を帯びていたり、俺があいつの弟子だということも親父さんらへんの人しか知らないのになぜかお前は知っている……そのセリアって名前もバーゼリオ同様に偽名だろ…」


「………嫌いになりましたか……」



疑うような目を投げかけられ、セリアの足取りが弱々しくなっていく。



「いや……なんだかんだお前との付き合いはもう2年になる。今更疑いが増えたどころで嫌いにはならない……それに俺は…案外お前みたいな奴が好みのタイプらしい……自覚はないが…」


「え!?ほ、ほんとですか!!!ちょっともっかい言ってくれません!?」



好みと言われて先ほどの暗いテンションはどこに言ったのか、もし尻尾があれば千切れんばかりに振っていることだろう。



「……………」


「あれ?カイルさん……?おーい……え?寝てます?ちょ、ちょっと!!酒を飲んだらすぐ寝るのはいつものことなので分かっていましたけど、こんなタイミングで寝ないでくださいよー!!!」



道端で寝息を立て始めたカイルにセリアは悲痛な叫びを上げるのであった。





「止まれ!こんな真夜中に何用だ」



そしてセリアは足を引きずられても全く起きる気配がないカイルを連れて王城へやってきた。騎士もその様子に警戒を強め、セリアに槍を向ける。



「あぁ、カイル・ワグナルって人を連れてきたんだけど。あの、この人ここに泊まるって聞かされてない?」


「カイル殿か。確かに来たら通すよう言われているが、既に夜も遅い。客人とは言え、一人のために門を開けるわけにはいかないのだ……」


「ええ……どうしよう……」


「すまないが、どうかお引き取りを」


「で、でもでも!この人明日勲章の授与式があるんだよ!?衣装の着替えもあるだろうし…」


「しかし……」


「何事だ」


「これは部隊長」



先ほどのやり取りを見ていた騎士が部隊長に知らせ、部隊長が門を開けながらやってきた。



「これはカイル殿ではないか。何故通さなかった」


「あ、いえ……既に夜も遅いということで…」


「確かに貴様の行動は正しい。だが、こちらの方はバーゼリオ殿と共に神霊魔物を倒した英雄だ。多少のことは大目に見ようではないか」


(完全に今まで飲んでいた私たちが悪いのに……ごめんなさい……騎士さん…)


「はっ!では、お通りください。そちらの女性もそのまま通っていただいて構いません」


「え?ほんとに?私、客人でもないんだけど」


「カイル殿が身を預けられるほど信頼を得ている方とお見受けする。ならば、こちらの心配もいらないというもの。ですが、送り届けられたらすぐお引き取りください」



部隊長にそう言われたセリアはそのままカイルを引きずって王城へ入ることが出来た。



(まさかこんな形で人生初の王城に侵入できるとはねえ……)


「カイル殿の部屋はここを右の最奥にございます」


「あ、どうも」



城の中を見渡していると、後ろからついてきた部隊長に言われてセリアは進む。どうも盗賊を長くやっているせいか、どこか侵入しやすそうな場所はないか探してしまう癖があり、少し反省する。



(いけないな……この癖は少し直そう……)



そしてカイルの部屋について扉を開ける。



「流石マーレシュタイン城………どれもこれも一級品だ……」



盗賊の鼻が働いて部屋にある金品に目が行ってしまうが、思い出したかのようにセリアは眠っているカイルを肩から降ろしてベッドに寝かせる。



「ふぅ……私もあれこれと力仕事はして力はある方だけど、ここまで運ぶとなると疲れてしまうよ…」



そこでふとセリアは子供のような寝顔を晒しているカイルが視界に入る。



「ここまで運んできたんだし……ちょっとくらいいいよね…」



カイルの脇でしゃがんだセリアは、しばらくの間彼の髪を撫でながら可愛い寝顔を見ていた。



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