後日譚.赤と黄色
高校を卒業すると。
四人が毎日顔を合わせる生活は。
あっさりと終わった。
白は。
地元の大学へ。
青は。
都会の大学へ。
黄色も。
別の大学へ進んだ。
そして。
赤だけは。
一足先に。
社会人になった。
◇
『あいつ、またやったらしい』
赤から。
黄色へ。
初めて個別にメッセージが届いたのは。
卒業して。
まだ。
それほど経っていない頃だった。
『何を』
『人助け』
『それだけなら普通でしょ』
『怪我した』
『は?』
返信は。
すぐだった。
『どの程度』
『本人曰く、擦り傷』
『本人曰く、は信用ならない』
『だよな』
白。
つまり。
四人の中で。
昔から一番。
妙なものを見つけてしまう男。
大学から帰る途中。
道路脇で。
自転車に乗った子どもへ向かって。
黒い厄が伸びているのを見つけたらしい。
原因は。
停車していた車。
運転手が降りた直後。
サイドブレーキが甘かったのか。
ゆっくりと坂道を下り始めた。
白は。
子どもを引っ張って避けさせ。
その際。
自分が転んだ。
『病院は?』
『行ったって』
『ならいい』
『でも今神社いる』
『なんで』
『龍神様に報告だって』
『病院の次が神社なの?』
『あいつだから』
黄色は。
しばらく。
画面を見ていた。
『今から行く?』
『行く』
返事は。
ほとんど同時だった。
◇
「二人とも、どうしたの?」
神社へ着くと。
白は。
いつもの石段の途中に座っていた。
右肘に。
大きな絆創膏。
「どうしたの、じゃない」
黄色が。
その前へ立つ。
「見せて」
「いや、もう病院行ったし」
「見せて」
「大丈夫だって」
「見せろ」
「はい」
素直に。
腕を差し出した。
赤が。
それを見て笑う。
「お前、こいつには素直だよな」
「怖いから」
「誰が怖いって?」
「何でもないです」
「よろしい」
傷そのものは。
本当に。
大したことはなかった。
「でもさ」
白が言う。
「子ども無事だったから、よかったよ」
「それで自分が怪我していい理由にはならないでしょ」
「擦り傷くらいなら」
「そういうところ」
「何が?」
「何でもない」
黄色が。
ため息をつく。
赤も。
隣で。
同じように。
ため息をついた。
「……俺らさ」
「何?」
「こいつの保護者みたいになってない?」
「今さら?」
「お前もそう思ってた?」
「高校の頃から」
「ひどくない?」
白が抗議する。
二人は。
無視した。
その日から。
赤と黄色の間には。
四人のグループとは別に。
二人だけの会話が。
少しずつ。
増えていった。
◇
『今日白なんか言ってた?』
『特に』
『青から連絡来た?』
『昨日』
『元気?』
『都会楽しいって』
『ならよかった』
最初は。
白と青の話ばかりだった。
離れていても。
妙なことをする二人。
そして。
それを気にする二人。
『今日仕事きつかった』
『急に何』
『聞いてほしいだけ』
『知らん』
『冷た』
『で、何があったの』
いつの間にか。
仕事の話が混じる。
『大学の教授めんどくさい』
『どんな』
『話長い』
『お前も人のこと言えない』
『は?』
授業。
仕事。
昼飯。
天気。
くだらない写真。
どうでもいい話。
気づけば。
毎日のように。
何かしら。
メッセージを送り合うようになっていた。
けれど。
二人とも。
それを特別だとは。
思っていなかった。
◇
そんなある夜。
久しぶりに。
四人で通話した。
青は。
都会で一人暮らし。
『いやもう、人多すぎ』
「都会だもんな」
『朝の電車とか意味分かんない』
「楽しそうじゃん」
『楽しいよ。大学もまあまあ』
いつもの。
青だった。
少なくとも。
そう聞こえた。
『バイトも始めたし』
「何やってんの?」
『飲食』
「大変そう」
『慣れれば平気平気』
笑っている。
普通に。
楽しそうに。
やがて。
『明日一限だから、そろそろ寝るわ』
「おやすみ」
『またね』
通話が切れた。
少し。
沈黙。
最初に。
白が言った。
「……青さ」
「うん」
黄色が。
すぐに返した。
「何か変だったよね」
赤が。
少し遅れて。
「そうか?」
「声」
黄色が言う。
「妙に元気にしようとしてた」
「俺もそう思った」
白も。
スマートフォンを見ながら。
「なんとなくだけど」
赤は。
その言葉を。
何度も聞いている。
「連絡する?」
黄色が聞く。
白は。
少し考えた。
「いや」
「なんで?」
「聞いても大丈夫って言うと思う」
黄色も。
少し考える。
「……言うね」
「じゃあどうする?」
赤が聞いた。
白は。
あっさり答えた。
「週末、行く?」
「行く」
黄色。
「行くか」
赤。
決まった。
青本人へは。
連絡しなかった。
◇
土曜日。
朝。
青の部屋。
インターホン。
しばらく。
返事がない。
もう一度。
押す。
『……はい』
明らかに。
寝起きの声。
「俺」
『誰』
「白」
沈黙。
『……は?』
ドアが開いた。
髪はぼさぼさ。
部屋着。
青が。
三人を見る。
「……何してんの?」
「おはよ」
白。
「来たぞ」
赤。
「入れて」
黄色。
「なんでいるの!?」
青の声が。
廊下へ響いた。
「遊びに」
「連絡してよ!」
「したら来なくていいって言うでしょ」
黄色。
「言うよ!」
「だからしなかった」
赤。
「最低!」
「まあまあ」
「白が一番悪いからね!?」
「なんで!?」
結局。
三人は。
部屋へ入った。
そして。
黄色は。
数秒で。
黙った。
洗濯物。
コンビニの袋。
空になったペットボトル。
冷蔵庫。
ほとんど。
食べ物がない。
「……青」
「何」
「ちゃんと食べてる?」
「食べてる」
「昨日」
「……」
「一昨日」
「……パン」
「はいアウト」
「何が!?」
赤は。
何も言わず。
ゴミ袋を広げた。
「ちょっと、勝手に片づけないで!」
「じゃあお前やる?」
「……後で」
「やらないやつだな」
「うるさい!」
白は。
青の顔を見る。
「寝てる?」
「寝てる」
「何時間?」
「……」
「何時間?」
「三、四時間くらい」
「寝ろ」
「何しに来たの!?」
「顔見に」
「もっと何かないの!?」
黄色が。
冷蔵庫を閉める。
「白。買い出し」
「はい」
「赤。ゴミ」
「了解」
「私、洗濯」
「待って。何その連携」
青が。
三人を見る。
「保護者会?」
赤が言った。
「臨時開催」
黄色。
「俺も保護者?」
白。
「お前は保護される側」
二人。
「ひどくない?」
青が。
とうとう。
笑った。
その顔を見て。
三人も。
少しだけ。
安心した。
◇
その日は。
何か特別なことを。
したわけではない。
部屋を片づけ。
洗濯をして。
まともなものを食べ。
少しだけ。
街を歩いた。
夜は。
四人で。
くだらない話をした。
高校の頃と。
変わらない話。
それだけ。
翌日。
三人が帰る頃には。
青の顔色は。
少し。
戻っていた。
「次は連絡して」
駅で。
青が言った。
「無理」
黄色。
「却下」
赤。
「また声変だったら来る」
白。
「もうやだ、この三人……」
そう言いながら。
青は。
笑っていた。
◇
帰りの電車。
白は。
座って。
十分もしないうちに。
寝た。
「こいつ……」
赤が呆れる。
「昨日一番遅くまで青と話してたからね」
「自分も寝ろって言われる側じゃん」
「だから世話が焼けるのよ」
黄色は。
窓の外を見る。
しばらく。
電車の音だけ。
赤が。
ぽつりと。
言った。
「俺らさ」
「何」
「ずっとあいつらの面倒見てない?」
黄色が。
赤を見る。
「……今さら?」
「やっぱそう?」
「白は昔から」
「うん」
「青は今回」
「うん」
「たぶん、これからも」
「だよなあ」
二人で。
ため息。
そして。
笑った。
「でも」
赤が言う。
「今日、お前いて助かった」
「何が?」
「俺一人だったら、あいつんち行っても何していいか分からん」
「ゴミ捨ててたじゃん」
「それくらいしかできん」
「十分でしょ」
「お前いなかったら、飯も洗濯も多分無理だった」
「私だって、あんたいなかったら全部一人でやることになった」
少し。
間。
「白は?」
「買い出し」
「一応、最初に気づいたの白だけどな」
「そういうところだけ妙に鋭いのよ、あいつ」
また。
笑った。
そして。
赤は。
ほんの少しだけ。
思った。
こいつがいると。
楽だ。
何も。
説明しなくていい。
自分が動けば。
向こうも動く。
向こうが動けば。
自分も。
自然に。
その隣へ行ける。
そのときは。
まだ。
それを。
恋とは。
呼ばなかった。
◇
「それ、彼氏じゃないの?」
大学で。
黄色は。
友人から。
唐突にそう言われた。
「誰が?」
「いつもLINEしてる人」
「違う」
「毎日してるじゃん」
「友達」
「二人でご飯行くじゃん」
「友達でも行くでしょ」
「高校の同級生?」
「そう」
「好きじゃないの?」
「ないない」
即答。
友人は。
じっと。
黄色を見る。
「その人に彼女できたら?」
「別に」
答えようとして。
少し。
止まった。
赤が。
知らない女の子と。
並んで歩いているところを。
想像した。
何故か。
妙に。
面白くない。
「……どうしたの?」
「別に」
「今、めちゃくちゃ嫌そうな顔したけど」
「してない」
「してた」
「してない!」
その日の夜。
赤から。
いつものように。
メッセージ。
『今日先輩に女紹介するって言われた』
黄色は。
画面を見た。
数秒。
返信。
『へえ』
『興味なさすぎない?』
『好きにすれば』
『なんで怒ってんの?』
『怒ってない』
『怒ってるじゃん』
『うるさい』
送信。
スマートフォンを。
ベッドへ投げた。
「……何これ」
初めて。
少しだけ。
自分の気持ちが。
分からなくなった。
◇
赤の方も。
似たようなものだった。
「お前、彼女いる?」
職場の先輩に。
そう聞かれた。
「いないっす」
「じゃあ今度――」
「いや、いいです」
「まだ何も言ってねえよ」
「あ」
「何だよ」
「いや」
「好きな子でもいんの?」
「……いないです」
「間があったぞ」
「いないですって」
「じゃあ、よく飯行く女とか」
赤の頭に。
黄色が。
浮かんだ。
「……いますけど」
「それじゃん」
「違います」
「何が違う」
「友達です」
「二人で飯行く?」
「行きます」
「LINEは?」
「まあ」
「毎日?」
「……だいたい」
先輩は。
しばらく。
赤を見た。
「お前それ、もう彼女じゃん」
「違いますって」
「じゃあその子に彼氏できても平気?」
「……」
「はい終了」
「いやいやいや」
「自覚しろ」
その日の帰り。
赤は。
黄色へ。
メッセージを送ろうとして。
少し。
指を止めた。
いつもなら。
何も考えず。
送れる。
なのに。
その日から。
少しだけ。
違って見えた。
◇
恋愛感情を。
自覚したからといって。
すぐに。
何かが変わったわけではない。
『明日飯行く?』
『行く』
『何食う』
『何でも』
今まで通り。
二人で会う。
今まで通り。
話す。
今まで通り。
笑う。
ただ。
時々。
妙に。
意識する。
肩が触れる。
少し。
黙る。
スマートフォンを。
一緒に覗き込む。
近い。
何故。
今まで。
平気だったのか。
二人とも。
分からなかった。
それでも。
言わない。
関係を変えるのが。
少し。
怖かった。
今のままでも。
十分。
楽しかったから。
◇
数年後。
黄色が。
大学を卒業した。
白も。
同じ春に。
大学を出た。
青も。
都会で。
新しい道へ進んだ。
四人で。
久しぶりに。
地元へ集まった。
「卒業おめでとう」
赤が。
三人へ。
グラスを上げる。
「一人だけ先輩風吹かせてる」
黄色。
「社会人歴だけなら先輩だぞ」
「はいはい」
青も。
笑う。
白は。
「これでみんな社会人かあ」
などと。
少し。
感慨深そうにしていた。
宴会は。
いつも通り。
くだらない。
高校の話。
台風の話。
青の部屋へ。
三人で突撃した話。
「本当にあれ最低だったからね」
「助かっただろ」
「助かったけど!」
「じゃあいいじゃん」
「白は黙って」
笑う。
何も。
変わらない。
けれど。
帰り道。
白と青が。
先に別れ。
赤と黄色。
二人だけになった。
いつものように。
並んで歩く。
「なあ」
「何」
「これからも飯行く?」
「何その質問」
「いや」
「行くでしょ」
「だよな」
「急にどうしたの」
赤は。
少し。
黙った。
「俺らさ」
「うん」
「もう、付き合ってるようなもんじゃね?」
黄色が。
足を止めた。
「……何それ」
「違う?」
「それ告白?」
「……多分」
「多分って何」
「いや、初めてだから分からん」
「普通一回しかやらないからね」
「じゃあ」
赤が。
少し。
照れたように笑う。
「付き合う?」
黄色は。
少しだけ。
赤を見た。
「……いいよ」
「マジ?」
「嫌なら言わない」
「そっか」
「うん」
「じゃあ、よろしく」
「よろしく」
少し。
沈黙。
そして。
二人は。
また。
歩き始めた。
数十秒。
黄色が。
ちらりと。
赤の手を見る。
赤も。
同じことを考えていた。
指先が。
少し。
触れた。
二人とも。
離れた。
「……」
「……」
「何これ」
黄色が言った。
「俺に聞くなよ」
「今まで何ともなかったのに」
「俺もだよ」
二人は。
笑った。
付き合う前より。
付き合った後の方が。
少し。
距離が遠くなった。
◇
もちろん。
そんな期間は。
長くは続かなかった。
数か月もすれば。
元通り。
「帰りスーパー寄る?」
「牛乳ない」
「じゃあ寄るか」
付き合う前と。
ほとんど。
変わらない。
ただ。
少しだけ。
違う。
疲れれば。
肩へ寄りかかる。
手をつなぐ。
家族へ紹介する。
赤の祖母とも。
黄色は。
何度も会った。
「あんたたち、いつ結婚するの」
祖母に。
笑いながら聞かれたこともある。
「まだしないよ」
黄色。
「そのうちな」
赤。
「そのうち、そのうちって言ってたら、ばあちゃんいなくなるよ」
「縁起でもないこと言うなよ」
「人はいつか死ぬんだから」
そう言って。
祖母は。
笑っていた。
◇
そして。
本当に。
その日は。
来た。
十分に。
長く。
生きた。
病気もあり。
最後は。
眠るように。
静かに。
赤の祖母は。
天寿を全うした。
悲しい。
当然。
悲しい。
けれど。
誰も。
理不尽だとは。
言わなかった。
よく生きた。
そう。
言える別れだった。
通夜。
黄色は。
当然のように。
来た。
誰に。
呼ばれたわけでもない。
黒い服を着て。
赤の両親へ。
頭を下げ。
できることを。
手伝った。
赤が。
何も言えないときには。
ただ。
隣にいた。
親戚の一人が。
黄色へ聞いた。
「赤くんのお友達?」
黄色は。
一瞬。
赤を見る。
そして。
「はい。高校からの友人です」
そう。
答えた。
間違っていない。
高校からの。
友人。
そして。
今は。
恋人。
それだけ。
なのに。
赤は。
その言葉が。
妙に。
嫌だった。
◇
全部が。
終わった夜。
黄色は。
帰ろうとしていた。
「今日はありがとな」
「別に」
「ばあちゃんも喜んでると思う」
「そうかな」
「お前のこと結構気に入ってたし」
「結婚しろってうるさかったけどね」
「言ってたな」
二人。
少し。
笑った。
「じゃあ帰る」
「うん」
黄色が。
歩き出す。
「なあ」
赤が。
呼び止めた。
「何?」
「今日さ」
「うん」
「お前のこと聞かれたじゃん」
「……うん」
「友達って」
「まあ、高校からの友達だし」
「違う」
「何が?」
「いや、違わないんだけど」
赤は。
言葉を探した。
上手く。
出てこない。
「彼女でもあるし」
「うん」
「でも」
「何」
「なんか、それだけなのが嫌だった」
黄色が。
黙った。
「今日さ」
赤は。
続ける。
「ばあちゃん死んで」
「うん」
「家族が集まって」
「うん」
「一番しんどいとき」
少し。
息を吐く。
「お前がいてくれて、よかったんだよ」
黄色の目が。
僅かに。
揺れた。
「多分」
赤は言う。
「これからも」
「うん」
「俺に何かあったとき、一番いてほしいの、お前だと思う」
「……うん」
「お前になんかあったときも」
赤が。
黄色を見る。
「俺が、そこにいたい」
黄色は。
しばらく。
何も言わなかった。
「だから」
「うん」
「もう」
少し。
照れくさそうに。
赤は。
笑った。
「家族にならない?」
黄色が。
目を瞬いた。
「……それ」
「うん」
「プロポーズ?」
「多分」
「また多分って言った」
「じゃあ違う」
「撤回すんな!」
「いやだって」
「もう!」
黄色は。
笑った。
でも。
目には。
少し。
涙があった。
「……私もさ」
「うん」
「今日」
黄色が。
小さく。
息を吐いた。
「『友人です』って言ったとき」
「うん」
「ちょっと嫌だった」
赤が。
黙る。
「友達で」
「うん」
「恋人で」
「うん」
「でも、それだけじゃないのになって」
赤が。
笑った。
「じゃあ」
「うん」
「結婚する?」
黄色は。
今度は。
迷わなかった。
「する」
短い。
答えだった。
◇
数日後。
二人は。
龍神社へ来た。
まだ。
入籍したわけではない。
式も。
何も。
決まっていない。
けれど。
まず。
ここへ。
報告しようと思った。
高校卒業の日。
四人で選んだ。
龍の守り。
赤。
黄色。
今も。
二人とも。
持っている。
並んで。
賽銭を入れる。
二礼。
二拍手。
手を合わせる。
「結婚することになりました」
赤が。
小さく言う。
「よろしくお願いします」
黄色も。
頭を下げた。
二人には。
何も。
見えない。
何も。
聞こえない。
けれど。
社殿の奥。
白い龍は。
二人を。
静かに見ていた。
赤い守り。
黄色い守り。
そこから。
長い年月をかけて。
我が社へ伸びていた。
二本の縁。
それが。
いつしか。
隣り合い。
重なり。
今では。
互いへ絡むように。
一つの形を。
作り始めていた。
白い龍は。
その様子を見て。
僅かに。
目を細めた。
そして。
誰にも聞こえぬ声で。
呟いた。
――ようやくか。




