企画配信のお誘い☆
企業所属となったカロナ。マイルームで配信計画を練っていたところ、先輩であるアカリから映像通話があった。
『やっほー☆ カロナちゃん、今日は配信の企画を考えたから参加しないかなってお誘いだよ!』
「やりますわ!!」
先日配信を行った際の明細を見て、誘われたら絶対やるしかないと決めていた。だって32万である。サラリーマンの月収に相当する金額。初配信ボーナスがあったとはいえそんな金額にカロナが目をくらませないはずがなかった。
もう企画の内容を聞く前に参加表明するくらいに。丁度今後の配信計画を練っていたというのもタイミングが良かった。
むしろこちらからお願いしたいくらいだった。
『判断が早い、早いよカロナちゃん!』
「ふっ、私気付きましたの。幸運の女神は前髪しか生えていない。すぐ掴まなければつるんと逃げられてしまうのですわ!」
『確かによく言われてるけど、幸運の女神さまって珍妙な髪型だよねぇ。ま、私はちゃんと後頭部もフサフサだけど!』
そう言ってアカリは髪の毛をスッとかきあげた。さすがアイドル系B-Casterのアカリ先輩、仕草一つとっても可愛らしい。
「それに、私もうひとつ気付きましたの! 私みたいな新参者は、積極的に先輩に絡むべきだと! その方が新規にも見てもらえますわ!」
『確かに! 常連さんもだけど、私達B-Casterには新規視聴者さんって大事だよねっ』
「ですわよ!」
言ってしまうとアレだが、常連さんは既にチャンネル登録してくれている。新規でチャンネル登録してくれる人がいればこそ、チャンネル登録者数は増えるのだ。
もちろん常連さんがチャンネル登録し続けてくれているから減らないというのも忘れてはいけないが。
『じゃ、面白そうだから企画の内容は話さないでおこうかな』
「えっ」
『当日の新鮮なリアクションを期待しておくよ☆』
急に不安になってきた。
「えっ、えっ。あ、ちょ、ちょっと心配になってきたなぁって……!」
『大丈夫大丈夫、損はさせない……と思うから!!』
「ちょっと不安なコト言わないでくださいまし!?」
『企画ものとはいえダンジョンだもん。早々と脱落したらさすがに収支マイナスになっちゃうからね! しっかり戦闘準備はしといてねー』
「ど、どういうダンジョンですの!? それによって準備が!」
ぶつんっと通話が切られた。
「……うん。先輩に企画に誘われた。なら行くしかないですわね……!」
企画の日程メールが送られてきた。早い。日程調整が早い。
……今更だが、流石に企画をいつやるかは確認しておくべきだったな、と思った。最優先でやるつもりだったけど。
「しっかりと準備しておかないといけませんわね。どんなダンジョンにいっても活躍できるように!!」
そうと決まれば訓練も兼ねてデイリー企業ダンジョンに挑むとしよう。
……ポーションも買っておくべきだろうか。いや、最初からHPを高めに購入しておいたほうが安上がりか……いやいやでも固定HPだったら。
「あああ、やっぱり企画の詳細を聞いておくべきでしたわっ!!」
頭を煮詰まらせて、「ふんがー!」と両拳をつき上げるカロナ。
「……まぁお嬢様のそういうところを見込まれたのでしょうね?」
「どういうとこですのコクヨウ!?」
ずっと側に立って見守っていた猫耳のAIメイドはお嬢様に微笑ましさを覚え、フフフと笑った。




