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・34・その次は

 待合室の時計を見ると、あと3時間はストーブ無しのこの部屋で電車を待たなくては行けないということを示していた。さっき受け取ったココアはとっくに飲みきり、体を温めるものはなにもない。

たっぷり15分はなやんで、さっき拾ったなけなしの100ペンス硬貨でもう一杯買おうと腰を上げたとき、ジョヴァンニが待合室に来た。


「もう電車が来る。急げ。」


「え?あと三時間は来ないはずじゃあ、」


「スコットランドが猛吹雪で早めに帰った来たらしい。あと三分で来るぞ。」


そんな都合のいいことがあるだろうか。あとから考えればもっと疑うべきだったんだろうが、僕はこのとき、あまりの寒さで頭が回っていなかった。この後とんでもなく後悔するとは知らずに。



 やはり電車の中は温かい。イアンはコートを脱いで、備え付けの毛布にくるまっていた。


「随分くつろいでるな。」


食堂車からジョヴァンニが戻ってきた。紅茶とスコーンを抱えて。飛び起きたイアンを見て、笑いながらスコーンを投げてよこした。


「あったかいたべものだ・・・」


思わず声が漏れた。

よく考えたら最後に食べた固形食は、船に乗る(侵入する)前に食べた軍用缶詰だった。温かいご飯となると、それこそ一週間は食べていない。


「子犬みたいな食い方をするんだな。スカした態度しか取らないくせに」


「食べ方もきれいだし、態度も紳士的でしょ」「紳士はスコーンを投げられたら怒るんじゃないか?」

「見解の相違ですね。」


スコーンを頬張りながら言い返す。半眼で睨んでくるジョヴァンニを無視して、奪い取った二個目のスコーンを頬張る。「紳士は紳士でもリスの紳士だな」とのつぶやきを無視して紅茶で流し込み、ようやく一息つく。


自分のっ分をちょうど食べ終えたジョヴァンニが言う。「紳士どころか英国人らしさのかけらもないな。」「新たな英国人らしさです。」思わず頬が緩んだが、なにか良くないような気がして慌てて顔を引き締める。

ちょうど列車はトンネルの中を走り、どこかゆったりとした空気が流れていた。その空気をかき消し、トンネルを抜けたときにそれはやってきた。二度ほど見た黒い粒が、カラスの形を取って窓にぶつかった。奥の方には、鷲、梟、ハゲタカなんかもいる。


「キャァァァァァァっ!!!!」


前の者力から悲鳴が聞こえ、、先頭車両が爆発した。

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