・20・つかない決着
「お、どうした?もう終わりか。さっきの回復はどうした?使えないのか?」
図星を突かれた。いつもなら流すところだけど、卿はなぜかあいつの口を縫ってやりたくなった。頭に血が上って、心臓の鼓動が早くなるのを感じる。イラつきがどんどん溜まっていくのがわかる。自分の心の中の器から、何かが溢れてきそうな感覚がさっきから何度も来ている。そのたびに押し込んでまた溢れそうになって、また押し込んでを繰り返していたら、いきなり自分の血液の中に放り込まれた。瀧みたいな流れの中、ところどころ青く光っているところがあった。そこに触れると、たちまち周りと同じ色に戻った。それを何度も繰り返していると、いきなり外に放り出された。体完全に元に戻っている。折れてた鼻も、赤く染まってい足し階も、しっかり元に戻っている。やっぱりすごいな、この能力。
「おーい、動いてよー。僕暇なんだけど。」
「うるさい」
体から光の帯がとびだし、アルミナントに巻き付いた。
「あぶないあぶない。あと一歩でやられるとこだった。なーに?この能力」
僕も知らない。というかこっちが教えてほしい。またいきなり新しい能力が出てきてこっちだって困ってるんだ。本当になんとかしてくれ。見たところ、いつものビームが幅広になって柔らかくなった感じだ。
「うるさい。さっさと堕ちろ。」
光の帯がアルミナントに蛇みたいに襲いかかる。左から巻き付こうとした帯を手刀で払い、右から来た帯を火でガードしたと思ったら、後ろの帯を火獣で防ぐと、似たような帯を火で作って打ち込んできた。目の前に帯を広げてガードし、帯で体重を支えて、屋根に飛び上がる。
「すごくない?それ。ほしいな、その能力」
「似たようなことしてんだろ。そっちも」
光の帯を数本一気に打ち込み、その影に隠れて接近する。全て払われた次の瞬間、全力の右ストレートを打ち込む。
「いっつもこんな感じの攻撃だね。」
しっかりガードされ、横から蹴りが飛んできた。それを帯でガードし、着地する。着地用に作った繭を解いて、上に向けて構えを取る。
「すごい。それ、どうやってんの?なんか使いこなすの早くない?」
「軽口叩いてる暇あんのかよ。」
帯を足代わりにして空中に飛び上がり、自分のリーチの一歩手前でパンチを撃つ。当然一歩下がってかわされる。けどそのままビームを撃ってしまえば関係ない。アルミナントがなんとか反応して貼った炎の防壁とビームが衝突して、大爆発が起きて、後方に吹き飛ばされた。
「いててて・・・。もーなんで今ので決まんないんだよ。普通に勝つ流れだったでしょ。」
全身の血流を活性化させて受け身を取ったから良かったものの、あと少しでこちらが死ぬところだった。とんだ災難だ。でも流石に今のであいつも死んだだろう。どう考えても反応が間に合っていなかった。僕のビームはあいつの防壁を突き破ったはずだ。
「いやー、ほんとに危なかった。あと少し全身が塵になるところだったよ。いやーまいったまいった。」
「何であれで生き残るんだよ。どう見ても防壁間に合ってなかっただろ。」
「防壁破られても体そのものの強さでなんとかなるだろ。君は魔力操作は上手いけど、魔力出力弱いからね。結構耐えれるよ」
なんだよこいつ。いや、僕の魔力出力が弱いって言ってたから、あいつが強いわけじゃないのか?いや、そもそもあれって魔力だったのか?なんか周知の事実みたいに言ってたけど、俺知らないぞ。
「おい、アルミナント」
いつの間にかアルミナントの横にもう一人、浮いていた。アルミナントが赤だとするなら、青。光だとするなら、闇。真っ黒い服と真っ黒い髪。真っ白い肌。地下牢から何年も出ていない囚人みたいだ。




