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・18・覚醒らしきこと

「おい、ちょっと待て」


「あ?なんだ?この期に及んで悪あがきか?」


「汚く喋る以外に虚勢張る方法知らねえのかよ。ダッサ」


「今にも負けそうなやつが言ってもなんの凄みもないぞ。なんだ?死にたくないのか?じゃあお願いしてみろよ。弱いくせに生意気言ってすいませんでした、ゴメンナサイ、命だけは取らないでくださいってな。ほら、言えよ。」


もう勝つとか負けるとかどうでもいい。

けど、さっきのあいつの言葉。友達全員殺されて向かってきた時よりは、って言ってた。僕は友達が全滅したことは人生で一度しかない。


何がどうなってるのかはっきりさせろ、って少しだけ残ってる友愛精神が言ってる。これまで友愛精神に従って考動したことはほぼない。その分、今から全面的に従ってみよう。


「なんだ、余裕ないんじゃん」


「ハッ。コメディアンにでもなるつもりか?余裕ない?お前はこの状況のどこをどう見てそう解釈したんだ?」


よし、乗ってきた。普通に聞いても、答えが帰ってくるはずがない。でもこのタイプはおだてても多分聞かない。逆に煽ったほうが答えが帰ってくる気がする


「焦ってんじゃん。やたら急いで殺そうとしたり、いきなり命乞いさせようとしたり。あ、もしかして、まさか僕のこと殺せる自信ないの?」


腹のあたりで爆弾が破裂したような音がして、僕は真後ろに吹っ飛んだ。後ろが広場だったから、地面に落ちるだけで済んだけど、壁でもあったら背骨が折れて即死してるとこだった。


「おまえ、なんて言った?」


前から超高温の物体が近づいてくる。圧がどうのって話じゃない。ほんとに体から超高熱を発してる。拳だけじゃなく全身から湯気が上がってる。目は真っ赤だ。


「聞こえなかったの?自信ないのかって言ったんだよ。」


腹が痛くて仕方がない。多分内蔵が破裂した。けどこの一言だけはなんとか出てきた。


「この語に及んでまだほざくのかよ。ん、決めた。苦しまないように一撃で殺してあげるつもりだったけど、やめた。腕一本一本、足一本一本切り落として、胴体真っ二つにして、 なぶり殺しにしてやる。」


 そう言って腰に下げてた片手剣をに二本抜いて、それに炎をまとわせた。


「ふん。やっぱ弱いじゃないか。俺丸腰だぞ?なのに剣使わないと勝てる自信ないのか?情けないな。素手でやる勇気もないのかよ。」


さてどう来るか。これで剣捨ててくれたら面白いんだけどな。


「じゃあ剣捨ててやってやるよ。ほら立て」


「そうこなくっちゃ」


とは言ったものの、内蔵が破裂した状態でまともに戦えるわけがない。

早速一撃飛んできた。顔面にあたって、鼻の骨と歯が数本、確実に折れた。

脳が揺れたらしく倒れそうになったけど、すぐに反対側から蹴りが飛んできて、倒れることすらかなわない。

さっき食らった腹にもう一撃飛んできて、血だけじゃなくて臓器の一部が口から飛び出てきた。

目もかすむ。一呼吸ごとに体の中でハリネズミが暴れまわってるような感覚だ。


ほんとにもう死ぬかもしれない。何発食らったかわからない。

内臓だけじゃなくて、肺も破れた。ピクリとでも動くたびに刺さった肋骨が動いて、1トンハンマーで殴られたような衝撃が来る。

足はとっくに両方折れて、右足はもう骨が見えてる。右手はとっくに感覚が消えて、歯は半分くらい吹き飛んでる。

右目は潰れてはないだろうけど、まぶたが腫れすぎて殆ど見えない。


「どうだ?さっきは俺に自信がどうのとか言ってたけど、今でもそう思う?喋るのもつらそうだけど、僕に生意気いったこと後悔した?あ、そもそも聞こえてる?」


耳はなんとか聞こえてる。けど口はほとんど使い物にならない。けどこれだけは聞いておかなくちゃならない。


「一つ聞かせろ。」


「おお、大丈夫か?無理して喋らなくていいんだぞ?」


「お前がさっき言ってたのはどういう意味だ?」


「ン?何がだ?」


「友達全員殺されて向かってきた時、とか言ってただろうが」


「ああ、言ってたね。なに、まだ意味わかってなかったの?」


「わからないから聞いてんだろ。はよ答えろ」


「お前の友達と妹と両親を殺したのが俺たちだってことだよ。」


心臓がひときわ大きく鼓動した。全身の血管に意識が通い、血流が感じ取れた。内蔵と肺がメキメキと音を立てて修復され、露出していた骨が隠れていく。右腕の感覚が戻ってきて、右目も光が指した。うん、何故か回復している。


「うーん、僕は持てる力をすべて使ったんだけど、君はそうしなかったのかな?」


いや、今初めて発動した能力なんだわ。使えるなら最初から使ってるよ。


「まあ良いや。つまり、ここからもっと戦えるわけだ。いくら回復できるとしても、一撃で殺せれば関係ないよね。」


そう言ってさっきより嬉しそうな顔で、火の矢を胸の前に9本、放射状に並べ始めた。


「これぐらい耐えろよ」


そう言って9本同時に撃ってきた。さっきの倉庫破壊攻撃レベルのを9本だ。けど、何故か避けなくても良い気がする。後ろは壁だし、躱しにくい。良いや。受けよう。


「わーお。いいね。自然体で受けてノーダメージか。すごいよ。そんな事してくるのは兄さんとギュスターヴくらいだよ。」


「そいつは光栄」


言うと同時に壁を蹴ってスタートする。広いストライドで勢いを稼いで、空中のアルミナントに向けて飛び上がる。放たれていた狼を振り切って、右手でアルミナントの足を掴む。そのまま体を引っ張り上げて、左手で襟首を掴んで、右手に血をためる。


「まずは一撃」


アルの表情を楽しみながら、顔面に全力パンチを喰らわせる。全力で腕を振りぬいたら、倉庫を5棟くらいぶち抜いて飛んでいった。


「あ、落ちる」


 まずい、アルミナントから離れたから、自由落下することになる。せめて速度を落とさなかったら、せっかく直した両足が砕けることになる。


「は?」


 なんかとてもふんわりと着地した。頭の中でイメージしただけなのに、全くの無傷で着地した。どうやらまた新しい能力に目覚めたらしい。

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