タイトルがやべえ
ええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!なんでチンパンジーが知らない惑星にやってきたのおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!まさにこれが猿の惑星ってか!!!!!!!!!!!!!!!!え!!!!!!!!!猿の惑星なのか!!!!!!!!!!!!!!
僕は開始早々絶叫していた。
というのも、さんざん僕の嫁であるところの真白さんがやってくるのではないか、というフリを延々として、もう自分でも嫌というほど延々として、よし、いよいよ真白さんがやってくるのかと思ったら、まさかまさかのチンパンジー。
というかチンパンジーってすごく久しぶりの登場じゃないか。たしか第二シーズンから登場していなかったんじゃないか?もう僕と真白さんが結婚してからなんて、もうチンパンジーの存在自体を忘れていた。なんだっけチンパンジーって。あの酢飯の上に具材をパラパラと混ぜたやつだっけ。
それはちらし寿司。
チンパンジーとちらし寿司、どちらも微妙に似ていそうで似ていないな。
「あの」
僕のそんな悩みにも気にしていないようで、チンパンジーは僕に話しかけてきた。
「なに」
やや不機嫌で返答する僕。
「ええ」
絶句するチンパンジー。
というか僕としては、チンパンジーとまともに会話しているこの状況がイマイチ理解できていない。
チンパンジーって言葉を話すんだっけ。
話すんかなあ。
「ねえ、チンパンジー」
「僕のことを種族名で呼ぶのやめてくれませんか。僕にもれっきとした名前があるんで」
チンパンジーは指でバツ印をつくりながら話す。
「正式名称を教えてくれませんか」
僕はチンパンジーにすごんでしまって、知らず知らずのうちに敬語になっていた。この惑星では人間よりもチンパンジーの方が位が高いのだ。
まあ、地球でのチンパンジーと人間の関係を正確には知らないので僕は何ともいえないが。
チンパンジーは自分の名前を話す時に、やはり誇らしく思うのだろう。胸を張って、自慢をするように自分の名前を僕に教えてくれた。
「チンパンジー・金久・大吾郎です」
「名前に種族名入るんだ……」
というか、この名前をどこかで聞いたことがあったような気がする。
「ねえ大吾郎」
「どうしたんですか」
「僕って君から名前を聞いたことあったっけ」
「たぶんないと思いますよ」
うーん、そうだったか。最近は記憶があいまいになってきてどこでどんな展開があったかを覚えていない。
「というか、」
僕はチンパンジーに聞きたいことがもっとあった。
「大吾郎って人の扱いなの?」
「そうですよ。地球60億年の歴史において話をするチンパンジーが人間の扱いを受けなかったことなんてありませんよ。大体が神扱いされていますよ。むしろ僕が人間と同じ扱いで甘んじていることに感謝するべきですよ」
確かに時代が時代ならば人の言葉を話すチンパンジーなんて神だと判断されてもなんらおかしくはない。ということは、僕はチンパンジー、もとい大吾郎を神と相応の扱いでもって接しなくてはいけないのか?
でも僕と大吾郎の初対面、コンビニエンスストアの店員とお客だしなあ。今更信仰化しろと言われてもなあ。
ということで僕は信仰化しないで接することにした。
「おいこらサル」
「扱い悪!」
どうやら大吾郎はツッコミもしっかりとできるようだった。というか僕がボケる状況があまりないので、これはこれでレアである。需要はないが。
「というわけで大吾郎」
僕は仕切り直す。
「僕はこれからどうしたらいいの?」
自分で考えることを放棄した、ただ同調することだけを良しとした自主性を持たない人間がその惑星にいたらしい。
「とりあえず開拓したらいいと思いますよ。今は空気も問題ない食事も水分も問題ないとはいっても、これがずっと続くわけではないじゃないですか。というわけで雨風とか凌げる建物とか野菜とか作るべきだと思いますよ」
うーん、相変わらずごもっともな意見だった。もうこれ僕が主人公やるよりも大吾郎がやったほうがいいんじゃないか。
野菜って言っても、種がないから作れないんじゃないの?と僕が質問をしようとしたが、野菜、の段階でどこからか数種類の種と種イモを投げつけられたので、僕は地べたに這いずり回りながらそれを1つ残らず拾った。
扱いが酷いな。
立場関係が明確になったシーンだった。
種だけあっても、耕す道具がないから無理じゃない?という僕の質問を大吾郎は待っていましたとでも言うような顔をした後に、地球から持ってきたという鍬とか鎌だとかをいろいろと僕に向かって投げつけた。
僕は鎌でグッサリとダメージを受けて、とめどなく血が溢れ出ていた。貧乏な町が公費で作った噴水よりは激しく血が吹きだしていた。
「ねえ」
僕は自分の血が目に入っていたかったので、極限まで目をつぶりながら大吾郎に話しかける。が、大吾郎は返事をしない。
「え?」
大吾郎が一切返事をしなかったので袖で目をこすってその景色を見た。僕はその異様な光景に驚いて、困惑していた。
ガリガリガリガリ、ガッガガッ。
大吾郎は一心不乱に惑星を耕していた。どうやらこの惑星は比較的地盤が固いようで、思うように鍬が入っていっていなかった。
いやいやそうじゃなくて。
人を怪我させておいて謝罪もケアも1つもなしなの?
えええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!
ビックリ大魔王Ⅱである。
僕の出血は留まることを知らない。今なお出続けている。
「大吾郎!」
なんだか眠たくなってきたので力をふりしぼって大吾郎を呼んだ。しかし大吾郎は一切反応しない。
ええ……。
なんだか本当に眠たくなってきた。そういえば最後に寝たのはいつだっただろうか。地球時間で言うならば数日間ぐらいは寝ていない気がする。
僕は体に力が入らなくなって膝をついた。
どうやら僕の血は予想よりも多く出ていたようで、膝に冷たい感覚が伝わってきた。僕は眠たい目を必死に開くと、ズボンに血が染みこんでいるのが確認できた。
膝だけでなく両手もついてしまった。
勢いよく手をついたので血がはねかえってくる。顔に血がついた。僕はそれを拭きとる力すらもなく、ただ顔の違和感が残ったままだった。
「ううう」
僕はゆっくりと体を地面につける。つけるというよりは体を起き上がらせたままでいることができなかったのだ。
ビチャッ!という音が耳の中で反響して何重にもなって聞こえる。
不思議と痛みはなかった。もう出血のことについても考えられなくなっていた。ただ、たしかに出ていたことだけは感覚的に理解できた。
僕は薄れゆく意識の中で、大吾郎に遺言を伝えようとした。
「真白さんによろしく言っておいてくれ」
正直どこまで話すことができたかは分からなかったが、しかし大吾郎には僕の言わんとしていることが伝わったようで、
「わかりましたよ」
という声が聞こえたような気がした。
僕はそっと目を閉じて睡眠をとることにした。体から噴水のように出ている血が顔にかかり続けていて、しかし不快感はなかった。
「ここは……」
僕が今度目を開けたとき、そこには自然で溢れた景色が広がっていた。
「超展開が過ぎるよ……」
物語はガチムードに入っていた。




