マウントは次世代を担う可能性の塊
「それで」
真白さんは僕の前に座って話し始めた。
膝の上に座っている状態である。
「とりあえず、この大事な書類はこの封筒の中に入っているんで、封筒の中の書類を全部読めば分かるんですけど、かいつまんで説明していきますね。」
そういって真白さんは左手に持っていた封筒を広げた。
僕との距離が短いので、出すのに手間取っている。
僕の膝から降りればいいのに。
「これです。」
封筒から抜き出した紙を僕に押し付ける真白さん。
「読み上げた方がいいですか?」
無言でうなずく僕。
「嫌です。」
「なんでですか、真白さん。」
「私は仕事があるので。」
「ごもっとも。」
「というわけで、この封筒をあげます。」
「はい。」
僕は真白さんから封筒を受け取った。
封筒の中をのぞく。
封筒の中にはヒモで綴られた書類が1つに、それとは別にサイズが異なる数種類の紙が入っていた。
僕はとりあえず、その分厚い書類を封筒から引き上げた。
その書類の表紙はチンパンジーだった。
またか。
ネクストシーズンに来たからファーストシーズンの話は大体リセットされただろうと思わせておいて、これですか。
ネクストシーズンから見始めようとしている人を殺すつもりですか。そんな初見殺しいりませんよ。
みんなが楽しく、どこからでも気軽に読めるような文書にするべきではないんですかね。
やれやれ。
叫びますかね。
恒例のチンパンジーの雄たけびをしますかね。
分からない人は、第20部の、ラストは大団円を読んでくださいね。
というより、僕が書いていて一番楽しかったのは第20部です。
やはり、コメディーっていうのは、あれくらい、くだらなくて、ばかばかしくて、記憶にも残らないような作品がコメディーって呼ばれるべきだと思うんですよね。
まあ、第20部を嫌いだと思う人も多いでしょうが。
僕は少しだけ読む人のことを考えながら書いているんですが、第20部だけは、本当に微塵も読む人のことを考えずに、自分が書きたい話をかきました。
間違えた。
間違って作者のコメントをはさんでしまった。
話を飛行機に戻そう。
さて、時間を少し置いたことだし、もう一度、表紙を見てみるか。
その書類の表紙はチンパンジーだった。
はあ。
もうため息しかでない。
そもそも、ファーストシーズンでチンパンジーは銃で撃たれて死んでますしね。二度も。
それなのに、こうやって懲りもせずにチンパンジーが出てくるっていうのは、もはや動物虐待の域に達してますよね。
まさか、本当に表紙がチンパンジーなんてことはないでしょう。
僕は書類の表紙をみた。
その書類の表紙はチンパンジーだった。
ふう。
せーの。
「ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!なんでここにもチンパンジーがでてくるんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!表紙をチンパンジーにする必然性がないだろおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!表紙を作ったのは誰だあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」
「お客様、大丈夫ですか!」
僕の叫び声を聞いたキャビンアテンダントさんが、僕に駆け寄ってきて話しかけた。
「あ、大丈夫です。すいません。」
しかも、そのキャビンアテンダントさんは真白さんではなかったので、僕が叫んだ理由を分かってくれないだろう。
僕はキャビンアテンダントさんに謝った。
あれ?
まてまて。
キャビンアテンダントさんの手が毛むくじゃらだぞ。
まじ?
なんだか獣臭い。
この顔を上げたら衝撃の展開にしかならない。
もう、わかりますよ。
はいはい。
どうせ、キャビンアテンダントさんがチンパンジーなんでしょ。
わかってますよ。
顔をあげるか。
よいしょ。
僕は顔を上げた。
キャビンアテンダントさんの顔を見る。
「ああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!キャビンアテンダントさんがチンパンジーじゃねえかああああああああ!!!!!!!!!!!なんでだよ!!!!!!!!!!!なんでなんだよ!!!!!!!!!!!!!そんなにチンパンジー要素必要かよおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!」
僕は叫んだ。
僕の横に座っていたエロおやじに向かって叫んだ。
エロおやじが叫んだ。
「俺に、、、、、、、言うなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!:
「うおああ!!!!!」
エロおやじは長ためシングル型だった。その代わりに声量が素晴らしい。とても40過ぎの年齢だとは思えない。
「ウ、」
キャビンアテンダントさんは何か言葉を発した。
「う?」
「ウホ、ウホウホウホウホウホウホウホウホウホ、ウホウホウホウホ、ウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホ!!!!!!!!!!!!!!!!!ウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホ私はゴリラですよウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホあんな下等生物と一緒にしないでくださいウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウホウッホオ!!!!!!!!!!!!!」
あ、
ゴリラだったのか。
たしかにチンパンジーはそんなに身長が高くないか。
しかも、一人称が私だったからメスゴリラか。
このゴリラの中では、チンパンジーはゴリラよりも下にランク付けされているのか。
……普通は逆じゃないのか。
めちゃくちゃキレられたし。
それにしても、
この飛行機はロクなキャビンアテンダントがいないな。
まともな人間がいない。
「やれやれだぜ。」
僕は思わず口に出してしまう。
「ウホ?」
「いや、なんでもないです。」
ゴリラが反応してしまったか。
「なんだい、にいちゃん。あのお姉ちゃんに続いてチンパンジーも口説いてるんかい。まったく、ほどほどにしたほうがいいぜい。」
横のエロおやじが何か言っているような気がしたが忘れた。
「ワタシハ、ゴリラ。チンパンジー、ジャナイ!!!」
切れたキャビンアテンダントのゴリラが、横のエロおやじをゴリラ殴りしていた。
ピチャッ
エロおやじの血が僕の手の平についた。
「まじかよ。」
僕は動物園でもテレビ番組でもなく、飛行機の中で、動物の恐ろしさを思い知らされた。
こわっ。
次回、ついに飛行機が着陸!!!!!!!!!!!!!!!!




