ホワイトワールド最終回
ジャスティスさん、今までのことを覚えていますか?
まず、あなたはビックリしたでしょう。
電車から降りたら、周りには砂漠しかなかったことを。とても駅前とは思えないような景色だったことを。とんだSF映画のワンシーンのような景色だったことを。
私が自転車に乗って来た時も、驚いたでしょう。
地平線から見えてくる私の姿を確認したとき、まさか私が自転車に乗っているとは思わなかったでしょう。
私が自転車であなたのところまでたどり着いた時、私は自転車を漕いで進んでくれ。と頼みました。
砂漠の中を自転車で移動するなんてことは初めてだったでしょうから、最初は私の言っていることが理解できなかったでしょう。
でも、あなたは漕ぎました。
確かに、初対面の私が言ったことを、あなたの祖父が紹介した私の発言を、簡単に否定するような気分にならなかった。と言ってしまえば、簡単なのでしょう。
でも、あなたは漕ぎました。私はこの時に安心したんです。だって、もしもあなたが断るような人だったならば、これからの全ての私が企画したプログラムは全て無駄になってしまいますから。
そして、あなたは炎天下の砂漠の中を自転車で漕ぎ続けました。
あれは、まぎれもない事実です。
ふふっ。いきなり事実と言われても、なんのことか分かりませんよね。
そして、あなたは砂漠から、ジャングルへと移動しても漕ぎ続けました。
ジャングルでは、さっきまでの砂漠とは違って、高い木や深い緑色の草があたりを覆ってましたね。突然の環境の変化、大変だったでしょう驚いたでしょう。
そして、ジャングルを進んでいる途中で休憩をしましたね。
言葉を話すチンパンジーがいましたね。
そのチンパンジーはサークルKサンクスで働いていました。
ああ、そういえば、私の下着を買ってきてくれたのもジャングルでしたね。上野公園に来た時には既に普通の服に戻っていましたけど。
もちろん、あれも事実です。
そして、次は氷山が四方を囲んでいる寒い場所に行きましたよね。
アザラシがかわいかったですね。
もちろん、私の方がかわいいんですけど。
なーんて。
ちょっと冗談を言いました。
その後は銃撃戦がひどい廃墟群に行きましたね。
いやあ、あそこは怪我せずに帰ってこられたので良かったですね。
あそこはあまり語ることはないんですけどね。
あそこは純粋な恐怖でしたからね。
まあ、チンパンジーのことは気にしないでおきましょう。
最後には助かりましたしね。
さて、
旅はここまででした。
あの砂漠で出会ったところから、上野公園でチンパンジーを投げ飛ばすまで、全ては事実です。
この世で起こっていることなのです。
この世で起こっていることの一部なのです。
ある地域では砂漠化が進み、人は砂漠の中で生活することを強いられています。
ある地域では土地開発が進み、品種改良された草木が異常繁殖をとげています。
ある地域では動物のクローンの研究が進み、植物と同じように動物も品種改良されるようになって、動物も言葉を話して、人間と同じように生活することができるようになりました。次第に動物は人の住む場所を占拠するようになり、人は隠れながら生活しています。
ある地域では地球の冷温化が進み、道路や住居が全て凍ってしまい、人が住めなくなりました。
ある地域では市民による銃撃戦が未だなお続いていて、その終わりのない戦いは死者を出し続けています。
いいですかジャスティスさん。
これがこの世の事実なのです。
目を背けないでください。
逃げないでください。
これが事実なのです。
私が教えられることはこれだけです。
ジャスティスさん。
こんな世の中ですが、好きになってくれますか?
私は微笑みながら、そう言いました。




