シャトレーゼ合衆国
「え?チンパンジーコーナー?」
動物園で動物が展示されている場所をコーナーっていうのはどうなのだろうか。三角コーナーみたいだ。
「そうです。チンパンジーコーナーがないのは、おかしいですね。」
「あー、そういえば、昔の上野動物園には有ったらしいんですけど、今はなんか他の場所にチンパンジーが集まっているような話を聞いたことがありますよ。」
「まさに、チンパンジーコーナーですね。」
「ちょっとよく分からない。」
「分からなかったかあ。」
「すいません。」
「いや、謝らなくてもいいんですよ。ジャスティスさんの知能に合わせたジョークを言えなかった私の方に責任がありますから。」
「煽るねえ。」
「それにしても、どうしましょうかね。チンパンジーがいないと伏線が回収できないんですよ。」
「そこまでチンパンジーの伏線って重要ですかね。」
「重要ですよ!最後にチンパンジーを回収して終わりですもん。このままだと終わらない物語ですよ。」
「あれ?」
「どうしたんですかジャスティスさん。」
「そういえば、確か真白さん、2章前ぐらいで「私に明日はない。」みたいなセリフを言ってませんでしたっけ?」
「ああ、あれは冗談ですよ。」
「冗談」
「ちゃんと“。”を付けなさい。」
「冗談。。」
「1個多いです。」
「冗談○」
「大きいです。」
「冗談゜」
「位置が高いです。」
「冗談.」
「小さすぎです。」
「冗談。」
「もうネタギレしたんですね。」
「じゃあ、はやく話の本筋に戻ってください。」
「脱線したのはジャスティスさんの方なのに。」
「うるせえ。」
「話の最後の方になると強気になる人なんなの。」
「それだけ親密な関係になったっていう話ですよ。」
「なるほど。」
「はやく話の本筋に戻れや。」
「舐めすぎ!」
僕達が軽口を話しながら歩いていると、ある壁にぶつかった。
「これは?」
僕は頭のぶつけた部分を手でなでながら言った。
目の前には白いものがあった。
「これは壁ですよ。ジャスティスさんは壁を見たことがないんですか。」
「ああ、壁。」
ただの壁だった。恥ずかしい。
「それで、これからどうしましょうか。」
「とりあえず、上野動物園も堪能したんで帰りましょうか。」
「そうですね。」
僕達は上野動物園を出た。
プラプラと歩き始まる。
「あ、野球してますよ。」
上野公園にある正岡子規記念球場では、野球のユニフォームを着た人達が野球をしていた。
「そうですね。」
僕達は野球場を通りすぎた。
野球場を過ぎると、水でビチャビチャになっている大きな噴水があった。
噴水は高く水を飛ばしていた。
掃除している人がいた。
チンパンジーだった。
はいはい。
これですか。
またですか。
叫びましょうかね。
絶叫しましょうかね。
……辞めようかな。
めっちゃ人いるし。
いままで人なんて1人もいなかったのに、ここはただの上野公園だから普通に人がいるし。
恥ずかしいね。
僕は大きく息をすった。
「あら。」
その清掃員もとい、チンパンジーは僕達を見つけてすぐに話しかけた。
「グッッ。」
僕は吸っていた息を吐きそこなって、空気が凝縮されたようなものが、喉から気持ち悪い音となって出てきた。
「ああ、チンパンジーさん。」
真白さんはチンパンジーと抱き合っている。
「いやあ、やっとこれで全ての伏線が回収できましたよ。やりましたねジャスティスさん。」
「僕は何もしてないんですけどね。」
「たしかにそうですね。」
「はい……。」
そこは否定してほしかった。
「あの、」
チンパンジーは喋りはじめた。
「どうしたんですか?」
「どこかで会ったことありましたっけ?」
真白さんは黙ってチンパンジーの両腕を掴んだ。
投げた。
エッ。
投げたんだけど。
チンパンジーは飛ぶ。
「おまえ、今までの話に登場していない、ただの喋るチンパンジーじゃねえかっよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
真白さんは投げると同時に叫ぶ。
チンパンジーは高々と揚がる。
四方八方からチンパンジーに向かって銃弾が飛ぶ。
デジャブ。
あと、喋るチンパンジーを“ただの”で片付けてしまう真白さんもどうかと思うが。
それよりも銃弾はどこから発射されているのか。
恐怖しかない。
「さて、」
真白さんは話し始めた。
「伏線も回収したことですし、終わりましょうか。」
「このお話。」




