シャウトする魂
まだ移動中という話の進まなさ。
はたして、僕は何時間自転車を漕ぎ続ければいいのだろうか。
僕は気が付いたらアザラシと並走していた。
「ええ。」
僕は思わず絶句した。
「どうしたんですか?」
真白さんは聞く。
「アザラシいますよ。アザラシ。」
僕はアザラシを指さしながら言う。
「かわいいですよね。アザラシ。」
アザラシは凄い速さで自転車に乗った僕と並走している。
「真白さん。」
「なんですか?」
「アザラシってこんなに速く陸の上を移動できませんよね。」
「そうですか?ジャスティスさんは本当のアザラシをみたことがあるんですか?まさか、本当のアザラシを見たことがないのに、そんなことを言ってるんじゃないですよね?」
「本物のアザラシじゃなくて本当のアザラシ?」
「ええ、本当のアザラシですよ。」
「ちなみに、本当のアザラシって普通のアザラシとどう違うんですか?」
「えっと……まず、足が8本あります。」
「その時点で既にアザラシじゃないですね。別の生き物ですよね。」
「赤色で、頭が大きいんですよ。」
「もしかして、それってタコじゃないですか。」
「そして、口からスミを吐くんですよ。」
「それって絶対タコですよね。」
「吸盤が付いているんですよ。」
「タコですよね。」
「たこ焼きとかに使うんですよ。」
「いや、もう自分でタコって言ってるじゃないですか。」
そのとき、僕は聞いたことのない低い声を聞いた。
「あの、もういいですか。」
僕は、その初めて聞いた声に、一切の聞き覚えがなかった。あたりを見渡してみても、人と思わしきものは誰もいなかった。
「え?誰?」
僕は不安を声に出す。
「僕ですよ。僕。下を向いてください。」
嫌な予感がした。そういえばさっき、僕と並走するアザラシのようなものを見た気がした。
そして、辺りを見渡してみても、人のようなものは無かった。あたりには氷山が広がるばかりだった。そもそも、こんな場所に人がいるとは、とうてい思えない。
下を向きたくないなあ。
……向くしかないか。
僕は天を見上げる。
空は、憎らしいばかりの快晴で、空の青さはどこまでも果てしなく清らかな青色で、雲でさえも憎らしいほどにキレイだった。
僕は覚悟を決めて、下を向いた。
下にいたのはチンパンジーだった。
え?
え?
僕はもう一度、天を見上げる。
さっきは憎たらしかった空の青さは、雲の白さは、一転して僕を励ましてくれているように見えた。
僕は空に勇気づけられて、もう一度下を見る。
下にいたのはチンパンジーだった。
どこかで見たことがあるチンパンジーだった。
え?
え?
「おまえジャングルのコンビニに居たチンパンジーじゃねええかあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!おまえ何でここにもいるんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!そして何でセブンイレブンの制服なんだよおおおおおお!!!!!!!!!!!!!サークルKサンクスじゃねえのかああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
僕は叫んだ。あの空に向かって叫んだ。あの雲に向かって叫んだ。
僕は自転車に乗りながら、左足でチンパンジーを思いっ切り蹴っ飛ばした。
チンパンジーは叫んだ。
「ウッキイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!!!!!ウッキウキウキウキキキキさすがに蹴るのはだめだろウキイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ウッキキキキウキキ本気で怪我するやつだから蹴るのはだめだろウキイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
真白さんは叫んだ。
「チンパンジーが喋ったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
そういえば、真白さんはコンビニに居なかったんだっけ。
続けて、真白さんは叫んだ。
「詳しくは次章で説明してくれええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ウッキウキウキウキキキキキキキキキキキキキキいいイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
真白さんの声量は素晴らしい。




