デフィニションに追われて
進まんですねえ。
あの、地獄のような砂漠はどこまで続くのかと思って自転車を漕いでいたら、いつのまにか草木に囲まれた場所にいた。
「あれ?」
おもわず声が漏れる。
「どうしたんですか?」
自転車の後ろにいる真白さんが僕に話しかける。
「いや、いつのまにか自然がいっぱいの場所になっていたので、つい驚いて。」
「でも、わりとそういうものですよ。」
そうなのか。
そもそも、砂漠に入った経験がないので、これが異常なのか、正常なのかの判断がつかない。砂漠界では、これが普通なのだろうか。
草木に囲まれて自転車を漕いでいると、木々のお蔭で、直射日光が当たることが少なくなったように感じる。風も良い感じに吹いていて、さっきよりは幾分楽になった。
「さて、」
真白さんは話す。
「少し休憩にしましょうか。あそこの道を曲がってください。」
僕は真白さんの指示どおりに道を曲がっていった。到着したところは、大きな滝がある場所だった。
「いいでしょう。ここ。私のお気に入りの場所なんですよ。」
確かに、この場所にいると疲れを忘れてしまうような気がした。話しかけられる前は、疲れという存在そのものを忘れていた。
「少し休んでから行きましょうか。」
そういって真白さんは滝の方へと向かっていった。
僕はそこにあった大き目の石に腰かける。辺りを見渡してみると、まるでジャングルのような、熱帯雨林のような光景が広がっていた。
本当にここは日本なのだろうか。
北海道、舐めたら痛い目をみる場所だ。おしっこを漏らしたことなんて、ほんの序の口にすぎなかったのだ。たった、おしっこを漏らしたぐらいで、まるで自分が地球で最も不幸であるかのような人だと思っていた自分が憎らしい。
少し、喉が渇いた。
座っていた石から立ち上がり、滝の方へと向かう。
滝の下にある水がたまるところには、滝の勢いとは変わって、静かな水面が広がっていた。と、思ったのだが、ある一か所が激しく水しぶきをあげている。
それは、もちろん滝から出てくる水しぶきではない。それは除いて考えている。
それとは別に、ジャバジャバと水が弾けている場所がある。その場所は、少しずつ移動していく。さっきまではうるさかった水面は、スンと静かになってしまい、一転して、今まで静かだった水面は、ソレの襲来によって、瞬く間に、一番うるさい水面へと豹変する。水面はソレから逃げることはできない。ソレは水面を無残にも切り裂いていく。その長い刃で切り裂いていく。水面は無抵抗にも引き裂かれていく。
水面はソレから逃げることはできない。
ソレとはなにであるか。
簡単である。
真白さんである。
ジャバジャバと泳いでいる。クロールでジャバジャバと進んでいく。
元気だなあ。
「あれ?どうしたんですかジャスティスさん。」
真白さんは僕に気づいたようで、泳ぐのを辞めて、浮きながら僕に話しかける。
「いや、だって」
「あ!待ってください!」
真白さんは喋りはじめた僕の言葉を遮るようにする。
「どうしたんですか?」
「ここからは次章にしましょう。」
真白さんは章を跨ぐのが大好きである。




