第2話 トレイル商会長
あの異世界転生疑惑が出てから数時間。
ボクは順調に野垂れ死にそうになっていた。
「お腹…空いた…。」
ボクは地面に大の字で転がって、そう呟いた。
そういえば今まで何も喋ってなかったね。異世界転生?転移かもしれないけど。
まあ、転生の方が何となく言いやすいからこれからもそっちで言ってこっと。
ってか転生して最初の言葉がコレだなんて…
アッハ、笑えるね。どっかで話の種にしよ。
…くだらないこと考えてるけど、お腹空いてんのは埋まらないんだよぉぉ!
ついでにさらにお腹すくんだよぉ。頭使うからね。
ガキンッ ガルゥッッ!
ん? なんか音がする。
これは…どこだろう?
んーと、前の方? でちょっとだけ右側かな?
ボクはギュルルと鳴るお腹の虫と格闘しながら起きてそちらに向かった。
金属音となんかの生き物…ここら辺にいるのはみんな変なやつだし、異世界あるあるの魔物と命名しよう。
その魔物の唸り声が聞こえてきた。
いやー、ほぼ読んでない異世界の知識でも役に立つんだね!
まぁボクが知ってるのは勇者と魔王、聖女、賢者とかそこら辺の有名なやつしか知らんけど。
ボクは音の元にひっそり(?)と向かうと…
「お嬢様には近づけさせません! 」
「ガルルゥ! 」
なんか人間の男とウルフもどきの魔物が戦っていた。
近くには馬車があるから、たぶんそこにお嬢様とやらがいるんじゃないかな。
あれなら楽勝だし…ほいっと。
グシャッ
うん。言葉と音が合ってないね。
「誰か助けてくれたのですか!? 」
男が叫んでいる。まあ、石を投げてウルフもどきを殺したしね。
ま、いっか。姿隠す必要とかないし。
「ボクだよ〜。」
「え?」
「だ、か、らー。ボクだってば〜。」
「これは失礼いたしました。あまりにも不審…いえ、珍妙な服だったもので。」
おぉん? 今、不審者って言おうとしてなかった? おん?
「誰かにお助けいただいたのですか?」
「はい、お嬢様。こちらの不審…珍妙な方に。」
おぉん? またなんか言ってなかったか???
お嬢様らしき人が馬車から顔を出して男と話し合っていた。
「まあ。お助けいただきありがとうございます。」
「いえいえ。」
こちらの方は上品で良い子だな。どこかの男とは違って。
「お礼は何が良いかしら? 」
「今は食料が欲しいかも。です? 」
お嬢様だし貴族とか?ま、敬語にしといて損はないね。
「クスクス。まあ、そんなことでよろしいの? では、食料と我が商会の買い物が少し安くなる証明書もお付けしますね? その代わりご贔屓に。」
まさかの商会の方だった。
「ちなみにお名前は何というの? 」
えーっと、そう言えばボクって名前なんだろ?
「ワタシは道化師がひとり。ま、特に名前はないので道化師とか適当に何か呼んでください。はい。」
「分かりましたわ。道化さんですわね。私はメルセデス・アストラーダ。トレイル商会の商会長です。」
へ? なんか口が勝手に喋ったぁ!? ってかピエロじゃなくて道化師だった。
あんま意味変わらないけど!
ワタシってあんま似合わないなぁ。ボクに変えれないのかな?
「では、これを。」
メルセデスさん…いいや、メルっちで。
メルっちになんか証明書もらった。早。いつも持ってるものなん?それ。
「商会長だったなんてね〜。メルっち。いや、メルセデスさーー」
「無礼だぞ! 」
「黙っててね〜。さっきからボクを不審者呼ばわりしかけているキミは。」
「ぐっ! ですが、この者はこの格好でーー」
「それはあなたも悪いわね。」
ん? さりげなくボクも貶した?
ーーー
「いやぁ、食料ありがと〜。助かったよ〜。」
「いえ。こちらこそ助けてもらってありがとうございます。」
ボクを貶したことは忘れてないけど、こうして食料くれるならいっか。
「またいつかね〜。」
「ええ。また。」
そうしてボクはメルっち達と別れた。
桂鐘です!
第2話を読んでくださりありがとうございまし!
メルセデスちゃんの名前を考えるのに苦戦しました…。
あ、10/18? からこの『道化ちゃん』が始まったので、おまけ書きました!
『転生辰戦記』とのコラボです。
『転生辰戦記』読んでない人は飛ばしてください。
『転生辰戦記』側にもおまけ出てます。
〜おまけ〜
道化「いよーっす。どもども、道化ちゃんです! 先輩! 」
男 「おう、初めまして。俺の方が2ヶ月先輩だな。」
道化「ですけど読んでみたらなんか…体動かせないって可哀想。」
男 「そんなしみじみ言うな〜!? 」
道化「アッハ! 冗談。そっちも楽しそうだね! 」
男 「いや、楽しそうってのもなんなんだが…。」
道化「ま、先輩あの子、トカゲちゃん? に嫌われてそう。」
男 「…泣くぞ!? 」




