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失われた宝石  作者: 田貫うどん
第九章
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妖月 その1

どこかで遠吠えが聞こえる。

村の夜は深く、太陽が覗き込むまで足元を照らす物は手に持つカンテラのみ。

道は細く広大な畑にある看板を見失わなければ迷うことはない。

ただ夜に出歩こうとしない方がいい、ここには多数の動物たちが夜な夜な畑の野菜などを求めやってくる。

それを知らない旅人は先を急ごうとし襲われてしまう事が多い。

遠吠えは何かを知らせる合図、人の肉を仲間で貪る為の合図なのかもしれない。



エモ達はブルーランド(前回の港町の名前)でルリ姫と別れ、暫しの休息と情報収集をした後に美術館を目指し旅立った。

美術館には探し求める宝石の欠片が展示してあるという。

その美術館はここからそれ程遠くない場所にある事が分かり、とりあえず中継地点の村へ行くことにした。

村は高い山に囲まれていて、畑が多い。

ここを通らなければ次の町へは行けないので宿も多い。

それに名物品も多くありそれ目当ての旅行者もくるという。

村には似つかわしくない聖堂があり、神聖な雰囲気を醸し出している。

教会関係者もこの聖堂の歴史を学びにくる。

それ程古くはないのだが、色々と学ぶことはあるらしい。



レンシー(以下:レ)「その村には私が昔お世話になった司祭がいるんです。挨拶がてら情報を聞いてみましょう」


ヒュドラ(以下:ヒュ)「何か名物は無いのかねレンシー君」


レ「パンがおいしいですよ。小麦の名産地ですからね」


二アス(以下:二)「わーいパン大好き」


ヒュ「特にカニパン」


カニ「!!??」


二「このカニは食べちゃダメだよ」


ヒュ「冗談だよ」


エモ(以下:エ)「まだ歩くのか。山道険しいな」


村への回り道はあるもののかなりの遠回りになってしまう。

山道を避けようとするなら森の中を突っ切るしかなく健常な頭ならこの選択はしないだろう。


レ「この道しかないですからね。遠回りするよりはいいでしょ」


エ「その遠回りにも意味はあるかもしれないでしょ、急いでるわけじゃないし」


確かに言われてみればそうだが、遠回りしたところで中継地点となる町や村はなく本当の遠回りなのだ。

分岐点はあり他の町へ行くには使うのだが、一般的には山道を選ぶのが正しい。


エ「それにしてもニアスは元気だな。良く寝てるからか?」


ヒュ「そうじゃないらしい」


ここ最近村の周辺では狼による被害が増えているという。

それによりこの村を訪れる旅人は少なくなってきているらしい。

名産である小麦や野菜のおかげでなんとか生活は出来ているが、今後も旅人が少なる事を懸念している。

見事な小麦畑と村には似合わない聖堂目当てに来る旅人は貴重な収入源なのだ。

村人はこの狼たちをどうにかしたいのだが、駆除という選択肢は存在しなかった。

狼を恐れる村人はどこにもいない、何故なら昔から狼と共に生きてきたからだ。

小麦を狙う小動物を獲ってくれる狼は友であり、ある意味尊敬できる仲間なのである。

狼は村人を襲うことは決してない、襲われるのは決まって旅人なのだ。

そしてまた遠吠えが聞こえる。


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