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失われた宝石  作者: 田貫うどん
第九章
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妖月 その2

エ「やっと着いた」


日が落ちはじめ虫の鳴き声がそこら中から聞こえてくる。

家々からは良いにおいがしてきて腹の虫も鳴った。


レ「目的の場所はこの先です、もうちょっと頑張りましょう」


レンシーの指差す先は聖堂を指していた。

それをみたヒュドラもニアスも嫌な顔をしている。

村に着いたもののまだ歩かねばならないし、今近くにある店からは魅惑の香りが漂ってくる。


レ「まずは教会に行くのが鉄則でしょ」


ヒュ「鉄則だが、疲れを癒してからでないとその鉄則なんて無意味だ。俺はここで飯を食う」


レ「その前に宿探しも必要でしょう。教会兼聖堂なら二つ得る事ができますし、遅くなり過ぎると迷惑が掛かります」


ヒュ「あ?教会は宿屋で飯屋か?」


レ「違いますけど」


ヒュ「どうせ今から行ったって飯食う為に働かされるんだぜ。そんなの嫌だよな?」


エモとニアスの無言の重圧。

だからといって怯むレンシーではない。


レ「それは決まったわけではありません。さ、行きますよ。時間が惜しいですから」


ため息をつくヒュドラ、こうなってしまったら意地でも聖堂まで行かなければ気が済まないのだろう。

一人だけ聖堂まで行かせるわけにはいかない(前科あり。詳しくは第七章の真ん中あたりを参照を)ので仕方なくついていくことにした。

ぶーたれているエモとニアスも渋々従った。

聖堂へ続く道は夕方になっても人の姿があり、どの顔も今は表情を読み取ることは出来ないが神聖なる真面目な顔をしていたようだ。

人が少なくなったと聞いていたがそれほど心配することでもないのだろうか。


程なくしたどり着くと目の前の聖堂の装飾やら何かで刻まれた文字やらを見て感嘆する。

どのようにして出来たものなのか、巨大な岩をくり抜かれたような佇まい、荘厳で信仰心が無い人でも何かしらの衝撃があるだろう。

それはさておき、レンシーは開かれた扉から入り机で作業している司祭を見つけると声をかけた。


レ「お久しぶりです」


司祭「ん?どなたかね?おお、レンシーか。久しいな」


レ「ええ、ご無沙汰してます」


司祭「どうしたんだこんな辺鄙な場所まできて」


ヒュ「とりあえず飯と寝る場所を」


レ「それは後です。実は旅をしてまして・・・」


レンシー達はこの世界の太陽が沈まなくなる異常事態についてや旅の目的、探している宝石について話した。

興味深く聞く司祭は頷く。


司祭「太陽が沈まなくなっているって話は聞いてるよ。実際見たわけじゃないんだがね。

各地の司祭たちが解決策を模索しているってことも聞いてる、この辺鄙な場所の聖堂を管理できるのは私くらいしかいないからね離れられないのさ。

それで君たちがどうにかしようとしてるのか。成程成程。

あの頃のレンシーからは考えられない成長っぷりだな」


レ「私も大人になったんですよ」


ヒュ「本当かよ」


ヒュドラのツッコミに対してレンシーは無言で棍棒を掴んだ。


ヒュ「ほ、ほら、そういう所がまだ子供だってばよ」


司祭「はは、仲がいいな」


エ「宝石について何か知りませんか?」


司祭「そうだな、昔話としては知っているが本当に存在するのか定かではないな。

たまに旅人が宝石さえあればなと冗談交じりに話すんだけどね、まぁ聞くだけで実際には見た事はないな。

もしそんな物があるのなら一度は見てみたいものだよ」


レ「私も最初は当てもない旅に出るなら探してみようと思っていたんですけど、それらしい宝石を見つけました」


司祭「本当か?」


半信半疑の司祭、そりゃそうだ絵本の中の昔話の伝説である宝石など誰も存在など信じてはいない。

エモたちの目的地である美術館に飾られていると周知されてはいるが、それが本物であるかなんて誰にもわかるわけがない。


二「見せてあげれば?」


レ「そうですね、エモお願いします」


エモは服の中から袋を取り出す。

袋はレンシー並みのでかい袋である(通称:給食袋 ナプキンや箸やフォークを入れる為の袋である 詳しくは「第一章 扉の外」を参照を)


その袋から宝石の欠片を取り出し司祭に見せた。


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