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失われた宝石  作者: 田貫うどん
第八章
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DIAMOND LUST(第八章完結)

あの時感じた既視感、それは間違いではなかった。

それにしても変わってしまうものは沢山あると感じる。

ずっと同じわけはなく、時間が経てばどんなものでも変わり果ててしまう。

それは物であれ人であれ、この世界であれ。

悪い意味ではなく良い意味なら問題はないのだけども、あまりに変わりすぎて分からなくなるのは無常と言える。


レンシー(以下:レ)「すべては繋がりました」


レンシーと話している男は以前会ったことのある人だった。

簡単に説明すると、第六章で出会った執事である。


男改め執事(以下:執事)「やっとこの場所を突き止めましてね、襲われた事を知った時はそれは驚きましたよ」


このホテルは執事が世話するルリ姫の一族が経営していて、姫が宿泊しているという情報を頼りに迎えにきたのだ。

というのもルリ姫が失踪したという事実は大っぴらに出来るはずもなく、従業員でさえ失踪については知らない。

どんな些細な事でもいいから報告しろと経営ホテルには伝わっていた。

今回宿泊ホテルでは執事の指示により安全の確保を最優先とし、姫と確認するため接触し本人だと判断したのだ。

少女改めルリ姫がエモの寝ている間に部屋に入っていったのはその為である。

マネージャーと言っていたが話を合わせエモを心配させないようにした執事の配慮であったがエモは逆に神経をとがらせる結果となった。

本人確定の後のホテルでは犯人を捕まえるべく行動を開始すると共に、警護を増員させた。

ルリ姫が安全と言ったのはこの事に対してである。

ちなみにこのホテルが経営ホテルだと知らずに宿泊していたルリ姫であるが、知っていたら別の所へ泊まっていただろう。

家を出てまで有名人になりたいと思っていたのだ、知られれば連れ帰されるに決まっている。

だが今回の件で姫自信襲われる危険を孕んでいると知ったので勝手な行動は慎むだろう、おそらくは。

執事は最初は心配していたが、これほどこの町で有名になっていたのを知るとまんざらでもない顔をしていた。


レ「エモとニアスはこの事知りませんよね?」


執事「姫様が話していなければ」


レ「ちょっと行ってきます、話を聞けば安心するでしょう」


早速飲み物片手にエモ達がいる部屋へ向かい事の顛末をエモに話す。

呆然としていたエモだったが、しばらくして力が抜けたようにベッドへ倒れ込んだ。


エ「少し寝させて」


レ「今日はゆっくりしましょうか」


レンシーも多少なりとも気が張っていたが安心すれば気はゆるむものだ。

それにしてもニアスは寝ているようだが・・・まさかずっと?

まぁいいのだけども緊張感の無さはどうしたものか、いやそれは時と場合により何よりも大切であり、休息をいつでも取れると言うことはそれだけ体力の消耗が少なくて済み、いざと言う時に最大限の力を発揮できるというものである。

羨ましくもあり、危うさもある。

気を配らなければいけない時に集中するよりも眠気がきてしまうだろう。

もし、今襲われたら非常に危うい。


どうでもいいことだが、このようなレンシーの思いは杞憂であることを知らない。

ニアスの本能が危険を察知し自らとその周辺の事象は回避できるのである。

だが前章のような、相手が近しい人を模した場合には避けられない事もある。


二「もう食べられないよ・・・」


エ「ずっと寝てるよニアスは・・・」


レ「はは・・・」



そろそろ夜が明ける。

ここから遠くない場所では夜がなくなり、いつも太陽に照らされ続けている。

忘れたわけではない、当たり前の出来事が無くなるはずがないと未だに否定しているのだ。

エモ達は体感してないからどれ程深刻なのかは分からない。

しかし、実際に夜はその姿を変え、人々を襲っているのである。

もしかしたら一過性のものであるかもしれない、まだそう決まったわけではない。

不確かかも知れないが近い将来深刻な問題になるだろう。

今、レンシーの心の中に葛藤が生まれていた。

使命は大事だ、未来の為に何かしなければいけないのは教会従事者である司祭として当然のこと、ただ引っ掛かる事が出来てしまったのだ。

出来る限りの手は尽くそう、それがいつになるかは分からないけども。



執事「それでは皆さんお世話になりました。ささ、姫様からも一言を」


ルリ姫(以下:ルリ)「私の為にありがとうございました」


レ「無事でなにより」


ルリ「もうちょっと遊びたかったけど、怖い世界でした、一人で行動するのは控えようと思います」


ヒュ「本当かよ。おい執事さん、その娘を縄で逃げないようにしておけよ」


執事「私にはそういった趣味は」


ヒュドラはちらとレンシーを見た。


レ「何見てるんですか?私にも無いですよ」


ヒュ「何も言ってませんけど」


ルリ「お世話になりました。あ、お礼がまだでしたね」


チュッ、とエモにキスをした。

マジか!とヒュドラは悔しそうに唇を噛みしめ、他は皆驚いていた。


エ「えっ・・・」


ルリ「ありがたく受け取ってくださいな(* ̄ー ̄*)」


執事「姫様はしたないですぞ」


エ「悪い気はしないかな」


レ「これで丸く収まったということで」


執事「ええ、皆様ありがとうございました。これは私から。道中に召し上がってください。それとこれも」


執事から心ばかりの役立ちそうなアイテムと大量の簡易食料を貰った。

結構お高そうなものもあり持ち切れるか心配になるほどに。


執事「品物でしかお礼ができない無礼をお許しください」


ルリ「それでは帰りますね。ごきげんよう」


レ「お気を付けて」


執事は一礼するとルリ姫の後に続いて歩き出した。

後ろ姿を見送るエモ達。

昇り始めた日を見ていると、また始まる果てない旅の続きも苦痛に感じない。

辛い中でも喜びや楽しみは忘れないでいようと思うのだ。


エ「ねぇ、ちょっと、ねぇ」


ヒュ「どうした?」


エ「ちょっと、体が、変なんだけ・・・・ゲロリ」


苦しそうな顔から一転し、あっという間にエモはカエルになってしまった。

何だこれ、なんでカエルになるんだ?


レ「・・・」


ヒュ「・・・」


エ「ゲロゲロ」


どうすることも出来ないヒュドラ達であった。

目の前のカエルはヒュドラの靴の上に飛び乗っている。


ヒュ「えーと、確か姿を変える魔法があったはずだな、それをかけられたんだ。すぐ戻るだろうよ」


レ「どこでその魔法かけられたんですかね?」


ヒュ「あの娘しかいないだろ?現に執事から貰ったアイテムの間にあった紙に修得している魔法が書かれてるぞ」


レ「・・・なんていうか、凄いですね、変な意味で」


ヒュ「ああ、もう係わりたくないな」


ため息をついてしばらくするとニアスが階段を降りてきた。


二アス(以下:二)「お!いた!何やってたの?」


レ「今まで寝てたんですか?」


二「うん、起きたら誰もいなくて探しにきた」


ヒュ「お気楽でいいなニアスは」


二「うーん、その様子だと何か問題でもあった?」


ヒュ「問題は片付いたんだがな、新たな問題が発生した」


レ「大した問題じゃないですよ。しばらくすれば解決しますし」


二「そうなんだ。よく寝たらお腹すいちゃったな」


レ「もう朝ですもんね。私たちはちょっと疲れてますが朝食にしますか」


ニアスの笑顔と靴に張り付いているエモガエル、複雑な気分である。

それはともかく目の前の問題が一つ片付いたので腹が減ったのは確かだ。


二「ネコちゃんもお腹すいたの?あ、カエルがいる。あれをご飯にしよう!行け!」


状況を理解してないニアスがカエルの姿にされたエモを食わせようとネコをけしかけようとした。

ネコは雑食だがカエルを食べる姿は想像したくはない・・・というかそのカエルはエモなんだぜ?


レ「あ!待ってください!それエモですよ!」


二「ん?何それ。行け!」


ヒュ「微笑ましい光景だ」


ヒュドラはエモガエルを拾い上げると掛かっていた魔法の解除を始めた。


そして、一時騒いだ人達もいつもと同じ生活に戻り過ごしている。

たまには楽しいことや悲しいことが起きるし、何も変わらない事なんてどこにもない。

遠くない未来、ここも夜の来ない町になってしまうのだろうか。

殆どの人は無関心で、近くまで忍び寄っても気づきはしない。

気づいた時にはもう遅くて、それでも何かにすがろうと手を伸ばす。

誰かがやってくれる、何とかしてくれると。

いつか、その誰かってやつは自分にしかできないのだと足踏みしていた自分を後悔するだろう。

それでもいいかもしれない、なるように身を任せることは楽だから。

でも後悔だけはしたくないから、無駄かもしれないが出来る事はやろうと思う。

無謀はのは始めから知っていた、旅立ちの理由もとても曖昧だった。

今は仲間と片鱗を手にしてから確信へと変わっていった。



エモガエル「・・・ゲロゲロ・・・(早く元に戻してー!)」


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