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ダイエットスタート






 ダイエットで必要なものは忍耐だ。焦らない、無理な挑戦をしない事が重要である。

 というのも、人の身体は繊細でありながら危険にも敏感なのだ。急激な減量に反応して逆に栄養を摂取しなくてはと働きかけてくる。そう、これがリバウンドに繋がる。


 だから、月に落としても良い体重は体重の数パーセントだ。現在の体重が70キロ、70キロ!?なのを考えれば一月に3.5キロくらいが目安だろう。あくまで理想値であはあるが。

 一ヶ月10キロ痩せる!何てキャッチフレーズに騙されてはいけない。もしそれだけの減量が出来たとしても体調不良を招く原因になることだろう。


 何にせよカロリー消費を考えるのなら運動は不可欠だ。絶食なら話は早い?無理なダイエットは(以下略。

 という事で私は今プールに来ている。民間のではなく敷地内に建てられた温水プールである。お金持ち様々だ。お父様大好き!


 ついでにお願いした事も叶えて貰えそうだし、もつべきものは金ぇ、権力ぅ、なのだ。


 最初にプールを選んだのは簡単な理由だ、地上より水中の方が掛かる負担は少ない。

 尤も今の状態で泳いだりしたら溺れているようにしか見えないだろうから水中での歩行からスタートだ。ビート板のような浮き輪が無ければ、怖くて泳げない。身体に浮き輪が備え付けられてるから大丈夫だって?浮くのと泳ぐのは別物ですよ。



「お嬢様その調子です。」



 インストラクターに手を引かれ水中ウォーキング。高校生にもなって一人プールで遊べないって本当ですか?マジです。まあ、気にする程ではない。場所を提供して貰えるだけ有難いのだ。


 温水で華麗に泳ぐ(歩く)海豚の姿を見よ!


 歩き疲れたらサウナで一休み。汗も流せて一石二鳥だ。蒸し豚とか言った人誰ですか、お父様の力を借りればシベリア送りも不可能ではないですよ。うん、圧政だね。


 休憩を挟んだら地上でウォーキングだ。何をするにも敷地内で完結するのは楽でいい。綺麗な庭を見ながら散歩も悪くない。但し日傘は忘れずに。




***




 藤嶺雄真には妹がいる。それは目に入れば苛立ちを覚えるような存在だ。

 昔はそうではなかった。母がいて、父がいて、そうして生まれた妹。幼い妹の姿を見た時、守るべき存在だと思った。そう心に誓っていた筈だった。


 しかし、今はそうではない。


 母が先立ち全ての歯車が狂い出したように感じた。父は当時母親の面影が多くあった妹に執着し始めた。母親譲りの容姿、美しい銀髪に瞳、声、妹の願いを父は全て叶えようとした。


 その点から言えば妹は被害者なのかもしれない。確固たる人格が形成されるより前に甘い夢の様な力を与えられ続けたのだから。

 だからだろうか、今の肥えた妹の姿を見ていると怒りが湧いてくるのは。それは父に対する怒り、妹を通して父を重ねている。


 ただ、割り切れていないだけで。



「調子が悪そうだ、大丈夫かい?」


「・・・いつもの事だ。気にする程の事じゃない。」



 友人、天藤陽介が心配そうに此方に声をかけた。彼の容姿を王子様だと皆が口を揃えて言う。確かに怒った顔など見たことは無いし、物腰はいつだって柔らかい。金髪もそのルックスの良さから何ら浮いていない。

 

 ただ、一つ思う事があるとするなら。



「・・・陽介は今のままでいいのか。」


「それは、汐音の事かい?」


「ああ。」



 こいつは藤嶺汐音の『許嫁』だ、その約束自体は親同士のもの。表立って公言されている訳ではないが、二人のその付き合い方を見れば明らかに"それ"だと分かるものだ。

 家同士の格も何ら劣るものでは無い。ただ一点容姿という要素に目を瞑ればだが。



「どうだろう。気にした事が無いと言えば嘘になるけれど、それを理由に保護にするつもりは無いよ。」



 それは恋心何てものは無いと暗に言っているようだった。何処までも甘い王子様だ。



「お前が望めば許嫁何て約束はどうとでもしてやれる。」


「その気持ちだけ今は受け取っておくよ。」



(本当に好きな人が見つかったらその時は。)



 この何処までも甘い友人の為に藤嶺雄真は父にすら立ち向かうだろう。




***



 この世界は元々乙女ゲームの世界である。今は現実世界となっているが。

 藤嶺汐音に異物混入しなければこの二人との関係性はこのまま原作開始まで平行線だっただろう。攻略対象の二人である。


 藤嶺雄真は父及び妹という存在に大きな悩みを持ち続け、天藤陽介は恋を知らずに成長する。

 そして、藤嶺汐音が高校二年生になった時、ヒロインが転入という形で入学するのだ。因みに二年生への編入は年下の攻略キャラを出したいが為である。





その頃のお嬢様

(プール楽しい!アイスうま!)


アイス食ってんじゃねぇ!

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