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第36話 宵闇ユラからの重要なおしらせ⑥ 教育委員会の研修会、殴り込みに行きます!

 宵闇ユラ、配信開始の時間。

 待機画面が切り替わる。


 3Dの宵闇ユラが深々と頭を下げた。

「皆さま、本日は大切なお知らせがございますわ」


《きた》

《重要なおしらせ》

《なんだなんだ》


 ユラは一度息を吸う。


「この度、ワテクシは…」

「教育委員会主催の不登校支援研修会に、参加させていただくことになりました!」


 一瞬、コメントが止まる。


《……!》

《!!》

《!!!》

《マジか!?》

《教育委員会!?》

《か、カチコミじゃあ〜!!》


 ユラは苦笑した。

「殴り込みではありませんわ」

「…たぶん」


《たぶんwww》

《怪しくなってきた》


「今回の研修会では、校長先生が、学校として私をどのように支援したのかを説明してくださいます」

「そしてワテクシは、研修会限定でライブ配信を行います」


《配信まで!?》

《先生方の前で!?》

《心臓もつ?》


「参加されるのは、各学校の校長先生、教頭先生、不登校支援担当の先生方、教育委員会の皆さまです」

「正直申しまして……」

 ユラは胸に手を当てる。

「むちゃくちゃ緊張しております」


《がんばれ》

《応援してる》

《ユラ殿ならいける》


「でも…実際に配信を体験していただける、またとない機会でもあります」

「普段どのように学習しているのか」

「eラーニングをどう使っているのか」

「実技や発表を、どう配信で行っているのか」

「全部、お見せするつもりですわ」


 コメント欄は静かだった。

 誰も茶化さない。

 皆、続きを待っている。


 ユラは少しだけ視線を落とした。

「それだけではありません」

「不登校になってから、教育支援センターや学校と、もう一度つながれるようになるまで」

「あのとき、何が苦しかったのか」

「何があればもっと早く学校とつながれたのか」

「それも、率直にお話したいと思っています」


静寂。


「ですから…ワテクシは…」

少し笑って首を振る。

「…いえ、ワテクシの中の人は」

「伝えたいのは、『Vtuberをやりましょう』ではありません」

「私みたいな子がいたら、その子に合う学びの方法を、一緒に探してください」

「それだけなんです」


コメントがゆっくり流れる。


《それだ》

《泣いた》

《その一言だよ》


ユラは続ける。

「それに…」

「そもそも、国が『条件を満たせば、学校外の学習も出席扱いにできる』って通知出していたなんて」

「誰も教えてくれませんでした」


少し間があく。


「…思い返したら」

 ユラの眉がぴくりと動く。

「腹が立ってきましたわ」


《ゴクッ……》

《……》


 その瞬間。

 配信BGMが、どこかで聞いたことのある仁義のない任侠映画風の重低音へ切り替わる。

 ダンダン……

 チャ〜チャララララ〜♪……


《こ、このテーマは!?》

《まさか!?》

《始まる!?》


 ユラの目つきが変わる。

「教育委員会に、この学びを…認めさせたるッ!!」


《wwwww》

《きたぁぁぁ!!》


「先生方がッ!」

「口を開けば!」

「前例が…」

「評価が難しいので…」

「今までやったことがないので…」


「……だァ?」

 ユラの声が少し低くなる。

「こっちはなァ!」

「前例がない方法でも!」

「ちゃんと勉強しとるんじゃあ!!」


《うおおおおお!!》

《ユラ殿www》

《鉄砲玉じゃあ!!》


「国の通知にも書いてあるだろうがッ!」

「学校外の学習も!」

「ちゃんと評価しろってなァ!!」


《ユラ殿おおお!!》

《いけぇぇぇ!!》

《よく言ってくれた!!》


 数秒経過。


 沈黙。


 ユラは咳払いした。

「…ごほん」

「ご、ごめんなさい」

「ワテクシとしたことが」

「少々、本音が漏れてしまいましたわ」


 コメント欄が、ツッコミで埋まる。


《少々?》

《全部本音www》

《最高でした》


 ユラは照れ笑いを浮かべる。

「えー…気を取り直しまして」

「これは、ワテクシの活動と学校の支援を、前例として市全体へ広げるための戦いです」

「私一人のためではありません」


「もちろん、一回の研修会で世の中が変わるとは思っておりません」

「でも、一人の先生が『やってみよう』と思ってくだされば」

「その一歩が、次の子の前例になるかもしれません」

「これから先、私みたいな子が現れたとき」

「こういう前例があるからできるよ」

「そう言ってもらえるようにするための戦いです」

「先生方に、私の学びを理解していただけるよう、精いっぱい頑張ってまいります」


「それでは、研修会イベント攻略、開始ですわ!」

 ユラは深々と一礼した。


 画面いっぱいにコメントが流れ始めた。


《先生方を沼らせてこい!!》

《実践を見せつけろ!!》

《イベント成功祈願!!》

《その学び、届け!!》

《先生方の価値観アップデートしてこい!!》

《応援してる!!》



〈ステータス〉

_________________________________


名前:不登校子ふとう・きょうこ

状態:不登校(オンラインによる学校接続開始)


【五教科】

 英語 Lv.中2 ■■□□□□

 数学 Lv.中2 ■■■□□□

 国語 Lv.中2 ■□□□□□

 理科 Lv.中2 ■■■□□□□

 社会 Lv.中2 ■■□□□□

経験値:△取得可能

※経験値反映には学校の確認が必要

 派生クエスト

☑オンライン授業へ参加する


【副教科】

 音楽 / 美術 / 技術・家庭 / 保健・体育

※学習活動として接続可能性あり

※学校確認・評価対象化は未達成


【総合的な学習】

探究テーマ案:VTuber活動を通して、不登校でも継続できる学びの形を探究する

※学校との協議中


【スキル】

① 保護者と学校の連携

Lv2 進行中

→学校協議フェーズへ移行

 派生クエスト

☑ 担任へ制度利用を相談する

☑ 学習記録の共有方法を決める

☑ 担任と面談する


② ICT等を活用した学習活動

Lv1 解放

 →学習ログ作成可能


③ 対面指導の実施

Lv1 解放

→支援センター通所中

※学校との連携・出席扱い手続中


④ 理解度に応じた計画的な学習プログラム

 Lv1 進行中

派生クエスト

☑学校とプログラムを共有する

☑校長へ説明する


⑤校長による学習状況の把握

Lv2 解放

→出席扱い判断フェーズ開始

派生クエスト

□不登校支援研修会に参加


【人間関係(パーティー/NPC)】

501:【謎の分析おじさん】(信頼度:Lv.2)

横道逸子:【コスプレネキ】(信頼度:Lv.3)

不登通子:【家ボス(母)】(圧:Max)

模部勇気:【ユウキ】(親密度:2)

☑関係再接続イベント発生

_________________________________




お読みいただきありがとうございます。

もし楽しんでいただけましたら、ブクマ、評価や感想をいただけると今後の執筆の励みになります。

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