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第33話 校長、教育委員会攻略を開始します(校長は本気だ!)

 不登校子のオンライン授業が始まって二週間ほどが過ぎた頃。 

 放課後の校長室では、学年主任・黒川関一、そして担任の凡蔵昌平が校長に進捗報告に来ていた。

 机の上には、不登校子の学習プログラムと学習記録が並べられている。


 中壁校長は資料を閉じ、二人へ視線を向けた。

「不登校子さんのオンライン授業の様子はどうですか」

 凡蔵は少し緊張しながら答えた。

「開始は予定より少し遅れましたが、その後は順調です。授業にも集中していますし、課題提出も継続できています」

「クラスの雰囲気は?」

「今のところ大きな混乱はありません。不登校のきっかけになった生徒との間にも、特に新たなトラブルは確認されていません」


 中壁校長は静かにうなずいた。

「評価については?」

 今度は黒川が口を開く。

「社会はオンライン授業で参加していますので、通常どおり定期テストで評価しています」

「それ以外の五教科はeラーニングの進度に合わせ、単元ごとの確認テストで評価しています」


「教科ごとの進捗確認と、確認テストはどのように実施してますか?」

「学習履歴はeラーニングの管理画面で担任と支援センター職員が確認しています」

「確認テストは、理解度に応じて支援センターまたは自宅で、支援センター職員の立会いのもと実施しています」


「副教科はどうですか?」

「知識・理解を確認するためのテストについては、支援センター立ち会いで実施する方向です」

「ただ、副教科は実技や制作活動の評価がありますので、作品や活動記録をどのように評価資料として扱うか、現在整理しています」

「総合的な学習のほうも、同様に評価方法を検討中です」


「なるほど…進捗はわかりました」

 黒川の報告にうなずく中壁校長。


「運用上、何か課題はありますか?」

「多少、教師側の負担は増えています。しかし、運用できないほどではありません」

 中壁校長は再びうなずいた。


「保護者からの反応は?」

 黒川は一枚のメモに目を落とした。

 少し間を置いてから答える。

「何件か問い合わせがありました」

「どのような内容ですか」

「不登校のお子さんを持つ保護者から、『うちの子もオンラインで授業に参加できませんか』という相談です」


 校長室が静かになる。

 中壁校長は椅子にもたれ、小さく息をついた。

「やはり、そうなりましたか」


 二人は校長を見つめる。

 中壁校長は穏やかな表情のまま言った。

「私は、不登校子さんだけを支援して終わるつもりはありません」

「この学校だけの特例にするつもりもありません」


 黒川と凡蔵が顔を見合わせる。


「まずは本校で責任を持って運用する」

「学習プログラムを整え、オンライン授業の方法を定め、評価方法や出席扱いも整理する」

「そして実績を積み重ねます」


 中壁校長の声は静かだった。

 しかし、その言葉には揺るぎがなかった。

「学習が継続でき、評価も適切に行えることを示せれば、教育委員会へ報告できます」

「希望する学校が、この運用を参考にできる」

「そんな前例を残したいのです」


 凡蔵は思わず口を開いた。

「だから最初から、学習プログラムや評価方法まで細かく整えていたんですね」

「前例は、待っていても生まれません」


 中壁校長は二人をまっすぐ見た。

「教育委員会へ報告し、市全体で参考にできる運用例として残したい」

「そのためには…データだけでは弱い」

「運用できたという数字だけでは、人は動きません」

「実際に、この仕組みで学び続けた生徒がいるという事実を見てもらうことが必要です」


「そこで一つ、教育委員会へ提案したいと考えています」

「本校の実践を、教育委員会主催の不登校支援の研修で報告させてもらえるよう掛け合ってみます」


 思わず問い返す黒川。

「不登さんの…配信活動も含めてですか?」

「そうです。eラーニングや、オンライン授業だけではありません。配信活動も含めて、その子の学びとして本校がどう支えてきたかを報告します」


 一方、凡蔵は宵闇ユラの配信の数々を思い出しつつ、他校の校長や指導主事の面々がどんな反応を見せるかに思いを馳せた。

『教育とは、呪い』

『勉強とは、修行。そして学校とは戦場いくさば

『ぬごぉぉぉぉぉぉ!!!』

『これも』

『私の体育です』


(…あれを…見せるのか…他校の校長や指導主事に?)

(…あの中二病全開のアバターとセリフを…?)


 思わず問う凡蔵。

「校長…本気ですか?あれを…研修会で?」


 真面目にうなずく中壁校長。

「本気です」

「ぜひ、見ていただきましょう」


(本気かよ…)

 凡蔵は思わず天を仰いだ。

(やっぱり…不登がらみは…めんどくせえ)




〈ステータス〉

_________________________________


名前:不登校子ふとう・きょうこ

状態:不登校(オンラインによる学校接続開始)


【五教科】

 英語 Lv.中2 ■■□□□□

 数学 Lv.中2 ■■■□□□

 国語 Lv.中2 ■□□□□□

 理科 Lv.中2 ■■■□□□□

 社会 Lv.中2 ■■□□□□

経験値:△取得可能

※経験値反映には学校の確認が必要

 派生クエスト

☑オンライン授業へ参加する


【副教科】

 音楽 / 美術 / 技術・家庭 / 保健・体育

※学習活動として接続可能性あり

※学校確認・評価対象化は未達成


【総合的な学習】

探究テーマ案:VTuber活動を通して、不登校でも継続できる学びの形を探究する

※学校との協議中


【スキル】

① 保護者と学校の連携

Lv2 進行中

→学校協議フェーズへ移行

 派生クエスト

☑ 担任へ制度利用を相談する

☑ 学習記録の共有方法を決める

☑ 担任と面談する


② ICT等を活用した学習活動

Lv1 解放

 →学習ログ作成可能


③ 対面指導の実施

Lv1 解放

→支援センター通所中

※学校との連携・出席扱い手続中


④ 理解度に応じた計画的な学習プログラム

 Lv1 進行中

派生クエスト

☑学校とプログラムを共有する

☑校長へ説明する


⑤校長による学習状況の把握

Lv2 解放

→出席扱い判断フェーズ開始 NEW!


【人間関係(パーティー/NPC)】

501:【謎の分析おじさん】(信頼度:Lv.2)

横道逸子:【コスプレネキ】(信頼度:Lv.3)

不登通子:【家ボス(母)】(圧:Max)

模部勇気:【ユウキ】(親密度:2)

☑関係再接続イベント発生

_________________________________



お読みいただきありがとうございます。

もし楽しんでいただけましたら、ブクマ、評価や感想をいただけると今後の執筆の励みになります。

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