第30話 501のクソ最強アドバイス(解呪効果+2)
模部勇気がプリントを届けてくれた日の夜。
不登校子の部屋の電気は消えていた。
ベッドの中で、校子は毛布を肩まで引き上げ、スマホを握っていた。
画面には、ずっと開けなかったDM。
送り主 501
何度も開こうとして閉じた。
今日だけは違った。
ゆっくりと指を動かす。
通知をタップし…続きを読む。
【DM】送信者:501
501:
配信をやめるな。
事実と思い込みを分けろ。
認知行動療法だ。詳細は教育支援センターに聞け。
(やっぱり初っ端から…この調子)
(だけど…これ、横道さんが教えてくれたやつだ)
(事実と『そう思ってること』を分けて考える方法)
(あれのおかげで、まだゲームオーバーじゃないって気づけた)
501のDMはまだ先があった。
501:
距離を取れ。
コメントで「学校来ないくせに」「なぜ登校しない」とか書かれても、説明するな。
校子は眉をひそめる。
(説明しなきゃって思ってた)
(違うの……?)
スクロールさせて文面を追う。
501:
すべての人間に理解される必要はない
議論するな。論破しても、君にメリットはない。
ブロックしろ。
しばらく画面を見つめる。
(私は…)
(全部説明しようとしてた)
(わかってもらわなきゃと思ってた)
そのたびに…消耗していた。
さらにスクロール。
501:
敵ではなく味方の数を数えろ。
味方が四人いるなら十分勝ってる。
四人。
味方といえる人間を頭に思い浮かべる。
母 不登通子
教育支援センター 横道逸子
クラスメイト 模部勇気
そして…
「501…」
思わず声が漏れる。
501:
システムで防げ。モデレーターを置け。
NGワードを設定しろ。
通報しろ。証拠を残せ。
(戦うんじゃなくて…)
(仕組みで守る?)
今まで全部、一人で受け止めようとしていた。
でも、受け止めなくていい方法がある。
そんな発想はなかった。
最後までスクロールする。
501:
誰かに嫌われても活動し続けろ。
コメントで傷ついても、何食わぬ顔で明日も配信しろ。
以上。
校子は画面を見つめたまま動けなかった。
「ふ…ふふ…」
「相変わらず、雑なアドバイス…」
長い沈黙の後で、校子は小さく息を吐いた。
模部の声がよみがえる。
『ユウキは…』
『配信再開、待ってるって』
ずっと心配してくれた母の顔。
横道の笑顔。
501のDM。
一人じゃない。
スマホを胸に抱いたまま目を閉じる。
しばらくそうしてから、校子は顔を上げた。
(配信は、まだ終わらせたくない)
(それが、今の本当の気持ち)
(オンライン授業も…逃げたくない)
校子はLINEを開き、短く打ち込む。
送り先は、模部勇気。
『オンライン授業、次こそ参加する。手伝ってほしいことがある』
送信。
〈ステータス〉
_________________________________
名前:不登校子
状態:不登校(支援センターに接続済)
状態異常:匿名性低下の呪いが解呪されました! NEW!
【五教科】
英語 Lv.中2 ■■□□□□
数学 Lv.中2 ■■■□□□
国語 Lv.中2 ■□□□□□
理科 Lv.中2 ■■■□□□□
社会 Lv.中2 ■■□□□□
経験値:△取得可能
※経験値反映には学校の確認が必要
派生クエスト
□ オンライン授業へ参加する
【副教科】
音楽 / 美術 / 技術・家庭 / 保健・体育
※学習活動として接続可能性あり
※学校確認・評価対象化は未達成
【総合的な学習】
探究テーマ案:VTuber活動を通して、不登校でも継続できる学びの形を探究する
※学校との協議中
【スキル】
① 保護者と学校の連携
Lv2 進行中
→学校協議フェーズへ移行
派生クエスト
☑ 担任へ制度利用を相談する
☑ 学習記録の共有方法を決める
☑ 担任と面談する
② ICT等を活用した学習活動
Lv1 解放
→学習ログ作成可能
③ 対面指導の実施
Lv1 解放
→支援センター通所中
※学校との連携・出席扱い手続中
④ 理解度に応じた計画的な学習プログラム
Lv1 進行中
派生クエスト
☑学校とプログラムを共有する
☑校長へ説明する
⑤校長による学習状況の把握
Lv1 解放
→出席扱い判断に必要な確認フェーズ
【人間関係(パーティー/NPC)】
501:【謎の分析おじさん】(信頼度:Lv.2)
信頼度が上昇した! NEW!
横道逸子:【コスプレネキ】(信頼度:Lv.3)
不登通子:【家ボス(母)】(圧:Max)
模部勇気:【ユウキ】(親密度:2)
信頼度が上昇した! NEW!
☑関係再接続イベント発生
_________________________________
お読みいただきありがとうございます。
もし楽しんでいただけましたら、ブクマ、評価や感想をいただけると今後の執筆の励みになります。




