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オタクなギルド受付嬢は、 魔獣にしか興味が無いはずだったのに  作者: 都鳥


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6/7

仕事の後で~これも受付嬢の役目……なわけがない!~

 ため息を()きながら、ギルドの裏口の鍵を閉める。

 もう辺りはすっかり暗くなっている。今日もやっぱり、帰るのは私が一番最後だった。


 不意に口に布のようなものを押し当てられ、強い力で後ろから体を抑え込まれた。

「おい! こっちだ!」

 小声で急かすように耳元で(ささや)かれ、そのままずるずると物陰に引きずり込まれる。


 一体何があったんだろう?

 こんな目に合うような心当たりは、私にはない。

 助けを求めようにも、口を覆われていて声も出せない。私を掴んでいる腕はとても強くて、振り払うこともできない。


「待っていたぞ。さあ、早く寄越(よこ)せ!」

 寄越せって、何を? いったい何のこと?

 私を抑えている暴漢は、苛立(いらだ)ったように私の顔を覗き込んできた。


「……って、マチルダじゃねえぞ。お前、フリーダじゃないか!」

 マチルダって、マチルダ先輩のこと?

 月の薄明かりに照らされた相手の顔を見る。この人、知ってる…… 冒険者のジャンさんだ!


 驚いた拍子に、私の口元を抑えていた手がふっと緩んで、口が自由になった。

「ジャンさん、これはいったい……」

「くそっ!」

 慌てたジャンさんが腕を振り上げるのが見えた。その腕が、私目掛けて――


 * * *


 ぼんやりと意識を取り戻し、そっと目を開ける。

「痛っ!」

 視界が開ける前に、頭にじんとした痛みを感じた。

 さっきジャンさんに殴られたところだ。気を失ってそのまま捕まってしまったみたい。

 頭は痛いけれど、他に痛むところはない。ひとまず命は取られなかったことに、少しほっとした。


 それにしても、ここはどこなんだろう?

 薄暗くていまいちわからないが、少なくともどこかの部屋の中らしい。少し高いところに小さい窓があるけれど、そのむこうには夜の闇しか見えない。

 自分の両腕は後ろで、足は足首で縛られている。これじゃろくに動くこともできやしない。

 声をあげようにも口にはきつく布を噛まされている。せいぜいうーうーと言葉にならない声が出るだけだ。


 そういえばあの時、ジャンさんは「マチルダじゃねえ」って言っていた。ってことは、私はマチルダ先輩と間違えられたのか。

 でも変だな。マチルダ先輩が、あんなに遅くまでギルドにいるはずはないのに。なんでジャンさんは、私とマチルダ先輩を間違えたんだろう。


 ふと、スカートのポケットのあたりが、なんだかポカポカと温かくなっていることに気が付いた。

 なんだろう? 私、ポケットに何か入れていたっけ?


 少し考えて思い出した。そういえば、スティーグさんからもらったペンダントをポケットに入れたままだったっけ。

 せっかくもらった物だからと一度は首から下げてみた。

 でも可愛げのない自分には似合わないなと思ってしまった。それに、こんな高そうなものを身につけていると先輩方のやっかみを受けるんじゃないかと思って、またすぐに外してしまった。

 で、後でバッグにしまおうとポケットに入れて…… そのまま忘れていた。


 その時、窓の外から、バサバサと何かが羽ばたく音が聞こえた。

 そこいらにいるような鳥が羽ばたく音ではない。例えばグリフォンやワイバーンのような、大型の魔獣が羽ばたくような音だ。


「フリーダ、そこにいるのか?」

 思いもよらない人の声がした。

 なんでここにスティーグさんが!? もしかして、私のこと助けにきてくれたの?

 声に出したいけれど、口が塞がれていて言葉にならない。代わりに、うーうーとみっともない唸り声が出た。


 声のした方――小さい高窓の方に目を向けると、ぼんやりとライトの魔法が窓からこちらを照らしている。そこから見えたのは確かにスティーグさんだ。

 彼からも私の姿が見えたんだろう。彼は軽く視線で頷いてみせる。


「助けるから、少し待っていろ」

 その言葉の後に、また何かが羽ばたく音が聞こえた。さっきの羽ばたき音の主はスティーグさんと一緒にいるんだろうか?

 そう言えば、窓の位置もスティーグさんの背よりずっと高い。何かの魔獣の背にでも乗っていたんだろうか。


 そんなことを考えているうちに、小窓とは逆の方向、扉のある先がにわかに騒がしくなってきた。

「うわあ! なんだ化け物!」

「こいつ、魔獣か!?」

 そんな声が聞こえてくる。声の主の一人はジャンさんのようだ。ジャンさん以外の男性の声もいくつか聞こえてくる。


 しばらくするとそれらの声と物音が止んで静かになった。

 そして、カツカツと誰かが近づいてくる足音だけが聞こえる。その足音が私のいる部屋の前で止まった。


 と、次の瞬間、激しい破壊音の後に部屋へ光が差し込んだ。

 私の視界に入ってきたのは、蹴破られ破壊された扉、廊下の魔力灯から差し込む光、その光の中に立つスティーグさん。


「待たせたな。無事だったか?」

 彼が私に笑いかける姿が、とても眩しく思えた。

お読みくださりありがとうございます。

べた展開ですが、べた展開ですね(笑)


次回、最終話になります。

引き続きよろしくお願いいたします(*´▽`)

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