25.5 渡部 慶樹
「明日だな」
彼はそう言って私の頬に触れました。
二人で横になるには手狭なベッドの上で、誰にも言えない秘密を共有しながら、私たちはいつも夜を明けていたのです。
「うん」
と私はそれに返事をしました。
隊員たちの前ではいつものような気の張りようが、彼と二人きりのときだけはどうしても気が緩んでしまうのでした。
「任務が成功すれば、このクソみたいな状況から解放される。必ずやり遂げないと」
彼の真剣な眼差しにトキメキつつも、本当に解放してくれるのかなと疑う心もありました。私がまたうんと頷くと、
「もし……もし仮に、どちらかが死んでも約束の地へ行こう!」
と彼が言いました。
どんな制約にも囚われない、遠い土地でやり直そう。そんな約束は、彼が隣に居なければ果たせそうにないのです。私は感情が込み上げてしまい、自分の目に涙が溢れていました。
「そんなこと言わないでよ……」
彼はごめんごめんと言って、また私のことをあやしてくれました。彼もまた私と同様に不安なのだと、彼の手から伝わってくるのを感じました。
「そろそろ寝ないと」
彼が気に掛けてくれているのがわかりました。私は顔を横に振って答えました。
「ううん……全然、眠れない……」
私は、それはもう少女のような心持ちで、怖くて怖くてどうしようもない、逃げてしまいたいなどとは言えませんでした。
「アナタが遠い何処かへ行ってしまいそうな気がしてしまうの」
彼が顔を近付けて安心させるように言いました。
「おんなじチームなんだし、よしちゃんは強いじゃないか!」
「でも……」
「俺が危ないときは守ってくれよ!」
ああ、どうしてこうなってしまったのか。彼らが来るまでは、啓示現象なんて起こらなければ、私たちは何もかも上手くいっていたというのに。
「うん……」
私の不安そうな声に、彼が優しい声で言いました。
「どんなときも一緒だ。愛してるよ」
その温かいひと言に、私はいつも小さな光の兆しが見えてしまうのでした。彼が私の腰に手を伸ばしてくれたので、私も同じように彼の腰へ手を伸ばしました。お互いの愛に触れるようにして抱き締めたのです。彼の温もりを感じながら、私はこれからもこうしていたいと強く願いました。
「私もあなたのことを愛しています」




