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YEHI OR/イェヒ・オール  作者: 海風 野花
第一章:田園都市ユートピア
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25.5 渡部 慶樹


「明日だな」


 彼はそう言って私の頬に触れました。

 二人で横になるには手狭なベッドの上で、誰にも言えない秘密を共有しながら、私たちはいつも夜を明けていたのです。


「うん」


 と私はそれに返事をしました。

 隊員たちの前ではいつものような気の張りようが、彼と二人きりのときだけはどうしても気が緩んでしまうのでした。


「任務が成功すれば、このクソみたいな状況から解放される。必ずやり遂げないと」


 彼の真剣な眼差しにトキメキつつも、本当に解放してくれるのかなと疑う心もありました。私がまたうんと頷くと、


「もし……もし仮に、どちらかが死んでも約束の地へ行こう!」


 と彼が言いました。

 どんな制約にも囚われない、遠い土地でやり直そう。そんな約束は、彼が隣に居なければ果たせそうにないのです。私は感情が込み上げてしまい、自分の目に涙が溢れていました。


「そんなこと言わないでよ……」


 彼はごめんごめんと言って、また私のことをあやしてくれました。彼もまた私と同様に不安なのだと、彼の手から伝わってくるのを感じました。


「そろそろ寝ないと」


 彼が気に掛けてくれているのがわかりました。私は顔を横に振って答えました。


「ううん……全然、眠れない……」


 私は、それはもう少女のような心持ちで、怖くて怖くてどうしようもない、逃げてしまいたいなどとは言えませんでした。


「アナタが遠い何処かへ行ってしまいそうな気がしてしまうの」


 彼が顔を近付けて安心させるように言いました。


「おんなじチームなんだし、よしちゃんは強いじゃないか!」


「でも……」


「俺が危ないときは守ってくれよ!」


 ああ、どうしてこうなってしまったのか。彼らが来るまでは、啓示現象なんて起こらなければ、私たちは何もかも上手くいっていたというのに。


「うん……」


 私の不安そうな声に、彼が優しい声で言いました。


「どんなときも一緒だ。愛してるよ」


 その温かいひと言に、私はいつも小さな光の兆しが見えてしまうのでした。彼が私の腰に手を伸ばしてくれたので、私も同じように彼の腰へ手を伸ばしました。お互いの愛に触れるようにして抱き締めたのです。彼の温もりを感じながら、私はこれからもこうしていたいと強く願いました。


「私もあなたのことを愛しています」

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