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もしかしてこれって異世界転移?  作者: ぬか漬けプディング
第三章 王都 アスガルド
94/123

9月10日 PM1:18~1:23 集う三人

簡単な登場人物紹介


アリノ:1章では森でプチ遭難、2章では鬼ごっこをした。今頃王都を彷徨っているであろう。

ショウヘイ:2章から登場。金髪幼女と出会う。

金髪幼女:妹であるイザベラを探している。外見は汚い。

9月10日     PM1:18


その路地裏は世界から切り離されたかのようだった。

街の喧噪を遙か遠くに追いやり、俺と目の前の少女だけの世界を形成している。


「...んっ...」

金髪のその少女は若干顔をしかめ、閉じていた瞼を少しずつ開く。


琥珀色のその瞳が俺を捕らえる。

「...そこのお兄ちゃん、どうしたの?私に何か用があるの?」


少女は俺に問いかけた。


―――――――――――――――――――――――

9月10日     PM1:19


「いや、特にこれと言った用は無いんだけどな...その格好で寒くないのか?」

俺は少女が纏う薄汚い布切れを指さして言った。


それは衣服とは言い難い。

馬車の幌をただ体に巻き付けているといった方が良いだろう。

一見してソレは快適とは到底思えない。


「んー...これなら雨風はある程度しのげるけど...やっぱり人前では恥ずかしいかな...」

あはは...と力なく少女は笑いかける。


「...服買ってやろうか?」

俺はぼそりと呟く。


これは哀れみからの文言などと言った傲慢なものでは無い。

ただ良心からの一言。


「...えっ?それって...」

少女の言葉は最後まで紡がれることなく途切れた。

いや、正しくは少女の声より更に大きな音でかき消された..だろう。


「ヒャッハー!!色男だなぁそこの兄ちゃん!!そこの薄汚い幼女に服を買っても無駄無駄。

 馬子にも衣裳とか言うけど限度ってものがあるだろ。

 まぁそこでだ。俺たちが有効利用してやるから有難く思いなぁ!!」


いかにも小物感を匂わせる声の主は三人組のリーダー格と思われる一人の少年。

その表情は知性を一切感じさせないようなバカ面でニヤニヤと笑っている。

他二人も同じような表情だ。


「知っているぞ。そこのお前、透視とか言う戦闘に一切使えないどうしようもない魔術持ちなんだろ?

 こんな人通りが多い場所で魔術について大声で話すなんてバカだよなー」

バカ面のリーダーは俺を指さして嘲笑う。


バカにバカと言われたからであろうか。無性に腹が立つ。

だが、自分の有する魔術では下手に歯向かっては無事には済まないだろう。

それにこの少女のこともある。

無駄な戦闘で彼女まで被害を及ぼすわけにはいかない。


ただ俺は己の弱さに焦燥を抱きながら固く拳を握りしめる事しかできなかった。


―――――――――――――――――――――――――――

9月10日     PM1:19


「オラオラ弱者は大人しく搾取されるままで良いんだよ。さっさと金を払って負け犬同士肩を寄せ合ってその辺で野垂れ死にな。」

バカ三人組はこちらに向かってゆっくりと詰め寄る。


俺達がいる路地裏は袋小路となっており、これ以上奥には逃げられない。

そして大通りに逃げようとしてもバカ三人組がそこまでの道を塞いでいる。

完全に詰みである。


突如、金髪の彼女は立ち上がり、三バカの方に走り出した。

「ちょ、ちょっと!!」

俺の静止の声を無視して彼女は三バカに向かう。


突如、少女の足が止まった。

「「「「!!」」」」

三バカは少女に向かって魔術を打ち込もうとしたのだろうか、右手を僅かに動かす。

が次の瞬間、路地裏に轟音と共に激しい爆風が俺達を襲う。

咄嗟に俺は自分の目を手で覆い隠し、姿勢を低く保つ。

轟音が俺の肌をビリビリと震わせる。


...周囲が静かになり、俺は周囲を見渡す。

周囲の建物の残骸である瓦礫がそこら中に転がり、つい先ほどまでの路地裏とは全く違う光景を俺の網膜に映し出す。


「...何が起きたんだよ...」

状況が呑み込めない俺は途方に暮れるのみ。

先ほどの爆発から逃げおおせたのかは知らないが三バカの姿は無かった。


それよりも金髪の少女は無事なのだろうか...いた。

爆発前と同じ場所に彼女は地面にへたれこんでいる。

彼女が無事なのだからその付近にいたバカ三人組も無事である...と信じたい。


遠くからでもわかるほどその少女は大きく肩を震わせ、嗚咽を漏らしている。


...何が起きたのかは知らないが取りあえずここにいては危険であると俺は直感で感じた。

「ここから少しでも逃げるぞ。」

俺は少女の手を掴み、走り出す。


が、少女は依然として動こうとしない。


「なんでだよ?早く逃げるぞ。」

俺は焦って少女の手を力強く引くが、彼女は首をゆっくり横に振るばかり。


「私の妹が...イザベラが近くにいるかもしれない。イザベラの声を私は聞いたの。

 ...だから私は...一人で逃げるわけにはいかない。」


俯きながら彼女は言葉を発する。

その瞳は力強く、何人であろうが彼女を説得できそうもない。


「だから...逃げるならお兄ちゃん一人で逃げて。私はどうなろうが別にいいから。」

「...クソッ」

俺は頭をガリガリと掻きむしる。

「分かった!!人探しが|十八番≪おはこ≫だから俺に任せろ。イザベラの特徴は?」


俺は少女に訊ねる。

彼女は大きな瞳を更に大きくし、驚きの表情でこちらを見上げる。

「早く!!時間が惜しい。」

「私と全くおんなじ顔をしているの。」

「まったく同じ...?君とイザベラは双子なのか?」


俺の問いかけに彼女は首を縦に振る。


「......。」

俺は魔術『透視』を使ってぐるりと周囲を|視渡す≪みわたす≫。

「...どこにもいない。上手く逃げおおせたんじゃないか?」

「本当に?瓦礫の下敷きとかになってない?」

「瓦礫の下もちゃんと見たけど誰もいなかったから大丈夫だ。よし、早く逃げるぞ。」


俺達は人混みの中に紛れ込んだ。


――――――――――――――――――――

9月10日     PM1:23


「もう大丈夫だろ...」

俺はゆっくり息を吐く。


「...なんで私にここまでしてくれるの...?」

背後で少女は訊ねる。

「...いや、特に理由は無い。ただ体が動いたというか...。」

「...ふーん...。お兄ちゃんって優しいヒトなんだね。」

少女は微笑んだ。


「お兄ちゃんの名前、教えてよ。」

「俺か?俺の名前はショウヘイ。君は?」


「私の名前はマチルダ。異世界転移してきたの。」

ハイどうもこんにちは。おっさんです。


後書きを終わります。

それではまたいつか!!

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