9月5日 スミス
深爪になった指が痛む けふこの頃。
9月5日
2階に上がり、左に曲がる。
数歩ほど歩いたところでプレートに203号室と書かれたドアがある。
「それじゃあまた明日ね。シルフィンちゃん。明日の9時ごろに下で集合ね。」
「はいはい。それじゃあまた明日ね。スミスと...ジェ。」
くすくすと笑いながらドアを閉めるシルフィン。
...何というか 自分の突貫工事で命名した名前でも馬鹿にされるのは腹が立つんですけど。
スミスはシルフィンがいる部屋のドアの前でため息を一つ吐いて、こちらを向いて話しかける。
「じゃあ僕たちは209号室に向かおうか。」
「?口調変わった?」疑問を覚えた俺はスミスに問いかける。
「あぁ、理由は言えないけど...あの子がいる前はあの口調を演じているんだ。」
スミスは『あの子』と口に出すとき、ドアの向こうにいるシルフィンに向かって顔を向ける。
まるでドア越しに見えているかのように。
対して俺は...「コイツ...ファッションオネェだったのか...」と脳の中のスミスに関する情報を脳内で書き換えていた。
209号室に入る。209号室は小さな円テーブルと2脚の椅子、振り子時計、そしてダブルベッドが置かれただけの小さな部屋だった。
「「......」」
気まずい。森で出会ってからまだ一日程度しか会っていないんだぞ。
それなのに、もう共に一夜を過ごす仲(意味深)ってどうなの?
大体 シルフィンがいる時だけオネェキャラってなんだよ。
ずっと天然物のオネェだと思って接してきたよ。今更きちんとした対応ができる気がしない...
「あ、そうだ。ベッドは君一人が使っていいよ。こんなスキンヘッドのおっさんと一つのベッドで寝たくないだろ?」と椅子を引くスミス。
...なんか非常に申し訳ない。
「いやいや、俺はあなたに拾われた(?)だけだし、そもそもこの部屋はスミス...さんが借りたんだから俺はそこの椅子で寝ますよ。」
「今までと同じ呼び方で良いよ。スミスでいい。大丈夫。僕は身体だけは丈夫だから。」
椅子に腰かけながらこちらに はにかみながら答えるスミス。
...ヤバい、この人。めっちゃよくできた人や!!
心の中で戦慄する俺。
そんな さなか。
「ごはんですよ!!」
と扉を蹴破り、両手にお盆を持って部屋に飛び込んできたのは、この宿の店主。
...何となくだけど、この宿に客がいない理由が分かった気がする。
「あ、すみません。今 重要な話をしていました?」
「いや、大丈夫。夕食、わざわざありがとう。」と答えるのはスミス。
カウンターでの出来事との印象と全く違うスミスに目を白黒させながら、
「あ、ハイ。追加料金を含めた夕食の値段は3名様でこちらのお値段です。」とスミスに数字の書かれた紙を見せる。
「...お釣りもらえるかな。」と尋ねるのは差し出されている店主の手にコインをチャリンと置くスミス。
部屋の隅に置いてある振り子時計が9時30分を知らせた。
はい、どうもこんにちは。おっさんです。
...なんかもうスミスが当分ヒロインでいい気がしてきた。(冗談ですけどね!!)
あとよく考えてみたら、まだ一日程度しか経っていないんですよね。小説内では。
なんか自分が死ぬまでにこの小説が終わるのか不安になってきた。
と、ここで 読者の皆様に感謝の言葉を。
ここまで こんな拙い文章にお付き合いいただき、ありがとうございます。
引き続き尽力で小説を書いていきます。
それではまた次話でお会いしましょう!!




