こどく【孤独】
異世界にも医者はいるけど現在ほど医学は進んでいない(設定)
9月11日 AM8:27
俺はベッドの中で大きく伸びをして身体を起こす。
「いやー清々しい朝だなー。今日も一日頑張りましょ」
と掛け声をかけ、ショウヘイは自分に鼓舞を送る。
支度をし、部屋を出る。
宿屋の玄関近くでマチルダは昨日と同じくゴスロリ風の黒を基調とするドレスを身に包み俺を待っていた。
「ゴメンゴメン。遅れた……と言うかマチルダ、朝早くね?」
「ショウヘイが起きるの遅すぎるんだよー。」
「ぐぬぬ……寝る子は育つから良いんです〜」
「ハァ……分かった分かった。それより早く探しに行こうよ!」
「……その格好で?その服以外にも何着か服買ってやったろ。」
「えー……この服が一番好きなんだもん。」
「っ……」
こう言われたら反対する気が起きない。
「さっさと探しに行こう。」
俺はマチルダを急かし街にくり出すのだった。
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アスガルドは王都……この国の金融的にも政治的にも中心地である。
そのため多くの富を求めて出稼ぎに来る国民も多い。
が、この国では学術または魔術によって生涯賃金がある程度、定まっている。
まぁこの魔術は遺伝子によって使用出来る魔術はある程度定まっているため、別の言い方をすると
『この国では学術または親のコネによって生涯賃金がある程度定まっている。』
そのため、王都に来たからといって、生涯賃金は増える訳でもない。
寧ろその出稼ぎをターゲットにし給料が低めに設定された職に就くことになり、自ずと生涯賃金は低下する。
しかも、出稼ぎの数は増加する一方なので生産能力が低下した人物からクビになる。
シビアな世界だ。
あるはずも無い理想を求めて家族で出稼ぎに来て、無惨にも野垂れ死ぬ一家は非常に多い。
その時犠牲となるのは子供たちであり、捨てられたり手を掛けられる。
捨てられた子供たちは徒党を組み、ストリートチルドレンとして路上で生活するようになる。
彼らは懸命に生きようともがくが、世界は彼らに優しくない。
少女は時として慰め物にされ、少年は犯罪に手を染める。
路上で暮らす彼らには平安な一時など無い。
彼らは集団に所属していても孤独であることには変わりない。
そんな彼らに一時の癒しを与えるため私、立花 朔三は3年前、救護院を設立した。
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7月18日 AM9:57
私、立花 朔三の朝は街の巡回から始まる。
ストリートチルドレンと思われる少年少女を我が家……救護院に招き入れ、ある程度の教養を付けさせる為だ。
まあ救える少年たちには限りがあり、救護院近くで暮らすチルドレンのみなのだが……
我が家の金銭事情は喜ばしくなく、この行為はただの老人の気まぐれであるとは分かっているのだが私は3年前から続けているこの日課を辞めるつもりは無い。
まあ近所の方々や亡くなった妻、そして今も手伝ってくれる娘も喜んで了承してくれるのが唯一の救いでもある。
時刻は昼頃になり我が家に戻ろうとした時、私は道端で倒れている長い黒髪の一人の少女を見つけた。
「!?君、大丈夫かい?」
倒れている人物を動かすことは危険であることは百も承知なのだが、緊急時だからか。
そんな事は頭からスッポリと抜け落ち、倒れている少女に声をかけ、上半身のみを抱え起こす。
暑い日にも関わらず、少女は汗をかいていない。
「……もしかしたら熱中症かもしれない……」
私は少女を救護院に連れ込み、看病をすることにした。
「少し揺れるけど我慢してくれよ。」
私は少女に詫びを入れて背中におぶる。
何やら柔らかい感触を背中に感じるが今はそんな悠長な事を言ってられない。
私は老体にむち打ち、我が家に向かって走り出した。
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7月18日 PM2:34
純白の清潔なベッド。
その上で少女は目を覚ます。
「……ここは……?」
するとすぐ近くから幼い少年と思われる人物の声が上がる。
「タチバナー!!お姉ちゃんの目が覚めた!!」
立花……?一体誰だろう。
ドアの向こうでバタバタと誰から近づく音が次第に大きくなり、音が聞こえ始めて10秒もしない内にドアは開かれる。
ドアから現れた、立花と思しきその人物は白髪で眼鏡をかけた優しそうな60代程の男性であった。
「無事なようで良かった良かった。」
彼は私を見守っていたであろう10歳程度の少年の頭を撫でながらこちらを見ながら微笑む。
「目覚めて急ですまないけど名前を教えてくれないかな。」
ベッドの傍の椅子に腰掛けながら男性は少女に訊ねる。
「……私は……橋本 理華です。」
はい、どうもこんにちは。ぬか漬けプディングです。
その点冒険者は凄いよな。
人不足で引く手あまただから。
(よく殉職するとも言っている)
ここまでお読みいただきありがとうございました。
それでは!!




