↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
18/28

文化祭と星下その三

二千二十年十月二十五日。帝都大学付属高等学校文化祭最終日。

「ここか、星下が通う学校は…」

「早くダーリンに会いたいな~」

「高校何て何年振りかな~。幻徒のクラスってどこだったけ?」

「一年一組のはずだが、確か仮装喫茶とか言う喫茶店を出店しているらしい」

「さすが狙撃主。情報には的確なんだな、それじゃ行くか!」

本日、大日本帝国軍非科学部門第五部隊に所属する三人は幻徒が通っている学校行事に参加する。

だか、隊長の八雲風斗は同行していない。何時もは一緒にいるはずなのだが。


「内のクラスは今日も忙しいな…」

「どうも、星下が委員長とうろうろしたのが効いてるらしいぞ」

「確かに可愛いもんな…」

「そうだよな」

文化祭最終日。一年一組は店を開けると同時に長蛇の列が出来上がっていた。

その原因を作ったのは女装をした星下幻徒と委員長が二人で昼食を取る為、校内を歩いていたら沢山の人に声を掛けられた。

もちろんその中の大半が男子生徒と女子生徒目的のナンパが多かったが、単純にどこでクラスだと尋ねられた。

「ここか、仮装喫茶って…」

「いらしゃっいませ!ただいま、大変込み合っておりますのであちらの席でお待ち下さい」

その様子を裏で見ていた、虎雄は笑みを浮かべていた。

確信をしていた。一年一組は必ず優勝すると、この盛況振りを見て何も感じないはずが無い。

確信の理由はもう一つある。それは他の学年が大した事がなかった事にある、自分の目で見て周りそれを実感した。

確かに他の組にも並んでいたが、自分のクラス程ではなかった。

それに優勝する為に秘策も用意してある。

「そこのウェイター。少し尋ねるが、一年一組はここの教室で良いのか?」

「はい!そうです!ただいま大変込み合っておりまして、お時間を頂く事になりますが…」

突然声を掛けられ後ろを振り向くと、長身の細身で黒髪の美人が立っていた。

それに両目が淡い青色をしている外人と細身で短髪の男が立っている。

「それは構わないのだが、この組に星下幻徒と言う生徒が所属していると聞いてるのだが?」

会話をしているとどこかで会った事があるような気がして、記憶を探る。

「あ!あの時の!ちょっと待ってて下さいね、ちょっと呼んで来るんで!」


「ちょ、ちょっと!やめてよ、虎雄!押さないでよ!」

「お前の客何だから、相手してやれよ!」

その姿はまるで可憐な少女のように三人の瞳に映る。

三人は自分達が知っている星下幻徒が別の格好してる事に言葉を失うと言うより、笑い始める。

「はっははは!おい!本当に幻徒かよ!明より、女らしいじゃねぇか!」

「きゃー!ダーリン!すごくプリティ!」

由紀は幻徒の姿に興奮し、歓声を上げ何時ものように抱きついた。

「本当に星下なのか?何故、女装なんて…。そんな趣味があったのか?」

その目はどこか蔑んでいるようだ。

「ち、違うんです!これは衣装なんですよ!女子達に無理やり…」

顔を真っ赤にして、理由を説明する。

「女子にやられただと?!それでも貴様、日本男児か!」

「女の子に手は出せませんよ…」

「それより幻徒、どれだけ待つんだ?これじゃ中に入れないぜ?」

雷火が待ちきれないと痺れを切らす。

「これだと、時間が経つのを待つしかないですね」

「そうか…。明の奴が楽しみにしてたんだけどな、仕方ない。その辺で時間潰すか」

「そうなんですか!」

「雷火!勘違いするな!私は星下がどんな学び舎で学問を教わってるか視察に来ただけだ」

表情が赤くなり、むきになっているのがはっきりと解る。

「照れるな、照れるな。俺はお前の気持ちは解ってるつもりだら」

「照れてない!私はただ…」

この場にいる人間はその姿を可愛いと気持ちが一致した。


毎年帝都大学付属高等学校文化祭は派手に行われ、近隣住民も毎回訪れる恒例行事である。

幻徒に連れられ校内を歩く、第五部隊は目移りしながら背中に着いて行く。

「見て見て、ダーリン!お化け屋敷にクレープ!日本のハイスクールは楽しいね!」

「それは良かった…。由紀さん、もうちょっと離れてくれない…」

「え~、何でよ。良いじゃん!ずっと会えなくて、寂しかっただもん!」

「ブラウン!星下から離れんか!ここは学び舎だぞ!」

明が怒り出した所で、雷火が口を開く。

「俺、腹へっちまったよ。幻徒、どこか飯食える場所ないか?」

「確か、調理室でステーキ屋の屋台をやっているはずですよ?行って見ますか?」

「お!肉か!行こうぜ!お前達も行くだろ?」


第五部隊の四人は料理部が行っている、ステーキ屋に足を運ぶ。

「結構人気だな…」

「そうですね。直ぐに入れそうですよ?」

行列の先には鉄板の上で踊る肉が香ばしい匂いが嗅覚を刺激して食欲をそそる。

「大変お待たせしました。お客様は何名様ですか?」

「四人です」

「四名様ですね。ではこちらに」

エプロンを付けた、生徒が席の案内をする。


「はぁ~。私、お腹空いたよ~。ダーリン何食べるの?」

四人は座席に着き、メニューを開く。

「う~ん…」

メニューを開きくが品物が三種類しかないのだ。牛、豚、鳥の三種類。

「俺は当然、牛肉だな!ステーキって言ったら、牛でしょ!」

「僕は豚にしようかな」

「私は鳥ね」

「私も牛にする」

四人の注文が決まった所に丁度、生徒が寄って来る。

「ご注文はお決まりですか?」

「牛二つと豚と鳥をお願いします」

「牛ステーキ二つと豚ステーキ一つ、鳥ステーキ。以上でよろしいですね」


「お待ちどうしました。ご注文の品です、熱いのでお気をつけて召し上がりください」

四人の前に運ばれた来た、鉄板に注目する。

それは熱く焼かれ、油を飛ばしている。その音は耳に心地よく響く。

そして食欲を刺激し、限界を迎え両腕てで持っているナイフとフォークで肉に切れ目を入れる。

すると肉汁があふれ出す。

「結構、本格的だな。早速頂くか!」

雷火が大きく口を開き、牛肉をほおばる。

「美味い!」

「洋食は久しぶりだが、美味いな…」

明も肉を噛みながら、笑みを浮かべる。

「ここのハイスクールも結構やるわね。はい、ダーリン。あ~ん」

「あ、はい」

流れに乗って、子供のように口を開けチキンステーキが入れられる。

「美味しい?」

「ふぁ、ふぁい」

「おい、ブラウン!ここは学び舎だぞ!そのような破廉恥な行為は止めろ!」

何時もの光景に幻徒は安堵を覚えるが自分自身が女装をしている事を思い出すと顔に苦笑いが自然と浮かぶ。


日は落ちかけすっかり夕方になり、生徒達は片付けに追われていた。

「くっそ!もうちょっとで優勝だったのに!」

「はいはい。それは良いから、手を動かす」

「だってよ!ほんの少しだぜ!」

「良いから、動け!」

虎雄が騒いでいる原因は文化祭で発表される順位だ。

結果だけ言えば、二位。本気で優勝を狙ってたから、悔しさが込み上げてくるのだろう。

優勝を収めたのは料理部が出店したステーキ屋だった。

「まぁ~、良いじゃない。片づけしよ?」

「幻徒まで、委員長と同じ事を!お前、悔しくないのか!」

「僕は悔しいと言うより、楽しかったよ」

満足気な笑顔を浮かべる。

「お前は良いよな~、あんな美人と一緒にいられてさ。今度、紹介してくれよ」

クラス男子が僻み根性丸出しで絡んで来る。

「それは無理かな…。色々と問題があって」

「くっそ!俺も美人の彼女が欲しいー!俺にも分けろー!」

目が回るように忙しかった、高校最初の文化祭は幕を閉じて行く。


月明かりが道を照らし、すっかり夜になる。

「星下、お前の学友は騒がしい人間ばかりだな」

「確かにそうですね。でも、楽しいでよ」

「そうか、私は高校には行かなかったからな」

「そうなんですか?」

「訓練校を出てから、直ぐに部隊に入ったからな」

二人で歩く夜道はとても居心地が良く、永遠に一緒にいたいと思ってしまう。

この雰囲気はなんだが甘酸っぱいと誰か見ても思うだろう。

年頃の男女が一緒に歩いているのだから、当たり前か。


二人が夜道を歩いている先に人影が一人佇んいた。

その影は薄暗い視界でも解るくらいに異様な雰囲気を持っていた。

「明さん、気をつけて下さい。何かいます…」

幻徒が真っ先に気づいたのは人影だは無く、微かな魔力の反応を掴んだからだ。

「さすがに敏感だな、聖遺物集合体」

その人影の正体は駐米部隊赤い番犬総隊長早乙女煉。

「なぜ、あなたが!」

「ただの人形に答える必要には無い!」

いきなり鋭利な凶器で襲いかかって来るが、応戦を試みる。

「くっ!」

「ほぅ…。宝剣か、やはり最初から私が始末しておけば良かった」

言葉を口にすると、幻徒の身体を蹴り飛ばす。

「ぐはっ!」

「星下!」

「明さんは早く逃げて!」

悪意を持った影が近づいて来る、その時だった。

「ちょっと、気が早いんじゃないか?早乙女のおっぼちゃん」

その声と共に周囲が凍り付き、その中心に人が立っていた。

「貴様は五輪の花!なぜ、こんな所に!」

「理由は解ってるだろう?これ以上、この少年とかわい子ちゃんに手を出すと俺の権限で母君に被害が行く事になるぞ?」

「くっ…」

悔しそうな声を出し、その後直ぐに煙のように姿を消した。

「助けてくれてありがとうございます。あなたはいったい?」

「あれ?俺の事、忘れちまった?明ちゃん。俺だよ、氷堂氷香」

「え?!氷香おじさん!」

「思い出話は後でな。それより、その少年を安全な所に」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。